木津音紅葉はあきらめない/梨沙


木津音紅葉はあきらめない (集英社オレンジ文庫)
木津音紅葉はあきらめない (集英社オレンジ文庫)【Amazon】

評価:★★★★☆
2017年10月刊。
反骨精神たくましい女子高生が、自分を利用しようとする義父への報復を画策する現代ファンタジー。
勝ち気で傲慢で我が道を行く、女王様のごときヒロインがとても魅力的でした。
彼女の型破りな生き様は見ていてすごく楽しいのだけど、その裏に抱える孤独が切なかったり、神狐と寄り添う姿に萌えたりと、うん、なんというか「梨沙さん、ほんと分かってらっしゃる〜」と言いたくなる新作でした。好き。超好き。
一応は綺麗に終わっているけれど、ぜひシリーズ化してほしい!

☆あらすじ☆
巫女の神託によって繁栄してきた木津音家。
分家の娘ながら御印を持つ紅葉は、本家に迎えられた。
だがその目的が神狐とつがい、次代の巫女を産むためと知り、反逆を決意。
家族や友達と離され道具扱いした本家当主に報復するため、神狐を巻き込み反旗を翻す!

以下、ネタバレありの感想です。

 

神狐の血を引く巫女の神託によって繁栄してきた木津音家の養女・紅葉
神狐の花嫁である証「御印」を持って生まれた紅葉を神狐とつがわせ、弱まってきた巫女の力を取り戻そうとする義父の狙いを知った紅葉は、根深い義父への恨みを晴らすべく、神狐と協力して義父を陥れる方法を考え始め―― というのが本作のストーリーです。

 

本作はとにかく紅葉のキャラクターが最高でした。
周囲をブンブンと振り回す勝ち気で強引な性格と、木津音寛人に振り回されてきた陰惨な過去。
その表と裏が一体となって紅葉という人間を一筋縄ではいかない味わい深いキャラクターに仕上げていたと思います。

 

そもそも抉れたキズにハエがたかり泥水をすする子ども時代からして、なかなかにヘビィ。
木津音家や学校での孤立という悲惨な境遇が明らかになるまでもなく、紅葉が単なる金持ちのワガママ娘でないことは序盤から明らかなのです。
こんなヒロイン、興味を引かないわけがありません。

 

不憫な境遇にあるにもかかわらず、同情を片っ端から吹き飛ばすタフなメンタルと根性を見せてくれる紅葉。
中盤の山場である会長選が始まる頃には、紅葉のパワフルさにすっかり魅了されてしまっていました。
彼女の報復を応援したくなる気持ちが高まるほどに、「紅葉は次に何をするんだろう?」と期待でワクワクしていました。

 

そんな風に「紅葉の強さ」が描かれる一方で、事あるごとに語られていくのは「紅葉の弱さ」。
彼女の強さは嘘ではないのだけど、それが全てでもないところが何とも切ない。
紅葉の強さの中には虚勢と見栄がたくさんあって、その歪みが紅葉の脆さを感じさせるというか・・・・・・
家族に売られ、親友を突き放し、義父から与えられる愛は薄っぺらく、屋敷でも学校でもひとりぼっち。
そんな環境で、紅葉がどれだけ気を張って強くあろうと生きてきたのか。徳太郎との関係は彼女の脆さの象徴のように思えました。
徳太郎、最初ほんとイライラしたのだけど、彼らの関係は歪んだ形であっても繋がっていることに意味があったんですね・・・・・・これはこれで萌える。

 

まぁ一番萌えたのは、神狐・七星との関係ですけども!
七星って割と良いキャラしてるのに、紅葉の濃すぎるキャラに押され気味なのが少しだけ可哀想でした。作中でも「キャラが濃いのに影が薄い」呼ばわりされてて笑ったw
それでも決めるところはしっかりと決めていくところが美味しいヒーロー。
特に狐ベッドが最高でした・・・・・・孤独を抱える二人が互いの中に居場所を見つけるっていうの、最高に好きです。超萌えます。
始まりはツンケンした関係だったのが最終的には「攫ってやる」となるところも好き。相変わらず梨沙さんの恋愛描写は萌えのツボをしっかり押さえていらっしゃいます。

 

さて、物語的には一応綺麗に終わっているけれど、シリーズ化でもできそうな雰囲気。ていうか続いてほしい。
個人的には司の意味深な行動が気になります。
あれは結局、紅葉の味方とみせかけて寛人の犬だったということなのか、それとも彼には更なる思惑があるとみるべきなのか。
司は家で結花にみせた二枚舌っぽいところが胡散臭すぎて不信感ありありです。もう紅葉には七星がいればいいよ・・・・・・

 

紅葉の復讐も、一応の方針は決まったけれど「俺達の戦いはこれからだ」エンドですよね?
プレプレオープン潰しがあまり痛手になっているように見えなかったので、ぜひ寛人がぎゃふんと言う結末まで見届けたいものです。

 

あ、もしシリーズが続くなら結花との絡みを増やしてほしいな!
この義姉妹の関係は個人的にすごく良かったので。
安直な敵対関係じゃないところが好みだし(結花は「普通の女の子」なところがポイント高い)、会長選のオチも素敵。
もっと二人が仲良く喧嘩するところが見たい! というわけで続刊待ってます!

 

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