茉莉花官吏伝2 百年、玉霞を俟つ/石田リンネ


茉莉花官吏伝 二 百年、玉霞を俟つ (ビーズログ文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年12月刊。
元後宮女官が女性官吏として政治の世界で成長していく立身出世物語第二弾。
前回は科挙受験というプロローグ的な話だったからか、実際に新米官吏として動き回る今回の方が面白く感じました。
「かわいい顔しながらろくでもないことを考えて実行できる女」という、ある人の茉莉花評がとても好きw

☆あらすじ☆
1巻即重版御礼! 立身出世物語(シンデレラストーリー)、本格始動!
科挙試験を好成績で合格し、新米官吏となった茉莉花。ところが珀陽は、「早く手柄を立ててね」とまたも無茶を言い出す始末。そんななか、赤奏国の皇帝が突如やってきて女性官吏に世話をさせろと言い出し……!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

科挙に榜眼(次席)で合格した茉莉花。
しかし首席合格ではないことにガッカリした珀陽は、禁色を授けるために大きな手柄を立ててこいと笑顔でプレッシャーをかけてくる。
そうして官吏の新人研修が始まるなか、先輩官吏の玉霞と共に、訪問中の赤奏国皇帝・暁月の世話係補佐をすることになり―― という第2巻。

 

「物覚えが良い」という特技を生かすために、自分は何を考えなければいけないのか。
茉莉花の課題は今回も変わらず、彼女は必死に「自分に何ができるのか、何を試されているのか」を考えていくのです。前巻に引き続き、そこがすごく面白かった。
珀陽や子星たちは茉莉花に目をかけて親切にしてくれるけれど、かといって彼女を試さないわけではないんですよね。笑顔で黙したまま仕掛けられたトラップの多いこと・・・・・・「察しろ」案件多くて見逃しが怖すぎる・・・!

 

茉莉花は記憶力の高さが一番すごいけれど、後宮女官時代に鍛えられた目端のきく注意深さも大きな武器なんですよね。
改めて彼女の有能さに驚かされます(しかし、できる人できない人の線引きのくだりは玉霞に感情移入して辛かった・・・)

 

ゼロから官吏としての経験を積んでいくだけでなく、後宮女官だった経験を生かす場面が多いのが特徴的なシリーズになっていくのでしょうか。
完全な新人というわけではないから、新米ならではの失敗や恥かき展開とかはないんですよね。だからストレスフリーに軽く楽しめる。私は恥かき展開苦手だから助かったし、サクサク読めて楽しかったです。

 

むしろ、新米らしい可愛げある失敗を積み重ねるのではなく、新人研修の初っ端から茉莉花に対して重い覚悟を問うところが面白い。
「男社会な職場で頑張る女性」みたいな現代にも通じるテーマが一番目を引くけれど、それ以上に、時として命を賭ける中華宮廷闘争に身を投じることが本作の一番大きな面白みなのではないでしょうか。

宮廷が皇后派と反皇后派に分裂して政争を繰り広げるなか、官吏としての自分の選択が誰かの命を奪うかもしれない。

茉莉花にそれを突きつけた仁耀の話は「“たられば”ばかりで好き放題言いやがって」とムカムカしたものの、この先、茉莉花が出世するほどに彼女の選択は重さを増していくはず。
玉霞を助けるためにプライドを圧し折る、みたいな優しい選択ができる状況ばかりとは限らないんだろうなぁ。
むしろ厳しい選択をする展開を期待してます。その時に茉莉花が何を思い、何を選ぶのか、とても楽しみです。

 

今回のお話、首謀者が玉霞であるという真相までの流れが簡単に予想できて、その後にどんでん返しもなかったことは少し拍子抜けしたのだけど、よく考えたら副題からして「百年、玉霞を俟つ」なんですよね。
「百年河清を俟つ」をサッと連想できた人には(私はできなかった・・・)、犯人推理は大した要素ではなかったのか。

 

今後はどんな話になっていくのかなぁ。
茉莉花の活躍も楽しみだけど、同じくらい珀陽と茉莉花の関係が気になります。
飄々としてるように見えて実は心が傷だらけという珀陽。
そんな彼に茉莉花が寄り添って「二人で半分ずつ受け止めよう」って言葉を交わすシーンはすごく素敵でした。
あの場面は二人の心が結びついていく感じが伝わってきて、本当にとても良かった・・・・・・

 

でもまぁ、糖度はないなーw
まぁ石田リンネ作品だし・・・・・・と思ったらラストのこれはw
すごく気の長い約束だけど、果たして実現するのでしょうか?
ていうか実際のところ皇帝職を降りたら好きに結婚できるなんて能天気なオチは可能なのか。後継者問題とか政争とか諸々の面倒くさい話がセットになる気がするのだけど。
でも約束は約束なので、頑張って果たしてほしいものです。
どういう形で実現してくれるのか期待しています。

あ、でも次は地方編?さっそく離れ離れか???

 

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