賭博師は祈らない4/周藤蓮


賭博師は祈らない(4) (電撃文庫)
賭博師は祈らない(4) (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2018年6月刊。
賭博師ラザルス・カインドに大きな転換点が訪れる第4巻。
築いてきたものが足元から崩れていくような喪失感と、その先に生まれる新しい何か。
そこを覆すのか!という驚きと興奮で胸がいっぱいです。今までの全てはこのためにあった・・・!
最高に盛り上がってきた物語は次巻で完結とのこと。
今回の予想外すぎるラストから、一体どんな結末を見せてくれるのか楽しみです。

☆あらすじ☆
バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。
だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念――。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが……。
そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。

以下、ネタバレありの感想です。

 

賭博師ラザルス・カインドが、養父から受け継いだ3つの決まりごと。
物語の初めからラザルスの指針として存在してきたのに、まさかここにきて否定されるなんて・・・!

 

ラザルスのアイデンティティーでもあり、彼の魅力を引き立てていた信念だっただけに、それが揺らいでいるという序盤の話すらハラハラしていたのに。
「信念を捨てる」展開って、とても難しいと思うのです。
下手すれば芯のないフラフラした人物像になりかねない。その信念こそが魅力であったなら尚更です。

 

その点、この物語は完璧でした。

ラザルスを合理的で冷静な「賭博師」たらしめる3つの信条。
そんな「賭博師」としてのラザルスの心を揺さぶり続けるリーラとの日々。

優しさと冷徹さの微妙なバランスの中で賭博師として勝負に打ち勝ってきたラザルス。
そのバランスはあまりにも危ういものだったので、今回の話は来るべき時がついに来たって感じではありました。
ジョナサン・ワイルド・ジュニアとボウ・ストリート・ランナーズの闘争に巻き込まれなくても、いつかどこかでラザルスは負けていたんだろうなぁ。

 

その上で、自分の信じてきたものを「間違いだった」と切り捨てたことが衝撃すぎて・・・・・・
しかし熱い。この展開、とても熱いです。
養父が作り上げた「続きを歩む存在」ではなく、ただ一人の「ラザルス」として先へ進むために生きていく。
今までの自分を否定し、これから自分で自分を作り直すわけですよね。
まるで人が生まれ変わる瞬間を見るかのよう。なんて大きなターニングポイントなのでしょうか。
こんなの高揚せずにいられないでしょ!

 

今回の騒動、振り返ってみるとラザルスに「選択」を突きつけるためのものだったんですね。
自分を否定する選択をした結果、(フランセスの形をした)「自分が否定した姿」に勝ってみせるとか、もう展開が王道すぎて心が沸き立ちます。こういうの大好き!

 

とはいえ、こんな胸熱展開すらも前哨戦なのでしょう。
本当のクライマックスはここから。
ジョナサン・ワイルド・ジュニアとの決着をつけ、ケジメをつけることができるのか。
ラザルスの闘争の果てに何が待つのか、とてもドキドキしています・・・!

 

話は変わって。

 

今回はかつて恋人同士だったラザルスとフランセスの関係に焦点をあてたストーリーでもありました。

冒頭の過去話、賑やかで優しい日々が一瞬でボロボロになってしまう姿に胸が痛くなったのだけど、彼らが友情や愛情よりも賭博師であることを選んだことには納得もあって。リーラと出会う前のラザルスならそうするだろうっていう。
フランセスとラザルスが破局したことも、なんか分かるんですよね。あのまま「賭博師」として一緒にいるには、彼らは二人とも優しすぎたんだ・・・・・・

 

過去の破局の理由は理解し納得できたのに、4巻を読み終わった今、フランセスが好きになりすぎてどうしようって感じなんですけど、どうしましょう??
「手伝ってくれるか、マイハニー」「誰がマイハニーよ、ぶっ飛ばすわよダーリン」の掛け合いが狂おしいほど好き・・・!
悪態つき合う相棒カップルって良いですよね〜。多くを語らずとも分かり合える姿がエモすぎる。

 

と言っても結婚オチは予想外でしたけど。
今のラザルスならフランセスと上手く付き合えそうですけどね。
でも、そういう風に二人が向き合えたのはリーラがもたらした変化のおかげなんだし、うん、やっぱりラザルスにはリーラを選んでほしいな。うん。
フランセスとのカップリングも非常に・・・非常に・・・好きなんですが・・・! 捨てがたい・・・!

 

たぶん、フランセスは「丁寧なお礼」としてラザルスをリーラに返すんじゃないかなー。明らかに伏線でしたし。
その上でリーラがラザルスの元を去るのかどうかは分からないけれど。
あれだけ頑張って義理を返した旅券を使わないのも勿体ない気がするしなぁ(貧乏性)
でもリーラもロンドンに残ってラザルスと暮らしてくれると嬉しいです。そうなってくれ頼む。フランセスは好きだけどリーラが泣くのはとても嫌だ。

 

泣いても笑っても次が最終巻。
この切なくて愛しい物語がどんな結末を迎えるのか、楽しみに待ちたいと思います。

 

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「賭博師は祈らない4/周藤蓮」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    ラザルスというキャラクターの描き方が素晴らしかったですよね。みかこさんの感想を拝読してさらに理解が深まりました。
    私もフランセスとラザルスのあの掛け合い、狂おしいほど好きです…!
    5巻を読むのが待ち遠しいですね…!

    1. 本山らのさん、コメントありがとうございます。

      いつも動画楽しく拝見していますー!
      ラザルスのキャラクター、本当に素晴らしい描き方です。
      今までの陰鬱さを華麗に吹き飛ばしてくれて・・・・・・展開がすごすぎて震えました・・・!

      フランセスとラザルスいいですよね!
      らのちゃんの賭博師紹介動画も拝見したのですが、あのセリフは推さずにいられないですよね・・・!
      同業で元恋人だからこそ醸し出せる親密な雰囲気が最高です(*´∀`)

      5巻が本当に待ち遠しいです〜〜

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