雪華後宮記 宮女試験とユーレイ公主/在原小与


雪華後宮記 宮女試験とユーレイ公主 (富士見L文庫)
雪華後宮記 宮女試験とユーレイ公主 (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2017年2月刊。
宮女試験を受験中に、殺されて幽霊になった公主と出会った(目をつけられた?)(取り憑かれた?)少女が、幽霊と協力したり皇子に協力したりしつつ、様々なトラブルを乗り越えていく中華ファンタジー。
幽霊やら殺人事件やらの物騒な事情に巻き込まれて冷や汗を垂らす一方で、なにげにマイペースなところが光る主人公でした。なかなかに肝が太くて素敵。
物語的に少し中途半端なところで終わっている点が気になったものの、キャラも展開も面白かったので今後に期待できそうな予感。続刊が楽しみです。

☆あらすじ☆
宮女試験で待っていたのは無理難題と幽霊公主? 後宮謎解きファンタジー!
亡き母によく似た貴妃に会うために宮女を目指す見習いの雪。挑んだ宮女試験で待っていたのは、匂いのしない香の落ち葉探し。戸惑う雪の前に、更に半年前に亡くなった公主・リィリィの幽霊も現れて――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

母に似ている貴妃と会うため宮女になると心に誓い、宮女試験に挑む少女・王雪(ワンシュエ)
その試験の最中、雪はある幽霊と出会うのです。その幽霊の正体は殺された第一公主・リィリィ

「雪は私の力を借りて宮女試験に合格する。私は雪の力を借りて、私を殺した犯人を見つける。良いお話でしょう?」

取引を持ちかけるリィリィに対し、最初は拒否していた雪。
しかしリィリィの弟皇子・雅風(ヤァフォン)からも目を付けられてしまった雪は、彼ら姉弟の犯人探しに協力させられることになりーー

 

雪には内功と呼ばれる特殊能力(超能力?)があり、ミステリー色だけではなくファンタジー色も強い本作は、リィリィと協力して難題だらけの宮女試験を乗り切っていく雪の奮闘を中心に描かれていきます。2人のタッグはキュートな躍動感があってとても楽しかったです。
まぁ、リィリィの強引なやり口(死んだ皇族の形見を身につけさせるとか恐ろしすぎる)をみると、これは幽霊に取り憑かれた案件なのでは??とも思ってしまうのだけどw
しかも貴妃に会いたいという目標しかない雪からすると、皇族の権力闘争に繋がるトラブルに巻き込まれたことは可哀想としかいいようがありません。うーむ合掌。

 

とはいえ、「トラブルに巻き込まれた不運な少女」という悲愴感は全くなく、皇族相手にもマイペースなところが目立つ雪。
あまりかしこまってないし、敬語もしょっちゅう忘れるし、嫌なことは嫌って言うし、自分の意思を曲げない強い子なのだと感じます。
巻き込まれ型でも自分の意思をしっかり持ってるヒロインは良いものです。

 

そんな雪を自陣に引っ張り込んだ雅風も良キャラ。
雅風って寂しがり屋の弟分みたいなキャラクターなのだけど、個人的に面白かったのは、そんな彼の繊細な心の機微を彼からは見えない幽霊の姉が実況解説したシーン。

『雪、名前で呼んでやってよ。雅風ね、昔から皇子って呼ばれるのが嫌いなのよ。皇子はいっぱいいるから誰が誰だかわからないって拗ねるのよ。(中略)宮中は敵が多いから寂しいのよ』
(中略)
『……意外ね。滅多に見られない雅風の貴重な姿だわ。いつもは感情を表に出さない無愛想な態度なのに珍しい。雪に少し心を許しているのかしらね』

は、恥ずかしい…!
家族に内心をリアルタイムで暴露されるとか死ぬほど恥ずかしい!!
暴露されてる本人はそれを知らないというのが、また・・・・・・

うっ、ダメです、、私の不憫萌えセンサーが反応してしまう。雅風すき・・・!

 

弟の内心をのほほんと暴露してくれた姉幽霊リィリィも負けず劣らずの良キャラでした。
ただ、この物語がどんな結末を迎えるにせよ、彼女の死という事実だけは揺らぎそうにないのが切ない。叶わなかった恋の話があるだけ余計に。
せめて心置きなく成仏してくれることを祈るしかありません。

 

そのために必要なのは真犯人を明らかにすること。
今回起こった女官の殺人は別件だったようだけど(この事件がクライマックスなのに犯人の動機がよく分からないまま終わったのは惜しい)、今後は雅風の女官として犯人探しが本格化していくのでしょう。
本来の目的だった貴妃の正体についても気になります。本当に母親とは無関係なのかな?

いずれにせよ、次巻に期待しています。

 

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