緑の扉は夢の入り口 第一の夢の書/ケルスティン・ギア


緑の扉は夢の入口 (第一の夢の書)
緑の扉は夢の入口 (第一の夢の書)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年4月刊。
「時間旅行者(タイムトラベラー)の系譜」のケルスティン・ギアの新作FT三部作が開幕。

全ての始まりは、墓地に集まり不気味な儀式を執り行うイケメン4人組の「夢」。
これはただの夢なのか?それとも違う何かなの?
4人組は何をしているのか、どんな秘密を抱えているのか、そしてこれから何が起こるのか。

ユーモア弾ける語り口は楽しく、夢と現実が交錯する謎多き物語に好奇心を刺激され一気読みでした。
謎と秘密に目を輝かせながら、ツンとすました猫みたいな主人公もチャーミング。
気になる彼の存在に振り回されつつ、ひとり懸命に謎を追う主人公の冒険から目が離せません。
三部作となる物語は1巻時点でとても面白く、この先にどんな展開が待っているのか楽しみです。
ああ、はやく2巻が読みたい!

☆あらすじ☆
母親と妹と一緒にロンドンに引っ越してきたリヴ。いきなり投げ込まれた新しい家族(母親の恋人一家!)と新しい学校に、必死で溶け込もうとする毎日だ。そんなある晩見た妙にリアルな夢の中で、リヴは学校の人気者、美形揃いの男子四人組に遭遇する。長い廊下に、たくさんの扉が並ぶ夢の世界。扉を開けるとそこは……墓地!? 夢の中とはいえ、なんで彼らはよりによって墓地にいるのだろう……。〈時間旅行者の系譜〉三部作で人気の著者の、新シリーズ開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

母親の仕事の都合で世界各地を転々としてきた少女・リヴ・ジルバー
今度の引越し先はロンドンで、母の新しい恋人一家と住むことになるらしいと聞いたリヴは不機嫌だった。チーズのせいで税関に引っかかって幸先も悪い。
しかしロンドンで彼女を待っていたのは、旺盛な好奇心を満たしてくれる刺激的なハイスクールライフだったのです。

 

学校中から注目を集める美形の男子4人組。
そんな彼らが夜の墓地に集まり、黒ミサのような不気味な儀式を行っている。
梟に化けてそれを盗み見ていたリヴは、誤って彼らが描く魔法陣(?)の上に落ちてしまい・・・・・・

という夢を見た直後、現実世界でも4人組に絡まれたリヴ。
彼らの態度から「あれは単なる夢ではないのか?」と疑問を持ったリヴは、ミステリアスな「夢の世界」について調べ始めることに。こうして「夢」にまつわる彼女の冒険が始まるのです。

 

イメージのままに、何だってできる不思議な夢の世界。
そこにはたくさんの「扉」があり、それぞれの「夢」に繋がっている。
そして、扉の先にある夢の世界では、夢の持ち主の過去と秘密に触れることができる

この「夢の扉」こそが本作のキーワード。
夢の中で「扉」を認識すると、夢の世界を自在に操ることができるようになり、これを利用して様々なことが可能となります。
この物語において重要なポイントは、誰かの秘密を知るには相手の扉を開いて夢を見るのが手っ取り早いということ。
けれど夢の扉は様々な鍵で閉じられていて(あけっぴろげな人もいるけれど)、その障害をどうやって乗り越えるか頭を悩ますところも面白いのです。

 

過去を見たり、秘密を解き明かしたり、あるいは新たな秘密をにおわせる夢の世界。
夢の世界を介したリヴの冒険は謎とスリルに満ちたもので、好奇心旺盛な彼女の語り口に感化され、最初から最後までワクワクしながら読みました。
ちょっと澄ました態度で軽口と皮肉が多いリヴだけど、行動的で果敢なところはとても格好いい。
初めての恋心にあたふたしてるところは可愛いですしね。「恋する羊」って表現ほんと好き。
ただまぁ、虎穴に入らずんば虎子を得ずを地で行くというか、下手にカンフーで護身できる自信があるせいで好奇心が手に負えなくなっているところは心配になるけれど。
グレイソンやヘンリーに「やめたほうがいい」って言われてもアーサーの招待を受けたところとかね。もはや無謀すぎてハラハラします。
パーティーに参加するどころか更に人目がないところに誘導されてるし・・・・・・無事に帰れてよかったね・・・!(震)

 

そんなリヴが関わっていくイケメン4人組はそれぞれが個性的なキャラクター。

未来の兄になるかもしれないグレイソンは、たぶん4人の中で一番良い人なんだろうなぁと地味に癒やしでした。
彼女の趣味は悪いようだけど・・・・・・
なんでエミリーなんだろう?もっと性格の良い子にしようよ・・・と思いつつ、こういう堅物生真面目男子は押しの強い女に弱そうだと偏見で納得する部分もある。
でもグレイソンがエミリーとイチャついてるのはなんか嫌なんだよなぁ。良い人が悪い女に引っかかってるように見えて。せめてエミリーのイメージアップ展開がきますように!
そういえば、グレイソンって既に兄貴的保護者な雰囲気を醸しているけれど、(日本の少女漫画だったらグレイソンは三角関係の当て馬ポジだよな)って思う私がいたりいなかったり。

 

グレイソンは兄貴枠として、リヴの恋の相手となるのは夢の世界で逢瀬を重ねていくヘンリー
4人の中では彼が一番ミステリアスな存在です。家庭事情が大変そうなところも含め、明かしていない秘密がとても多い予感。
リヴに対する態度は余裕があってエレガントだし、まさにイケメンの権化みたいな男子だけど、それだけに正直ちょっと胡散臭いんですよねぇ。格好いいんだけど・・・・・・登場キャラの中で一番格好いいんだけど・・・!(いやグレイソンも捨てがたい)
「夢中になれる子に会いたい」って願ったらリヴに出会えたとか、なんかもう結婚詐欺師の口上みたいだなって・・・!笑
だって他のメンバーは難病克服とか恋敵抹殺とか願ってるのに、ひとりロマンチストすぎて逆に浮いてません?怪しくない?
本心だったらごめんねヘンリー!

 

ちなみに私、ヘンリーが「扉の鍵」をプレゼントするシーンが一番のお気に入りだったりします。演出がロマンチックで素敵。
「夢」の扉は「心」の扉だから、その鍵を渡すことは「あなたになら心を曝け出してもいい」という意思表示ですよね。
夢の世界を通して互いを知ってきたリヴたちの関係に相応しい告白だなぁと思って。
読了後に表紙を見ると、ヘンリーが持っている箱にニヤニヤしちゃいます。
まぁヘンリーは全ての鍵を取り外したわけじゃないのだけど。心を全て曝け出すとは言ってないのだけど。
そういうとこだぞ・・・!

 

残りのアーサーとジャスパーについては、上2人に比べて少し扱いが落ちる感じ。

アーサーは天使みたいな超絶美形ってべた褒めされてる割に作中の扱いが悲惨で同情します。
最終的に悪い女に騙された男みたいになってるし(お前もか・・・)リヴには顎を砕かれるし。
この先、彼に名誉挽回のチャンスはあるのでしょうか。

ジャスパーは登場人物紹介の「学校で一番おつむの弱い男子」っていうのが酷すぎる上に真実で笑うしかないです。
ゴシップブログでもそんな扱いなのが何とも。はて、人気者とは。

 

4人組がリヴを引きずり込んだ「影と闇の主」の儀式については謎のまま。
アナベルの暗躍が気になります。夢の世界は現実の距離を無意味にするのが怖いんだよなぁ。
夢で加害されると現実にどんな影響を及ぼすのかもまだ分かってないですしね。どうなっちゃうんだろう。

 

他にも気になっているのはゴシップブログ「噂の扉」の管理人シークレシーの正体。
リヴ姉妹の予想通りにエミリーがシークレシーなの?なんとなく違うっぽいですよね。
軽妙なブログは読んでて楽しいけれど、あくまで現実のゴシップなので「夢の世界」の問題と絡むのかは未知数。
シークレシーの正体と合わせて、そのへんも注目していきたいです。

 

さて、本作は3部作になるとのこと。
2巻が2018年7月、3巻が2018年10月刊行予定と帯に明記されていたので安心です。でもとても待ち遠しい!

 

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