紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目/来栖千依


紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目 (ビーズログ文庫)
紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目 (ビーズログ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年4月刊。
第19回えんため大賞ビーズログ文庫部門「優秀賞」受賞作。
日本からやってきた少女が英国で出会ったのは、美味しい紅茶を淹れる毒舌執事。
父が遺した執事喫茶を継いだ少女の奮闘を描く、妖精と紅茶と謎に彩られた英国ファンタジーです。
英国+妖精+執事まではふむふむと思ったけれど、その執事が「執事喫茶」の「執事」というのはびっくりしましたw
執事喫茶って本当にあの「執事喫茶」なのか〜
少し設定(というより要素かな)の詰め込み感が気になったものの、ストーリー的には綺麗にまとめて着地してくれたし、妖精が織りなす可愛らしく幻想的な情景はとても素敵。
これは続きに期待したいなぁ。楽しみにしています。

☆あらすじ☆
「行動を慎みますよう、ご主人様?」 異国ではじめる喫茶ファンタジー!
『執事喫茶シュガーリィテイル』の新しい主人として英国へやってきた有紗。しかし執事のギルは有紗を認めず態度が一変、毒舌に!! 立派な主人になろうと奮闘する中、ギルには妖精にまつわる秘密があると知り…?

以下、ネタバレありの感想です。

 

英国人貴族の父と日本人の母をもつ少女有紗・E・ウェルバー
妾腹の有紗は、父が亡くなり呼び出された英国で、ロンドン郊外にあるエリカコートの土地建物を相続することになる。
そこで待っていたのは、土地に棲む妖精たちと、父が遺した「執事喫茶シュガーリィテイル」を営む美青年ギルフォードだった―― というところから物語は始まります。

 

お客様の「執事」になりきり、紅茶でおもてなしをする執事喫茶。
私は行ったことないのだけど、メイド喫茶の派生?みたいなアレですよね。
まさかそんなネタをヴィクトリア女王治世下の英国に持ち込むとは!
しかもちゃんと(?)アイドル売りの人気商売という。
なんたって、ギル目当ての女性客を刺激しないように有紗はこっそり過ごさなきゃいけないのですから。
なんてこった。ガチじゃないか。

 

それでも意外と英国の世界観に馴染んでいるんですよね。
これは「妖精」と「紅茶」と「謎」のおかげかもしれません。

執事喫茶に訪れるゲストが持ち込む様々な謎や問題。
それらを、紅茶をヒントにしたり妖精の力を借りたりしつつ、有紗とギルは問題の解決を目指していくのです。

有紗とギルの心を繋ぐのもまた「紅茶」と「妖精」だし、終盤で窮地に立たされる執事喫茶を救うのも「妖精」と「紅茶」。
このあたり、インパクトある設定と馴染みある設定の融合が面白い作品でした。
ただこれに「探偵」を加えるのは流石に要素が多すぎるんじゃないかと思いました。「探偵」の肩書の唐突感と浮いている感じが気になったので・・・・・・

 

それはさておき。

執事喫茶の仕事で強く印象に残っているのは、途中でボケてしまったおばあちゃんの亡き夫のふりをギルがしてたシーン。
あそこはゾッとしました。
ヤキモチ焼かれてヒステリー起こされたあげく、跪いた上から紅茶をぶっかけられるって・・・・・・ひぇぇ・・・・・・
あのおばあさん、たぶん亡夫の生前もあんなだったんだろうし、ギルベルト氏めちゃくちゃ大変だったのでは。
ギルと有紗が頑張って良い話にまとめているのを横目に見ながら、私はギルベルト氏の苦労に思いを馳せてしまいました。

 

そんな感じでトラブルありきの執事喫茶の日常が描かれるなか、少しずつ深まっていくのは有紗とギルの絆。
妖精が見えるために母との関係がうまくいかなかった有紗と、妖精が見えないために父との関係がうまくいかなかったギル。
正反対の境遇にありながら、二人はとても良く似た苦しみを抱え、だからこそ互いの心に寄り添えるのです。そういう関係性がすごく素敵でした。
「一緒に、泣いてくれませんか」のシーンは切ないロマンスを感じて大好き。

 

残りの従業員であるマオトニーも好感が持てるキャラクターだったし、なにかと有紗を助けてくれる妖精達も可愛い。
苦味はあるけれど、読み終えるとスッキリする。そんな紅茶のような物語だったと思います。
続編あると嬉しいなー。期待しています!

 

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