バスカビル家の狗1/糸宮むぎ

バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)
バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年4月刊。
ニートな侯爵家次男坊が、王女の近衛騎士となることから始まる主従ファンタジー。
低い自己評価と周囲の高評価の乖離が激しすぎる主人公。
そんな彼の、マニュアルを手放せないコミュ障っぷりと周囲のズレを楽しむ作品だと思います。これだけのハイスペックで何故そんなに自分に自信がないんだ・・・?と戦慄すること間違いなしです。
小動物みたいに可愛い王女と、少しずつ騎士としての自覚を芽生えさせていく主人公の関係も最高に好みでした。
惜しむらくは世界観・設定の微妙な緩さなのだけど、うーん、これは後で何かフォローがあるのかな・・・?

☆あらすじ☆
――我が身命を貴女へ賭す
父は王国宰相、母は前国王妹、兄は宮廷魔術師。
名門フォーマルハウト侯爵家は、代々バスカビル王家に仕えてきた一族である。
次男であるワイスもまた、史上最年少で最難関の特務級魔術師試験を突破し、学院時代は常に主席で生徒会長も務めた俊英。
誰しもから将来を有望視されていたワイスはしかし、王立学院を卒業後、就職先が見つからず――ニートとなった。
日々をぼんやりと過ごしていたワイスだったが、『親の七光り』で半ば強制的に庶民出自の第二王女・アメリアの近衛騎士を務めることに。
自己評価が低いワイスは、家族から授かった『会話応答集』を手にアメリアと対面を果たすが――
「本日よりアメリア様の近衛を務めさせて頂きます、ワイス・フォン・フォーマルハウトです」
なぜかアメリアは顔を赤く染めるばかりで……?
自分の顔が怖いからだと勘違いするワイスの前途多難な先行き。
――果たしてワイスは首にならずに職務を全うすることができるのか……!?

以下、ネタバレありの感想です。

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恋と悪魔と黙示録10 降り積もる恋のための寓話集/糸森環

恋と悪魔と黙示録10(仮) (一迅社文庫アイリス)
恋と悪魔と黙示録10(仮) (一迅社文庫アイリス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年4月刊。
過酷な運命を背負った少女と乙女な悪魔の冒険と恋を描いたラブファンタジー。その後日談を含めた短編集です。
これで本当に終わりなんですね。ああ、終わってしまった・・・!
後日談以外にも、本編の前日譚、幕間の掌編、そして「起こり得たかもしれない結末」を描いた闇落ちIFルートなど、驚くほど沢山のエピソードが詰め込まれた豪華仕様の1冊でした。すごい満足感。楽しかったです!

☆あらすじ☆
神魔を使役し《名もなき悪魔》の名を書に記す朔使(さくし)。人と獣の姿を持つ美しき神魔アガルと契約したレジナは、彼と恋に落ち共に生きていくことに。平和な地で悪魔の力によって起こった事件、魔となることが決められている少年の物語、優しい天使とのひととき……欠片たちが集まり、旧き物語と新しき物語が描き出されていく――。一途な魔物と乙女が織りなす、大人気悪魔召喚ラブ★ サイドストーリーと本編のその後を描いた物語集登場!!

以下、ネタバレありの感想です

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レッド・クイーン2 ガラスの剣/ヴィクトリア・エイヴヤード

レッド・クイーン 2 ガラスの剣 (ハーパーBOOKS)
レッド・クイーン 2 ガラスの剣 (ハーパーBOOKS)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年2月刊。
奴隷階級レッドと支配階級シルバーが存在する世界を舞台に、シルバーしか持たない異能に目覚めたレッドの少女の革命を描くファンタジー第2弾。
暗鬱に猜疑心と裏切りと絶望に満ちているストーリーで、めちゃくちゃしんどかったけど面白かったです。

「誰が誰を裏切るか分からない」をモットーに人間不信をこじらせていくヒロインの苦しみと葛藤がとても辛い。
家族も友達も仲間も愛した人すら信じられないまま、自分の中にある稲妻だけを頼りに少女は血塗られた道を突き進むのです。

怪物と化していくヒロインは、世界を変えることができるのか。

今後の展開にますます目が離せなくなる緊迫の第二巻でした。

☆あらすじ☆
赤と銀の血にこの剣(つるぎ)が染まっていく。追放された王子と奴隷の少女、シリーズ第2弾!反響続々! 〈レッド・クイーン〉シリーズ第2弾。
罠に嵌められ、“王女”から一転、反逆罪で追われる身となったメア。自分の他にも奴隷の身で支配階級“シルバー”の不思議な力に目覚めた人々がいると知り、捜索に向かう。無慈悲な国王に先を越されれば彼らに命はない――。メアは仲間を守るために戦いの先頭に立ち続け、手を血に染めるたびに傷ついていく。だが周囲からは畏怖され、孤立を深めて……。革命を背負わされた少女の孤独な戦い!

以下、ネタバレありの感想です。

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異世界にドラゴンを添えて/CHIKOTO

異世界にドラゴンを添えて (Atom Harako)
異世界にドラゴンを添えて (Atom Harako)

評価:★★★☆☆
2018年4月刊(Kindleのみ)
異世界転生した主人公が、ドラゴンに襲われドラゴンと戦いドラゴンを美味しくいただく異世界ファンタジー。
こちら、台湾産のライトノベルです。
翻訳者のAtom Harako(@harakoatom)さんの紹介で読んでみたのですが、なんだかすごく馴染みのある世界観で、台湾における日本のラノベ文化の影響をひしひしと感じる作品でした。
なんといっても作中で「異世界転生モノのテンプレ」をネタにするくだりがあるのに問題なく理解できて笑えるんですよ。海外小説なのに!
それでいて、細かな表現や言い回しなどは台湾のものであるため、随所に新鮮さも感じる作品でした。日本にはない表現に触れられるのは海外小説の楽しさだよなぁ。
肝心の内容は飯テロです。思った以上に飯テロでした・・・!
ドラゴンだけではなく、何から何まで「美味しそう」の罠だらけ。読んでるとすごくお腹がへります。
ドラゴンに対する不屈の食欲をみせる腹ペコヒロインは可愛かったし、異世界に戸惑いながら料理の腕を振るう主人公の頑張りも良かった本作。
気になるところで終わっているので続刊もぜひ翻訳してほしいなぁと期待しています。

☆あらすじ☆
定番の異世界転生と思いきや、俺はニートのおまけ───?!
台湾の高校生・慕飛は、成績優秀・容姿バツグン、おまけに世界的に有名なコックを父親に持ち、高校卒業後は自動的に事業を継ぐことが決まっている、正に非の打ちどころのない生活を送っていたが、トラックに轢かれそうになっていたニートを助けてやったために、ニートに巻き込まれるようにして異世界に転生してしまう。
けれど“ニート主人公でないとチート能力を授かれない”という慣例によって、異世界転生の主人公になれず、何の能力も与えられなかった慕飛は、初心者向けの村・バニータ村で雑用として働き始める。
異常にケチ臭いハーフエルフによって支配された閉鎖的な村での生活は苦しく、助けてやったはずのニートは『天選之子』として祀り上げられたことですっかり舞い上がり、慕飛のことを奴隷のように扱うのだった。
それでも自分の身を守る術も持たない慕飛には村から出て行くという選択肢はなかった。
しかしそんな彼の住む村を、突然一匹のドラゴンが襲ったことで、村での生活が一変してしまう。
果たして彼は異世界での生活を変えられるのか、
そして再び台湾に戻ることができるのだろうか───
台湾角川新人賞でデビューして以来、予測不能な展開で台湾のライトノベルファンを翻弄して来た作者が贈る、今までにない異世界転生ラノベ。

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額を紡ぐひと/谷瑞恵

額を紡ぐひと
額を紡ぐひと

評価:★★★★★
2018年2月刊。
「伯爵と妖精」「異人館画廊」の谷瑞恵さんによる、オーダーメイドの額縁を手がける額装師の物語。
婚約者を失ったヒロインが、額装という仕事を通して過去に向き合っていくというストーリーです。
額縁というと絵を飾る枠のイメージしかなかったのだけど、本作で描かれる「額装」は自由な発想と優しい願いによって紡がれる救済の形。
他者のために、祈りを込めて様々な額装を施していく主人公の仕事ぶりはとても厳かで美しいものでした。
彼女に仕事を依頼するのは心に傷を抱えた人々であり、主人公自身も癒えない傷を抱えている。
そんな彼らの喪失と再生がとても優しく切なく語られていく作品だと思います。
谷瑞恵さんの語り口、本当に好きすぎてしんどくなる・・・・・・

☆あらすじ☆
彼女は額装師。手放せない想いに、ふさわしい居場所をつくるひと。『思い出のとき修理します』著者最新刊。事故で婚約者を喪った額装師・奥野夏樹。彼女の元には一見額装不可能で、いわくありげな依頼ばかりやってくる。ヤドリギの枝、小鳥の声、毛糸玉にカレーポット――。依頼人の心に寄り添い、時にその秘密を暴いてしまう夏樹。表具額縁店の次男坊・久遠純は、夏樹の作品の持つ独特な雰囲気に惹かれ、彼女自身にも興味を持つが。

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紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目/来栖千依

紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目 (ビーズログ文庫)
紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目 (ビーズログ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年4月刊。
第19回えんため大賞ビーズログ文庫部門「優秀賞」受賞作。
日本からやってきた少女が英国で出会ったのは、美味しい紅茶を淹れる毒舌執事。
父が遺した執事喫茶を継いだ少女の奮闘を描く、妖精と紅茶と謎に彩られた英国ファンタジーです。
英国+妖精+執事まではふむふむと思ったけれど、その執事が「執事喫茶」の「執事」というのはびっくりしましたw
執事喫茶って本当にあの「執事喫茶」なのか〜
少し設定(というより要素かな)の詰め込み感が気になったものの、ストーリー的には綺麗にまとめて着地してくれたし、妖精が織りなす可愛らしく幻想的な情景はとても素敵。
これは続きに期待したいなぁ。楽しみにしています。

☆あらすじ☆
「行動を慎みますよう、ご主人様?」 異国ではじめる喫茶ファンタジー!
『執事喫茶シュガーリィテイル』の新しい主人として英国へやってきた有紗。しかし執事のギルは有紗を認めず態度が一変、毒舌に!! 立派な主人になろうと奮闘する中、ギルには妖精にまつわる秘密があると知り…?

以下、ネタバレありの感想です。

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落第騎士の英雄譚14/海空りく

落第騎士の英雄譚14 (GA文庫)
落第騎士の英雄譚14 (GA文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

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評価:★★★★☆
2018年4月刊。
「夜叉姫」西京寧音を掘り下げていくナジーム戦を描いた第14巻。
ナジームの存在めっちゃオマケ・・・・・・と思うくらい、寧音の目はたった一人しか見ていませんでした。
なんだか久しぶりに落第騎士のバトルで胸熱を感じた回だった気がする。面白かったです!

☆あらすじ☆
「≪夜叉姫≫、テメェはオレの同類だ。人間の皮を被ったバケモノよ!」
一輝やステラがそれぞれの戦いを優位に進める中、≪夜叉姫≫西京寧音と≪砂漠の死神≫ナジーム、二人の≪魔人≫による戦いもまた激しさを増しつつあった。
互いの力量を認め、かつそれをねじ伏せるために全力を尽くす強者同士の戦い。
その最中で寧音は、かつてKOKリーグで鎬を削った最高の好敵手≪世界時計≫滝沢黒乃との出会いを思い出す。
一方≪傀儡王≫をその射程に捉えたステラたちの戦いもまた、新たな局面を迎えようとしていた。
明らかになるそれぞれの過去と想い。騎士としての決意と覚悟が試される、死線の上の第14弾! 

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楽観戀情値千金 守銭奴王子と夢見る転生娘/我鳥彩子

楽観戀情値千金 守銭奴王子と夢見る転生娘 (コバルト文庫)
楽観戀情値千金 守銭奴王子と夢見る転生娘 (コバルト文庫)

評価:★★★☆☆
2018年4月刊。
前世の記憶があり楽観主義を強制された少女と、営業スマイル全開で腹黒な守銭奴王子の出会いから始まる中華ファンタジー。
楽観的かつ行き当たりばったりなノリで進みつつ、裏に隠された事情は意外とホンワカしていなかったりする本作。
とはいえ、我鳥さんらしいハイテンション&ハイテンポなラブコメだったと思います。
個人的には王子のキャラが好みだったかな〜。最後まで徹底した守銭奴で面白かったです。
ちなみに前世持ちヒロインではあるけれど異世界転生モノではありません。
あと「天都宮帝室の然々な事情」シリーズと繋がりのある世界観らしいのだけど、そちらは未読なんですよね。
特に問題なかったので、この作品から読んでも大丈夫だと思います。

☆あらすじ☆
三人の姉と王位継承権を争う王子・果潤は、自他共に認める筋金入りの守銭奴だ。半面、自分の益になりそうな人物には支援を惜しまないとも評判だった。そんな果潤のもとを、楽花という商家の娘が訪れる。楽花が言うには、彼女は「楽観国」という亡国の王女の生まれ変わりらしい。かつての王国を取り戻せば大金も手に入るからと、王国再興のために力を貸してほしいと頼まれた果潤だけれど…?

以下、ネタバレありの感想です。

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茉莉花官吏伝2 百年、玉霞を俟つ/石田リンネ

茉莉花官吏伝 二 百年、玉霞を俟つ (ビーズログ文庫)
茉莉花官吏伝 二 百年、玉霞を俟つ (ビーズログ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年12月刊。
元後宮女官が女性官吏として政治の世界で成長していく立身出世物語第二弾。
前回は科挙受験というプロローグ的な話だったからか、実際に新米官吏として動き回る今回の方が面白く感じました。
「かわいい顔しながらろくでもないことを考えて実行できる女」という、ある人の茉莉花評がとても好きw

☆あらすじ☆
1巻即重版御礼! 立身出世物語(シンデレラストーリー)、本格始動!
科挙試験を好成績で合格し、新米官吏となった茉莉花。ところが珀陽は、「早く手柄を立ててね」とまたも無茶を言い出す始末。そんななか、赤奏国の皇帝が突如やってきて女性官吏に世話をさせろと言い出し……!?

以下、ネタバレありの感想です。

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さくら花店 毒物図鑑/宮野美嘉

さくら花店 ~毒物図鑑~ (小学館文庫)
さくら花店 ~毒物図鑑~ (小学館文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年4月刊。
植物の声を聞くことのできる花屋の女主人。
人の心を癒そうとする花に呼ばれ、彼女の花屋には心を病んだ人々が次々と訪れます。
これは、そんな花屋の怖くて優しい日常と謎を描いた連作短編集です。

宮野美嘉さんと言えば「幽霊伯爵の花嫁」シリーズ(ルルル文庫)などのヒット作を出した作家さん。
たとえコメディタッチに描かれていても、どこか仄暗さの滲む作風だと個人的には思っています。いつも誰かしら病んでいるから・・・

そして本作はまさに宮野美嘉!って感じの作品でした。誰かどころか、みんな病んでる。
花を愛し花に愛されるヒロインも、彼女の夫である気難しい樹木医も、夫婦のところに居候する少年も、そして花屋を訪れる客人たちも、心を病んだ人ばかり登場するんです。
そこが恐ろしくもあり、哀しくもあり、愛おしくもあり。特に主人公夫妻の歪みを感じる関係には要注目です。

ルルル文庫なき今、宮野美嘉さんの少女小説をまた読めるのか(ガガガのシリーズはあるものの・・・)と不安になっていたのだけど、小学館キャラブン!で読めるようですね。安心しました。

☆あらすじ☆
傷つき病んだ心を呼ぶ店――癒しの花物語。
住宅街にひっそりとたたずむ「さくら花店」。レトロな雰囲気の小さなその店にやってくるのは、心に深い悩みを抱える客ばかり。それは植物たちが、傷ついた人の心を癒そうとして彼らを呼び寄せているからだ。
そんな不思議な花店を切り盛りするのは、植物の声を聞くことができる、店主の佐倉雪乃。悲しい人々を救おうとする植物の願いを受けて、その手助けをするのが雪乃の仕事だ。
今日もさくら花店には、暗い顔をした客がやってくる。
「旦那を殺したら罪になるんですかね…」
呟く女性の心を救いたいと言う可憐な花たちの横で、雪乃はそっと微笑む。
「あなたはここへ呼ばれてきました。花は病んだ人を呼ぶんです。あなたは花に癒されるために、ここへ来たんですよ――」
不思議な力を持つ雪乃を支えるのは、極度の人嫌いでぶっきらぼうな樹木医の夫、将吾郎。
風変わりな夫婦の日々と、植物にまつわる事件を描く、優しくて怖い花物語。

以下、ネタバレありの感想です。

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