異世界にドラゴンを添えて/CHIKOTO


異世界にドラゴンを添えて (Atom Harako)
異世界にドラゴンを添えて (Atom Harako)

評価:★★★☆☆
2018年4月刊(Kindleのみ)
異世界転生した主人公が、ドラゴンに襲われドラゴンと戦いドラゴンを美味しくいただく異世界ファンタジー。
こちら、台湾産のライトノベルです。
翻訳者のAtom Harako(@harakoatom)さんの紹介で読んでみたのですが、なんだかすごく馴染みのある世界観で、台湾における日本のラノベ文化の影響をひしひしと感じる作品でした。
なんといっても作中で「異世界転生モノのテンプレ」をネタにするくだりがあるのに問題なく理解できて笑えるんですよ。海外小説なのに!
それでいて、細かな表現や言い回しなどは台湾のものであるため、随所に新鮮さも感じる作品でした。日本にはない表現に触れられるのは海外小説の楽しさだよなぁ。
肝心の内容は飯テロです。思った以上に飯テロでした・・・!
ドラゴンだけではなく、何から何まで「美味しそう」の罠だらけ。読んでるとすごくお腹がへります。
ドラゴンに対する不屈の食欲をみせる腹ペコヒロインは可愛かったし、異世界に戸惑いながら料理の腕を振るう主人公の頑張りも良かった本作。
気になるところで終わっているので続刊もぜひ翻訳してほしいなぁと期待しています。

☆あらすじ☆
定番の異世界転生と思いきや、俺はニートのおまけ───?!
台湾の高校生・慕飛は、成績優秀・容姿バツグン、おまけに世界的に有名なコックを父親に持ち、高校卒業後は自動的に事業を継ぐことが決まっている、正に非の打ちどころのない生活を送っていたが、トラックに轢かれそうになっていたニートを助けてやったために、ニートに巻き込まれるようにして異世界に転生してしまう。
けれど“ニート主人公でないとチート能力を授かれない”という慣例によって、異世界転生の主人公になれず、何の能力も与えられなかった慕飛は、初心者向けの村・バニータ村で雑用として働き始める。
異常にケチ臭いハーフエルフによって支配された閉鎖的な村での生活は苦しく、助けてやったはずのニートは『天選之子』として祀り上げられたことですっかり舞い上がり、慕飛のことを奴隷のように扱うのだった。
それでも自分の身を守る術も持たない慕飛には村から出て行くという選択肢はなかった。
しかしそんな彼の住む村を、突然一匹のドラゴンが襲ったことで、村での生活が一変してしまう。
果たして彼は異世界での生活を変えられるのか、
そして再び台湾に戻ることができるのだろうか───
台湾角川新人賞でデビューして以来、予測不能な展開で台湾のライトノベルファンを翻弄して来た作者が贈る、今までにない異世界転生ラノベ。

以下、ネタバレありの感想です。

 

有名コックを父に持ち、いずれ父のレストランを継ぐはずだった高校生・慕飛(なんて読むんだろう?)。
ある日、トラックからニートを助けようとした慕飛は、気づけばニートと共に見知らぬ異世界にいた。

 

・・・・・・というスタートからしてまさに異世界転生テンプレ。
まさか台湾ラノベもトラック転生から始まるとは・・・!と少しニヤついてしまいましたw
その上、異世界に来たことを自覚した直後の慕飛のモノローグはメタいテンプレネタだらけだったり。

すごい、聞いたこともない登場の仕方だ!この調子だと俺はこれから「天雷降生」とか「飛天火神」とかいう、他にちょっとないような尊称を受けることになるんじゃないか?
「ごほ、ごほごほ・・・・・・」
俺がまさにライトノベルみたいな展開に陶酔していると、傍から突然咳き込む声が聞こえて来た。
(中略)
イザベラは俺にも理解できる言語でそう自己紹介してみせた。ほん●ゃくコンニャクとか900分英単語聞き流しとかやらなくても異世界の住人たちの言葉が理解できるなんて、これも異世界転生モノの定番ってやつだよな!

ここだけ抜き出して分かるかな・・・?
慕飛が先読みする異世界転生モノのテンプレ、めちゃくちゃ見覚えがありませんか。すごい日本感。ドラえ●んの道具まで例に出てきちゃってるし・・・!

 

その一方で、慕飛が期待する二つ名みたいなネーミングセンスは馴染みがなく、その漢字の並びが無性に格好よく感じます。ここで、あ、日本のラノベじゃなかったと思い出すという。なんだこの新感覚・・・!欧米のYA小説にはない珍しさ・・・!

 

さて、そういう日本ラノベの影響を感じる異世界を、台湾の高校生を主人公として描いていく本作。
チートが与えられることもなく異世界で厳しい下働きに従事していた慕飛は、ある日、ドラゴンスレイヤーの美少女・ジークフリート(フリート)に出会い、彼女と共に美食と冒険の旅に出ることになるのです。

 

冒頭でみせた慕飛のお気楽な期待感とは裏腹に、彼を襲う運命は意外にも過酷。
チートはニートにしか与えられないし、そのニートはドラゴンに襲われて全身やけどの寝たきり状態。彼を助けようにもお金もアテもなく、守銭奴には低賃金でこき使われるし、危険なドラゴンを誘う「ドラゴンのキス」まで身に受ける始末。
軽妙な語り口だからスラスラと読めるけれど、この異世界転生ファンタジーは結構シビアだったりします。

 

そんな厳しい異世界生活の中で慕飛が出会い、惹かれ、行動を共にすることになるヒロイン・フリート。
この子がすごく良キャラなんです。
なんといってもドラゴンを食べることに情熱を燃やした結果、無類の強さにも関わらずランキング最下位という、ゴーイングマイウェイな腹ペコヒロイン。
欲望に忠実なキャラクターって好きなんですよねぇ。人生を謳歌している姿がまぶしい。
自分の望むように自由に生きているフリートだから、異世界に振り回されっぱなしで苦労する慕飛と好対照に感じるんでしょうね。
元の世界で自分がどれだけ恵まれていたか思い知るくらい苦労している慕飛だけに、生き生きと美食と冒険に挑み続けるフリートに惹かれるのはなんか分かるなぁw

 

また、この作品で忘れてはいけないのが慕飛とフリートの旅の中でわんさか登場する美食の数々。
ドラゴンすら美味しくいただいちゃう作品ですからね!
ドラゴンの恐ろしさや気味悪さ(「蚊」は想像するだけで全身がムズムズした・・・)をあれだけ書いた上でフリートたちがペロリと食べちゃうところを見ると、諸行無常を感じるやら弱肉強食を感じるやらで、一周回って楽しくなってしまいます。
慕飛の食レポがすごく美味しそうだった「パン」については、真相を知ると・・・・・・うん・・・・・・私は遠慮しようってなりましたw

 

ロボットが登場したりドラゴンの種類が異常に豊富だったりと、危険で騒がしくて楽しい異世界の日々。
慕飛とフリートの美食と冒険の旅はまだまだこれからだし、最後は何やら気になる引き。
続きも読めるかな?2巻を楽しみに待ちたいと思います。

 

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