屍人荘の殺人/今村昌弘


屍人荘の殺人
屍人荘の殺人【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2017年10月刊。
第27回鮎川哲也賞受賞作。
面白かったー!
早川書房公式Twitterアカウントの感想RTをみて「どうもこの作品はネタバレ厳禁らしい」と悟り、前情報をできるだけ目に入れないようにして挑みました。
結果、大正解。
そしてネタバレしまくりで感想書きます。
いやだってネタバレせずに感想書くの難しいよ・・・・・・もはやどこからネタバレになるのかすら分からないよ・・・・・・
とりあえず本格ミステリに期待するロジカルなスッキリ感は最高でした!

☆あらすじ☆
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?! 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!

以下、ネタバレありの感想です。
配慮なしです。未読の方はご注意ください。

 

 

さて、もう最初から全力でネタバレしますけど、これがゾンビものだということを私は知らなかった。
なので、肝試しの最中に起きた事件からの急転直下な展開には本当にびっくりしました。
いや確かにその前から怪しげなおじさん達が怪しげなことをしてて、「あれ?まさか・・・」という予感はあったけどさぁ。タイトルにも確かに「屍人」ってあるけどさぁ。
でもこの作品がゾンビパニックホラーだなんて分かるわけないじゃん!
宣伝も超気を使って隠してましたよね??
おかげでまんまと動揺しましたよ・・・・・・
「マジかよ・・・」って一旦本を閉じたほどですよ・・・・・・

 

しかも更なる衝撃が追い打ちをかけるのです。

 

ていうかほんとあの明智先輩の最期はなんなの・・・!

 

マジかよ・・・ウソでしょ・・・!って混乱しながらまた本を閉じちゃったよ!

 

え、だってこの人「神紅のホームズ」とか呼ばれてて、「明智」っていかにもな名字で、語り手で助手の葉村くんとも絆の強さを感じるコンビで、初っ端に披露したカレーうどんの推理でキャラ立てもバッチリで、そらもう「こういう名探偵もいるよね」って感じのKYな変人で・・・・・・

そんな、そんな、殺人事件の推理ひとつ披露することなくあっさり退場するような人とは思わないじゃないですか・・・!
意味深な過去の事件とか、合宿の脅迫状とか、ペンションの間取図とか、さぁこれから本格ミステリを始めるぞ!って雰囲気がこれでもかってくらい高まっていたのに探偵役(の1人だと思っていた人)が殺人事件の前に死んじゃうなんて思わないじゃないですか!しかも死因がゾンビかよ!

 

ていうか私はカレーうどんのくだりの葉村&明智のコンビニ掴まれてワクワクしながら読み始めたので哀しみも深くて(´;ω;`)
明智先輩、推理力の微妙さが好きだったのに・・・・・・本気で惜しい人を亡くした・・・・・・
こっそりワンチャンあるかと期待していたのでラストシーンの「俺のホームズ」「彼は、私のワトソンだ」の台詞に泣きました。

 

明智先輩退場の衝撃を引きずったまま、あれよあれよと言う間に葉村一行はペンション紫湛荘に追いやられ、1階部分を含めたペンション周辺を大量のゾンビに取り囲まれ、クローズドサークルが完成してしまうのです。

クローズドサークルものだとは聞いていたけれどクローズドになった原因が予想外すぎました。
「がっこうぐらし!」を思い出します。だいたいあんな感じの状態ですよね。

 

出入不能な密室空間が完成されたとなれば、次に起こるのは殺人事件。
ゾンビで私もパニックになったけれど、この作品はミステリーなのです。驚くほど本格的にミステリーなのです。

 

わずか数名の生存者で立てこもったペンション。バリケードを作ったことでゾンビは中に入れない。
しかし、鍵のかかった個室の中でゾンビに噛みちぎられた惨殺死体が発見される。

 

「ゾンビ」という飛び道具はあれど、事件の舞台設定、謎、そして解き明かされていく真相の全ては実に論理的だったと思います。
むしろ「ゾンビ」をよくもここまで殺人事件に組み込めたなって感じ。
散りばめられたパズルのピースを拾い集め一枚の絵に組み立てる爽快感を、こんなゾンビゾンビした事件で味わえるとは思ってもみませんでした。なんて新鮮な読書体験。
殺人トリックにゾンビを利用するっていうのが発想の勝利だと思うんですよね。しかもめちゃくちゃ使い倒す。
そのくせヒントの出し方がフェアだから文句の付けようがありません。
こんな異常な舞台設定で組み立てる推理を「なるほど!」って納得できるのすごくないです?
特に進藤の件。あぁ〜〜〜そっか〜〜〜そうだよねぇえええ〜〜〜〜って唸りました。あのシーン怪しいと思ってたんだよ!って負け惜しみたい。

 

ゾンビと明智先輩のことばかり語ってしまったけれど、真の探偵役である剣崎比留子も魅力的な探偵少女だったと思います。
自分の頭を整理するために葉村くんの頭をワシャワシャするの可愛いすぎませんか。この無防備さはどこまで無自覚なのかなー?
明智先輩は残念だったけれど、彼の死を乗り越えて、このまま比留子と葉村くんが良いコンビになってくれると嬉しい。
事件を引き寄せる比留子の業があるから続編は作り放題のはず。
ゾンビの次はどんな奇想天外生物を本格ミステリと掛け合わせるのでしょうか。とても楽しみです。

 

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