恋と悪魔と黙示録10 降り積もる恋のための寓話集/糸森環


恋と悪魔と黙示録10(仮) (一迅社文庫アイリス)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年4月刊。
過酷な運命を背負った少女と乙女な悪魔の冒険と恋を描いたラブファンタジー。その後日談を含めた短編集です。
これで本当に終わりなんですね。ああ、終わってしまった・・・!
後日談以外にも、本編の前日譚、幕間の掌編、そして「起こり得たかもしれない結末」を描いた闇落ちIFルートなど、驚くほど沢山のエピソードが詰め込まれた豪華仕様の1冊でした。すごい満足感。楽しかったです!

☆あらすじ☆
神魔を使役し《名もなき悪魔》の名を書に記す朔使(さくし)。人と獣の姿を持つ美しき神魔アガルと契約したレジナは、彼と恋に落ち共に生きていくことに。平和な地で悪魔の力によって起こった事件、魔となることが決められている少年の物語、優しい天使とのひととき……欠片たちが集まり、旧き物語と新しき物語が描き出されていく――。一途な魔物と乙女が織りなす、大人気悪魔召喚ラブ★ サイドストーリーと本編のその後を描いた物語集登場!!

以下、ネタバレありの感想です

 

たくさんの短編と掌編で構成され、サブタイトル通り「降り積もる」ように語られていく本作。
どれも面白かったのですが、なかでも気に入ったエピソードをピックアップしていきたいと思います。

 

「果実を頬張る少年の寓話(ロアス王子の最後とヴィネトについて)」
「灰かぶりの王女が書を愛でる時(聖戦直前のレジナとヴィネトについて)」
「巡り巡って、今日という日が訪れる。(バレクと再会するヴィネトについて)」

ロアス王子の最後ってそういえば描かれてませんでしたっけ。卿が生きていたことに喜んで、そこは深く考えていなかった・・・・・・

「幻魔王」と「ヴィネト」については、その意識が具体的にどうなっているのかは気になっていたので詳しく知ることができてよかったです。
といっても曖昧な混在を卿自身が整理しきれていない状態のようで、そこは少し痛々しいのだけど。
それでもヴィネトらしさが垣間見える部分もあって、そこが本当にグッときます。

あと、バレクとの再会シーンすごく良かった。
「愛し子、赦しと、光あれ」というバレクの言葉は、「幻魔王でありヴィネトであり、そのどちらでもない」という今の卿の存在を許し、受け入れ、幸せを願ったのでしょうか・・・・・・もふもふの愛が深い。

 

「旅立つ彼と語りましょう(巡礼中の守護天使との往復書簡について)」

レジナとリストの文通を描いたエピソード。可愛さ的にはダントツでした。
この二人の天然混じりなほのぼのした空気は本当に好きなんですよねぇ。
天然さに油断しているとスッと切れ味のよいナイフのような言葉を差し入れたりもするのだけど。レジナから卿へのメッセージとか。
あの後6年も卿が逃亡したことを見るに、それだけ心の深い部分を刺されてしまったのでしょう。レジナの示す友愛を今の卿が受け取ることの難しさを感じました。まぁ単純に照れて気恥ずかしくて逃げてただけかもしれないけれど!

 

「四章・あの、庭で色づく金木犀が散るまでに!」

アガルのNTR願望がついに実現してしまった・・・!w
いや、他の契約魔ができただけで、相手はヤモリなんですけどね。浮気か〜これも浮気なのか〜〜
みんなの冷たい反応と「夫の浮気に耐え抜く健気な妻」を楽しそうに演じるアガルにほのぼのしました。
アガルは「倦怠期」の意味をちゃんと調べようね!

 

「五章・もし、もしもその土舟が壊れていたら?」

アガルが殺され、人に裏切られたレジナが兄を選び「王妃」になったIFの物語。
レジナの本質は「不変」にあることを考えれば、このIFで見せた残酷さも彼女の持つ顔のひとつなのでしょう。レジナの中で善も悪も紙一重なのかもしれない。
そもそも立場によって見え方が変わるのは当然か・・・・・・と、レジナに懐く悪魔たちを見ながら思ったり。

 

「序章・さぁ、割れものの月を隠したその隙に!」「終章・果てしない日々を夢見て冒険へ!」

収録されているのは面白い短編ばかりだったけれど、やはり忘れてならないのはこの2編。
冒頭で「レジナにしては何かおかしいような?」とは思ったけれど、まさかアガルが綴っていたとは・・・・・・
アガル視点ってこれまでなかったですよね?あったっけ?
情熱的かつ詩的に冒険の物語を「アガルが綴った」というだけで胸が熱くなります。

私たちにとってその記憶のかけらは、喜びに満ちたものばかりじゃない。
けれども、きっと誰かにとっては、山あり谷ありの波乱万丈な『冒険物語』に変わるだろう。それでいい。本こそ、心の冒険だ。
私は羽根ペンをインクに浸す。
心の冒険者たちに告ぐ。割れものの月はカーテンの盾で隠した。さぁその隙に剣を取り、知らざることを知るために、頁を開け!

良い・・・・・・これをアガルが書いたのだと思うと尚良い・・・・・・
『創造すること』の意味の重さを考えれば、この物語は本当にアガルの成長譚だったんだなぁと感慨深くなります。アガル大好きだ〜!

 

そしてラストはいつものメンバーで新天地へ!
みんな揃って新たな冒険へ踏み出せることの幸福感を噛み締めながら、このシリーズの完結を祝福したいと思います。

糸森環先生、お疲れ様でした!素晴らしい物語をありがとうございます。
そして新作は6月とのこと。楽しみに待っています〜(^o^)

 

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