後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む/はるおかりの


後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む (コバルト文庫)
後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む (コバルト文庫)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年10月刊。
純愛と泥沼と謎解きの中華後宮ミステリー第7弾。
今回は「後宮楽華伝」の13年後、前作であまりにもあんまりな目にあった皇子がヒーローです。
そして中華風にアレンジされた「作家もの」の趣もあり。編集者的なポジションのヒロインと趣味で小説を書いていたヒーローのやり取りが可愛らしくてツボでした。
ちなみに今回のヒーローはツンデレ(強)。まぁ彼の過去を考えれば人間不信になっても仕方ない・・・・・・
純愛の影でエグみが爆発するところも相変わらずでした。今回もとても面白かったです。

☆あらすじ☆
幼い頃、母が皇族殺しという大罪を犯し、自身も母に斬りつけられたため、心身に深い傷を負った高秀麒は、崇成帝の皇子でありながら“ごくつぶしの六皇子”として日陰を生きてきた。そんな秀麒のもとに、皇太子の花嫁候補・念玉兎が花嫁になりたいと名乗り出てきた。秀麒に一目惚れしたというのが表向きの理由だったが、本当の理由は密かに関わっていた本の刊行の仕事を続けたかったためで!?この上なく本を愛する出版姫×人知れず物語を綴るごくつぶし皇子。中華後宮ミステリー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

本が大好きで自分で編集・出版までするくらい活動的な姫君・念玉兎
後宮入りを避けたかった玉兎は、最も玉座から遠い皇子・高秀騎に一目惚れしたと嘘をつき、まんまと彼の花嫁の座をゲットする。

 

・・・・・・という花嫁の事情をうっかり立ち聞きしてしまった秀騎の姿を、私は涙なくして読めませんでした。

 

母親(と父親)のせいでかなり悲惨な境遇に置かれ、周囲の蔑みと自分への絶望で自己評価は底辺を這いつくばり、そんなところに玉兎のことを聞いて「こんな自分に惚れてくれる子もいるんだなぁ・・・(*´∀`)」と浮かれたところで内緒話を立ち聞きさせるとか・・・!あんまりだ!

 

前作も似たような流れでヒーローが天国から地獄に突き落とされてたけれど、これはもう作者様の性癖ですよね・・・?
私も好きです・・・・・・不憫萌えがしんどいね・・・・・・

 

まぁ上げて落とされた後は、上げまくってもらえるから萌えを安心して楽しめるわけで。
このシリーズはそのへんの信頼がばっちりなので、最悪な状況から二人がどう立ち直ってラブラブになるのかが見どころでした。
毎回色んな形で「望まぬ結婚から始まる恋」を描いていくシリーズだけど、今回は中華風にアレンジされた小説家と編集者(刊工)の恋って感じで、二人三脚の本づくりを通した二人の交流がとても可愛らしくてニヨニヨしました。

 

母親に刺され、息子だからという理由で栄家の関係者から恨まれ、皇族からは凄絶に虐められ、人間不信をこれでもかとこじらせてきた秀騎。
そんな彼が、自分の書いた小説を喜んでくれた玉兎に少しずつ心を開いて、癒やされていく姿には胸がじーんと温かくなります。
ツンデレの棘が抜けていくのって、なんでこんなに萌えてしまうのかなぁ。

 

まぁ秀騎の人間不信はとても根強くて、何度も何度も玉兎を疑うところはめんどくせー奴だとも思ってしまうのだけど、これはもう仕方ない。
簡単に人を信じられるような人生を送ってないですもんね。
玉兎がやったように、信じていいと思えるまで存分に疑惑を調べたら良いと思う。
その方が「君を信じる」って言葉だけで約束するよりも二人にとっては健全な関係なのでしょう。うん。もし自分だったら嫌だけどな!

 

ツンデレ小説家とお転婆編集者の純愛はとても素敵だった一方、お約束の泥沼愛憎劇は今回も悲惨。
皇太子の恋の方はまだ切ない悲恋って感じで良かったのに、黒幕の恋は本当にどこにも救いがなくてウッ・・・・・・
栄家取り潰しの遺恨の重さに震えます・・・・・・あの母親はなんちゅう重い業を息子に背負わせるのか・・・・・・ていうか知らん顔してる父親も父親で・・・・・・

 

まぁこんなにも親が酷いからこそ「君がいなければ、双非龍は生まれなかった。いわば君は、私の生みの親だ」って台詞に感動したのですけどね。
この台詞好きだなぁ。「生みの親」という存在の重みを良くも悪くも知っている秀騎だけに、彼の中での玉兎の存在の大きさが伝わってくるというか。
自分を否定してきた秀騎が玉兎との恋を通して自分を肯定できるようになるという、秀騎の成長の物語としても面白かったです。

 

さて、シリーズが7作目となり、最初の頃のキャラがポツポツとお亡くなりになってきましたが、次はどれくらい時間が飛ぶのでしょうか。
そろそろ「後宮饗華伝」「後宮錦華伝」あたりの夫婦がやばそう(不吉な予想)

 

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