クロハルメイカーズ ~恋と黒歴史と青春の作り方~/砂義出雲


クロハルメイカーズ ~恋と黒歴史と青春の作り方~ (ガガガ文庫)
クロハルメイカーズ ~恋と黒歴史と青春の作り方~ (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年3月刊。
クリエイティブにオタ活する「創造部」に、オタク知識ゼロの転校生が入部希望者として現れたことから始まる黒歴史生産系青春小説。
クリエイターの悩みと業の深さを感じる作品でした。そもそもオタクという存在自体、業が深いのか。
それにしたってこの主人公は恥が多い人生を生きてる感がすごい。
積み残しがあるのが気になったので続刊に期待しています。

☆あらすじ☆
衝動だけで突き進め! 漆黒の青春と創作!
小説、イラスト、CG、動画……。クリエイティブに関わる活動なら何でもありの「創造部」。
「俺たちはアマチュアだ!クオリティなど気にするのは百年早い!大切なのは衝動だ!」
湊介をはじめとする部員たちは、ただ好きなものへのあこがれと、情熱と、そして衝動に突き動かされ、純粋な創作活動をめざしていた。
しかし「自称ハイパークリエイトプロデューサー」「真性サブカル女」「クリーチャー好きの3DCGクリエイター」等、こじらせまくっているオタク部員ばかりの創作部は、生み出す作品がことごとく黒歴史に。
そんな中、新入部員募集のために創った自主制作まる出しのドB級ショートムービー「終末怪獣クソフラシツボドリル」が、オタク文化にまったく触れずに育ったお嬢様の転校生・比香里の心を掴んでしまって……。
「感動しました!私に色々教えてください!」キラキラと目を輝かせる比香里に、いい気になって創作論を説く湊介。しかし、いざ比香里との創作活動を始めようとするも、プライドや見栄、自意識が邪魔してドツボに嵌まってしまう。
黒歴史を恐れてはならない――でも、俺には才能がない!?
痛くも恥ずかしい、むき出しの青春群像劇開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

サブカル漫画大好きな2Dイラスト担当の楠瀬菜絵
クリーチャー大好きな3DCG担当の桃栗みとせ
男の娘のドMユーチューバー武見千春
ロボットアニメ大好きなネット声優日向夏若葉
そして彼らをまとめる自称ハイパー・クリエイト・プロデューサー澪木湊介

それぞれ得意分野が異なる5人のクリエイターが集まった「創造部」。
彼らが作ったPR映画を見た転入生星月比香里が入部を希望したことをきっかけに、創造部の騒がしい日常は(湊介的に)思わぬ方向へと転がっていくことになるのです。

 

同人活動(サークル活動?)をそのまま部活動にした青春小説で、長期スランプの真っ只中にいる湊介の迷走を通して創作活動の苦しみが印象的な物語でした。
私自身はクリエイティブな活動をしたことがないのだけど、初級者は何でも新鮮で楽しくて、中級者になると色んな壁にぶつかってひたすら苦しい、その壁を越えれば上級者への道が開けるけれど中級者コースはリタイアしたくなるほど長いという話は何にでも通じるな、としみじみ刺さります。

 

とはいえ、それを言い訳にする湊介のやり口は外道も外道、あまりにも卑怯すぎてドン引きでしたが。
お金で何とかしようとしたこと自体に罪悪感が見られなかったのも、プライドとは・・・?って思ったし。
躁うつ病みたいなテンションの主人公と、それを(スルーしてる体で)介護する創造部メンバーっていう構造も痛々しすぎてしんどかった。この主人公、面倒くさい構ってちゃんですね。わざわざ屋上に上がって騒動起こすあたり、ほんともう・・・・・・
ただ、彼の「才能のない自分に対する絶望」自体は共感できてしまい、何だかんだと憎めない主人公でした。

 

そういうわけで湊介の迷走自体はなかなか面白かったのだけど、ドン底からの奮起はあっさりだったかなぁという印象。
ラストもそうだし、菜絵の原点にしても颯介の原点にしても、展開や関係的に重要な描写がさらっと流されてるように感じて惜しい。好みの問題かもしれないけれど。

 

あ、でも、物語の合間に語られるオタクあるあるや菜絵のサブカルトークはすごく楽しかったです。
特にサブカル菜絵ちゃんの漫画話は面白かった。
作中でも指摘されていた「サブカルとオタクの区別」云々の話は興味があるからもっと掘り下げてほしかったかも。触れるな危険とか言わずに、いつか持論をぶちまけてくださいw
個人的にサブカル漫画といえば不条理エログロナンセンスバッドエンドってイメージ(だからハピエン至上主義の私とは相容れない)(でも読むと面白い・・・)なのだけど、オタク文化の中で(あるいは外で)どういう位置づけをされるのが一般的なのでしょうか。サブカルってなんだ。

 

オタトーク・サブカルトークを交えつつ、クリエイターの苦悩や葛藤を部活系の青春ものとして仕上げた楽しい作品でした。
きっと創作部がこれから作り上げていく様々な創作の大半が黒歴史になっていくのでしょう。黒歴史量産型青春小説ですね。つらい。
比香里の事情という闇が深そうなネタを放置して終わった点が消化不良なのだけど、そのへんは続刊で明かされるはず。期待しています。
それと、負けヒロインオーラ半端ない幼なじみ・菜絵ちゃんを今のところ推しているので、ぜひ菜絵ちゃんのターンを!

 

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