世界の果てのランダム・ウォーカー/西条陽


世界の果てのランダム・ウォーカー (電撃文庫)
世界の果てのランダム・ウォーカー (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年3月刊。
第24回電撃小説大賞《金賞》受賞作。
天空国家から調査のために地上に派遣された二人組を通して、様々な世界の不思議を描いていくファンタジーです。
同じ地上とは思えないほど文明レベルの差が激しいこともあって、闇鍋のような趣のある作品でした。そこが面白かったけれどw
規則に縛られない自由な女上司と、彼女をフォローしようとする青年部下の関係も良し。そもそも男女バディものってだけで好みです。
全ての謎を綺麗に解き明かすわけでもない不思議な読後感ですが、人が世界を知ろうとする事自体が無謀なのでしょう。壮大に広がりを持った世界観が魅力的な作品でした。

☆あらすじ☆
世界を知りたいヨキと、世界を愛するシュカ。二人が織りなす、少し不思議な物語。
深く、広い世界。その全てを知ろうと、天空国家セントラルは各地に調査官を派遣していた。調査官であるヨキとシュカは、多大な個人的興味と、小指の先ほどの職務への忠誠心を胸に、様々な調査をする。これは二人が世界を巡り、人々と出会い、(時々)謎を解き明かす物語である。
「――とかいって、なんか凄く良い話みたいだね、ヨキ」
「どうでしょうね。僕はシュカ先輩が真面目に仕事をしてくれるなら何でもいいですけど」
凸凹調査官コンビによる、かけがえのない時間をあなたに。

以下、ネタバレありの感想です。

 

はるか上空にあり、技術が高度に発展した天空国家「セントラル」
物語は、セントラルの調査員であるシュカヨキの様々な任務を通して、連作短編式に地上世界の各地に散らばる不思議を描いていきます。

 

第一章「黒い瞳」では、青く燃える山の不思議と、謎の石化現象、そしてそれに関わる「黒い瞳の悪魔」について。
第二章「アルナイルの自己複製機」では、わずか数日で砂漠に現れた都市の謎について。
第三章「龍鱗病」では、子どもだけが侵される奇病と不思議な言い伝えの関係について。
第四章「電子の楽園」では、電脳世界が以上発達した世界で起こった連続変死事件について。
最終章「エスレヘム」では、全ての生物の起源について。

各章それぞれ作風が異なっていて、謎を科学で解き明かせるものもあれば、超科学だったり超自然現象だったり、果ては神の如き超常現象だったりと、謎解きの果てに待っている真実も多種多様なものでした。

 

特に三章の、宗教の闇に科学の光を当てるタイプの話と思わせて、そんな人間の小さな枠組みにとらわれない壮大な真実が待っているところとか本当に面白かった。
善悪を超越した存在を前にした人のちっぽけさに震えます。直前までの哀しみが吹き飛んでしまいました。あの子たちは自然の一部になったんだな・・・って・・・・・・

四章も突然のSFで不意打ちを食らわせ、そのくせラストは超常存在を引っ張り出すという、なんとも言えず後を引く余韻がくせになりました。この四章に登場した街が中華風だったところも新鮮で面白かったです。
他のエピソードも奇妙な読後感を得るものが多くて、この作品なら何でも書けるな!という世界観の懐の広さを感じます。

 

そんな世界を前にして、好奇心や探究心の尊さを語っていくところも好き。
知らない世界を知ろうとするのって、世界への無垢な憧れを感じます。
人類の果てを知りたいからこそ人類の起源に興味を示す、っていうヨキの考え方も面白い。
始まりと終わりは表裏だから、果てのない好奇心はいずれ「そこ」へたどり着くものなのかも知れません。遠大すぎて目眩がしそう。
是非この調子でどんどん世界を広げていってほしいものです。

 

物語の主役であるシュカとヨキの関係性もGOOD。
シュカに憧れ、上司である彼女を守るのが部下の役目と自負するヨキ。
自由気ままに生きてるように見せて、ここぞという時の頼りがいが半端ないシュカ。
独特のコンビネーションで調査をこなしていく二人の信頼関係はとても良いものでした。
特にシュカの立ち位置が好きです。実は何でもお見通しな感じ。ヨキは守られてるよなぁ。

 

もっともっとシュカとヨキの旅が見たいです。シリーズ化に期待しています。

 

スポンサーリンク
 
0

「世界の果てのランダム・ウォーカー/西条陽」への2件のフィードバック

    1. 茶一こりんさん、コメントありがとうございます。

      お久しぶりですー(^o^)
      ぜひぜひ!
      ファンタジーでSFでオーパーツやらが満載の楽しい作品ですよ〜

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。