賭博師は祈らない3/周藤蓮


賭博師は祈らない(3) (電撃文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年1月刊。
不器用な賭博師と奴隷の少女の旅を描いたシリーズの第3弾。
2巻で寄り道してしまったけれど、当初の目的地にようやく到着。
そこで待っていたのはやはりトラブルだったわけだけど、今回もヒリついた駆け引きが読み応え抜群でした。
そして、期待以上にラザルスとリーラの関係の掘り下げ方が素晴らしい・・・!

☆あらすじ☆
ノーマンズランドでの負傷も癒え、ようやく当初の目的地バースにやってきたラザルスとリーラ。
村から付いてきたエディスとフィリーも道連れに、気儘で怠惰な観光を洒落込むつもりだったが、一つ誤算があった。
温泉とギャンブルが名物のこの街で目下勃発しているのは、賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争い。
バースへの道中で出会った知人からは忠告を受けるも、時既に遅し。
温泉から宿に戻ってみると、部屋には荒らされた形跡。そして一人横たわる血まみれの少女。
面倒事の匂いに辟易としながらもラザルスは彼女を保護する。
それは、陰謀張り巡らされるバースでの長い戦いの幕開けであった。

以下、ネタバレありの感想です。

 

エディスとフィリーを旅の道連れとし、ついに目的地である観光地・バースに到着したラザルス一行。
しかし、温泉を楽しんだのも束の間、ラザルスは街を支配する儀典長キャプテン・ウェブスター副儀典長リチャード・ナッシュの対立に否応なく巻き込まれていくのです。

 

というわけで、トラブルに巻き込まれまいとするラザルスと巻き込もうとするウェブスター達の駆け引きが繰り広げられる第3巻。
今回もヒリヒリと緊張感の漂う空気が最高でした。
中でもウェブスターの老獪さは強烈。賭博師の成れの果て(極致?)みたいな老人だったなぁ・・・・・・

妖怪みたいな老人に先手を打たれ続けるなか、「今この瞬間の対応を間違えてはいけない」とひたすら思考を回転させ続けるラザルス。
後手に回る一方だったのにやたら格好良く感じたのは何故なのか。
緊張すればするほど研ぎ澄まされていくラザルスの思考についていくのは疲れるのだけど、それがまた楽しくて心地良いんですよね。

 

でもせっかく楽しい温泉地にきたのに全然休めてないやん・・・・・・
そりゃこれだけ緊張状態が続いたらリーラの膝枕でスヤァしちゃいますよ。いや寝てないけど。
結局、温泉地だろうが何処だろうがリーラが一番の癒やしという話だったのか(?)

 

そんなリーラとの関係もまた少し動きを見せて。
「先のことを考え始めろ」とラザルスが切り出したことは、きっと大きなターニングポイントになるのでしょう。

「先」の見えない賭博師として生きるラザルスと、いつでも奴隷を抜け出して「先」に進むことができるリーラ。
賭博師と奴隷という関係が二人を繋いでいるからこそ、リーラが「奴隷」から解放されることに戸惑いを見せるのも分かる。
でも「自分は遠くない未来に死ぬ」と決定事項のように告げるラザルスが「奴隷」ではないリーラは傍に置かないと言う気持ちも分かる・・・・・・「奴隷」という名目だけがラザルス側の唯一の言い訳ですもんね。

難しいなぁ。
ダンスを踊っていた二人はとても幸せそうだったのに。二人とも笑顔でいられる未来はどこにあるんだろう?
ラザルスが賭博師のまま、「奴隷」という名目をなくしたリーラを傍に置き続ける、そんな未来はあるのでしょうか。
それを「都合が良い」ってバッサリ切り捨ててるんだもんなぁ・・・・・・

 

あ〜〜〜何でもかんでも先回りして悲観するリアリストめ!その面倒臭さが大好き!
優しさが不器用方向に突き抜けて、勢い余ってリーラを傷つけて、それで自分も傷ついて・・・・・・っていうラザルスの捻くれ具合が大好きオブ大好きでとてもしんどいです。
リーラ頑張れ・・・!
この面倒くさい男の面倒をみれるのは庇護欲を煽りつつ包容力を発揮するリーラしかいないよ!
ラザルスとの距離感を恐る恐る、たまに大胆に変えていくリーラも頼もしくて好き!

 

そうそう、ダンスといえば、あそこは今回屈指のロマンチックシーンでしたね。
なにあの可愛さ。直前のシリアス逃亡劇はどこに消え去ったのでしょうか。
急いでナッシュから逃げるのかと思いきや、リーラを呼び出して踊り始めたラザルスを見て「????????」となったのは私だけではないはず。
「なんか分からんけど超ハッピーだからまぁいいか!」とニヨニヨして読んだのも私だけではないはず。
そして、たどたどしく笑い声をあげるリーラの姿に、なんだか胸が詰まって泣きそうになったのも、私だけではないはず・・・?
本当に何なの、あのシーン。とても幸せなのに、とても切なくて・・・・・・

 

これからラザルスとリーラはどうなっていくのでしょうか。
あまり悲観的思考に囚われてほしくないのだけど。
ラストで「弱くなった」と感じた彼がどんな行動を取るのか怖いんですけど・・・!

 

ラザルスには冒頭の養父の言葉を思い出してほしいな。この言葉とても好きです。

『ここからが寛容だ。見るものによってそこにある事実は喜劇か悲劇になる。ならばこれらの人生においてお前に逃れ得ぬ何かが襲いかかってきたとして、それがどれほど悲劇的であろうと、笑い飛ばせたならば喜劇に変わるのだ。悲劇の中にあってこそ、喜劇を探せ。』

 

ただ、これで幕開けした3巻が、ジュリアナの愛の結末を見せつけて終わったのは皮肉が効いてるな、とも思ったけれど。

 

深く愛する父に、その愛ゆえに引導を渡し、笑いながら泣いていたジュリアナ。
彼女の愛と選択は、果たして喜劇だったか、それとも悲劇だったのか。

「じゃあ、お前の幸せは何が決めているんだ?」
「決まっているよ。愛だよ、愛」

ラストのジュリアナに、愛はあっても幸せはあったのか・・・?

どうか、ラザルスとリーラは愛のある幸せを見つけることができますように。
あんなに華々しく弾け散る愛は御免だよ・・・!

 

 

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