綺羅の皇女1/宮乃崎桜子


綺羅の皇女(1) (講談社文庫)
綺羅の皇女(1) (講談社文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年6月刊。
「斎姫異聞」シリーズの宮乃崎桜子さんによる新作和風ファンタジー。
お名前を見た瞬間に懐かしさでテンションが上がりました。斎姫異聞、いつか再読したいなぁ。

さて、本作は平安京を思わせる架空の国を舞台に、予知夢を見る皇女の数奇な運命を描いていく物語です。
親の愛に恵まれず、不遇な人生を流されるまま生きてきた皇女。
しかし、恐ろしい予知夢を見たことで彼女は自分の意思で運命に立ち向かうことを決意するのです。

和風を意識して読むと10頁あたりで面食らうかもしれません。
さらに中盤あたりでもう一度ギョッとするはず・・・・・・
私にはなかなか説明が難しい世界観でした。
1巻を読んだだけでは全体像が全く把握できないんですよね。
そのため1冊だけでは評価しづらい作品ですが、箱入り皇女の奮闘劇は面白かったし今後の展開に期待します。

☆あらすじ☆
皇族ながら、両親の愛を知らずに修道尼院で育った皇女・咲耶(さや)。真秀皇国(まほらこうこく)の皇帝しか見るはずのない予知夢を見る咲耶は、それを他言することを厳しく禁じられていた。隣国に嫁ぐため渡海したある日、夢で故国の惨状を知るも、咲耶は知らせる術がない。しかし――。権謀渦巻く皇国で、特異な生を受けた少女の運命は!?

以下、ネタバレありの感想です。
おそらくネタバレを踏まない方が良いタイプの作品なので、未読の方はご注意ください。

 

神に選ばれた唯一無二の皇帝が治める真秀皇国
この国において、皇帝は神の末裔であり、神獣ユニコーンを従わせ、予知夢を見ることで国を導くとされている。
しかし、主人公である皇女・咲耶は、皇帝しか許されないはずの予知夢を見ることができ―――

 

という説明のあたりで「ユニコーン」に二度見しました。
がっつり平安っぽい世界観の中に突如(しかも序盤で)現れる「ユニコーン」の浮きっぷり。
なぜ「一角獣」とかではなく、あえての「ユニコーン」・・・・・・私に和風世界に対する先入観がありすぎるのか、正直この時点でやや困惑しました。

 

しかし困惑するのはここだけではなかった。

 

政略結婚によって隣の西海国に嫁ぐことになった咲耶。
そこで待っていたのは「ソファ」「サイドテーブル」「ベッド」という横文字だらけのインテリア。

あれーーーーーーー??
登場人物は才明とか滝口とかの和名なのに、なぜこんな洋風っぽい雰囲気を???

カタカナが唐突すぎて困惑の極み。
いやでも咲耶も未知の物をみる雰囲気だから、これは(私も)困惑して良いのでしょう・・・・・・たぶんきっとそう・・・・・・

 

が、その上で満を持して(?)出てくるは「複製(クローン)」の文字・・・・・・!!

 

才明の複製であるサードが出てきたことで、この唐突で脈絡のない和洋折衷世界観の狙いが薄っすらと見えた気がします。
とりあえず和風ファンタジーに対する固定観念は捨てるべきなのでしょう。
一瞬、中世和風世界の皮を被ったSFなのか? と思ったものの、正直よく分からないまま1巻を読み終えました。

 

片や、王のクローンを作れるほどに科学技術(?)が発達している西海国。
片や、皇帝の神秘によって民を導き、そのシステムが崩壊しつつある真秀皇国。

私は、両国の雰囲気のズレがとても引っかかります。
「異国だから」で説明がつかないほど文明レベルの差異が著しいように見えるんですよね。

都の街並みや人々の暮らし、場面の端々に存在する小道具類の描写など、ベースとなる和風世界はかなり丁寧に作られている印象の本作。
そうすると、違和感は「あえて」持たせているのでしょう。でもその理由がわからない。
単純な和風世界じゃないことだけは理解しました。この世界観の正体を解き明かしてほしい・・・!

 

さて、世界観についての感想が長くなってしまったけれど、本作は不遇の皇女・咲耶が予知された運命に立ち向かう物語としては、とても王道的で面白かったです。

皇帝の世話に忙しい両親に修道尼院に預けられ、愛情に飢えたまま生きてきた咲耶。
皇族の義務として受け入れた政略結婚も、求められるのは「皇女」であって「咲耶」ではない。
そのことに寂しさを感じつつも、仕方ないという諦めもあって――

そんな風に流されるまま生きてきた咲耶が、始めて自分の意思で動き出したのが「予知された残酷な未来から民を救うため」なのです。
このヒロイックな感じ、とても良いです。
自分のためではなく、祖国の民のために必死に走る咲耶の奮闘にハラハラしつつ心が踊りました。

 

また、「皇帝しか許されない予知能力を持つ皇女」という公にできない存在にして、「実は正当な血筋の持ち主」という点もお約束ながらGOOD。

しかしこれ、咲耶が帝位を取り戻せばいいという話じゃなさそうですね。

女帝の前例がない国で咲耶が皇帝に立つのは難しく、また、今更皇室の欺瞞を暴けば国が乱れる。
咲耶自身も帝位を望んでいないし、予知能力はなくとも皇帝・凰輝は暗君ではない(まぁ乳母の影響が強かったり、緊急時の動きに未熟さは感じられるけれど)

このあたりの問題をどのように収拾し、最終的に咲耶はどういう立ち位置に落ち着くのか。
ユニコーンは咲耶を選んでるし、やっぱり最後は女帝になるのかな?
現状誰も望んでないけれど、まさか内乱が起こるとか・・・?

 

勝手に出ていってしまった西海国の動きも気になります。
西海国といえば、サードがなんか爆弾っぽく見えて怖いんですよね。穿ち過ぎ?
次第に毒舌で慇懃無礼な従者と化すサードのキャラ自体は結構好きなのだけど、咲耶の逃亡劇に手を貸したことに彼の利益がなさすぎて。
皇女を逃がしたら廃棄待ったなしなのでは?なんでそこまで咲耶に肩入れしてくれるのでしょうか。
まさか本当に間者だったり??

 

色々と謎が盛りだくさんの第1巻でした。
序章すぎて評価が難しいのだけど、設定とキャラが好みなので今後に期待したいです。
というわけで2巻は早めにお願いします!

 

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