竜宮輝夜記 時めきたるは、月の竜王/糸森環


竜宮輝夜記 時めきたるは、月の竜王 (角川ビーンズ文庫)
竜宮輝夜記 時めきたるは、月の竜王 (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2017年10月刊。
面白かった〜!
「花神遊戯伝」「恋と悪魔と黙示録」の糸森環さんの新作。
空中に浮かぶ「天の都」を舞台とする和風ファンタジーです。
人に対して複雑な感情を抱く四竜と、死を覚悟して竜の世話をする少女。
彼らの出会いや設定はダークなのだけど、その割にシリアス色は強くなく、コミカルにすれ違う彼らの日常をテンポ良く描いていく物語でした。心にもないことばかり言う竜たちが可愛すぎてしんどい。
平安ベースの凝った世界観も楽しかったし、ぜひシリーズ化してほしい新作です!

☆あらすじ☆
あなたのために生きる──少女は竜王に全て捧げると決めた。
「おまえは神の皮をかぶった怪獣にはべる」──黒竜・由衣王にそう告げられ、世話係として人間の娘・紗良は召し上げられることに!?
神竜が人を護る世界で、運命の少女と竜王が織りなす和風ファンタジー恋絵巻!

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、空中に浮かぶ都に住む天上人と、地上に住む身分の低い里人たちが、天地に分かれて生きる国『右記ノ國』。
里人の少女・紗良は、神霊に奉仕する奴隷・神奴冶古に選ばれた親友を庇って身代わりとなり、四竜の住む天都に行くことを決意します。
神奴冶古となった里人は二度と帰ることはできず、確実に数年で死ぬと知りながら――

 

しかし、命を捨てる覚悟を決めた紗良を待っていたのは、人間に対する愛情を複雑にこじらせた竜たちとの日常。
偶然にも彼らの内心を知った紗良は、下手くそな意地悪を繰り返す優しい竜たちに心を惹かれていくのです。

 

というわけで、紗良と竜のぎこちなくも可愛い日常が描かれていく本作。
序盤の展開からシリアス系かな?と思って読んでたのだけど、由衣王が「入水したい」って言い出したあたりからこれは違うと理解しましたw
本当は人を愛でたいのに、人を守るために人を死なせてしまうというジレンマを抱える竜たち。
彼らが一生懸命紗良に嫌われようとする姿がいじらしくて面白くて、ひたすらほのぼのしていた気がします。

 

四竜はみんな可愛いのだけど、やはりダントツは由衣王かなー。
逆ハーレムっぽい雰囲気はあるけれど、由衣王の扱い的に彼がメインヒーローなのでしょう。
由衣王、「ただの親切な方」っていう紗良の直感がまさにその通りだし、最初のお迎えから優しさを隠せてないし、「鬱だ死のう」みたいなノリで「入水したい」ってすぐ言うし、メンタルが繊細すぎて可愛いすぎました。やんごとなき可愛いさ・・・・・・
糸森さん、人外ヒーローの可愛さを描かせたら右に出るものがいないまである。

 

紗良に意地悪することで死ぬ前に早く逃げてもらいたい竜たちと、竜たちの心を知って戸惑う紗良の関係も良いものでした。
意地悪の体で親切にしてるのが本人にバレバレっていうのがw 恥ずかしいww
人外特有のズレた価値観や行動も面白かったです。
真面目に腿肉を食わせようとするのは、親切・・・なのか??

 

また、「竹取物語」の要素を感じる部分も楽しかったです。
ストーリーラインは全くのオリジナルだけど、小ネタは結構入っていたような?
紗良のリクエスト(本当は違うけど)でプレゼントを探してみたり、「蓬莱の玉の枝」を取りに行ったり(行ったのは紗良だけど)、ラストは地上に降りた紗良たちを天から大仰なお迎えの行列がやってきたりとか。

 

竹取物語とは違い、紗良の物語はシンデレラストーリーですけどね。
「斎花」のくだりは「花神遊戯伝」を思い出したなぁ。
「花神遊戯伝」はヒロインに対する鞭展開のオンパレードだったけれど、こちらはどうなるのでしょうか。続くなら本格的に巫女ものにシフトしていくのかな?
この巻の内容はあとがきにもある通り、鞭展開はほぼなかったし、あまり厳しい物語にはならないのかもしれません。竜たちがめっちゃ優しいからなー。

 

平安京ベースの凝った世界観が楽しかったし、竜たち(特に由衣王!)と紗良の関係がここからどうなっていくのか気になります。
天上人の側はきな臭いし、里人の紗良が斎花となったこともトラブルの種になりそうな予感・・・!

 

それと、紗和子はもう出てこないのかな?
紗良との友情にめちゃくちゃ感動したのだけど・・・・・・二人とも本当に良い子だった。
お互いを思いやる少女たちの友情に竜と一緒に涙。

 

何はともあれ次巻(あるかな?)にも期待しています。
シリーズ化してください!

 

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