聖王国の笑わないヒロイン1/青生恵


聖王国の笑わないヒロイン 1 (ヒーロー文庫)
聖王国の笑わないヒロイン 1 (ヒーロー文庫)

評価:★★★★☆
2017年9月刊。
これ、めちゃくちゃ好きです!!面白かった!!
乙女ゲーム転生モノの様式に沿いつつ、主人公本人は非転生者という設定が絶妙なファンタジーでした。

ゲーム転生モノって、ストーリー進行上の目的がハッキリしているところが好きなんですよね。
その良さを取り入れつつ、非転生主人公の一人称視点で語られる本作はメタ的なノリが最小限に抑えられているのでファンタジーの世界観を壊しすぎないところが個人的には高ポイントでした。ハイファンタジーとゲーム転生モノの長所を両取りした感じかな。

主人公の女騎士は格好いいと可愛いのバランスが素晴らしいし、脇役たちも魅力的に生き生きしていて素敵。
恋愛要素も私好みで大満足です。
主人公と、彼女を振り回す冒険者の関係性には萌え転がった・・・!

内容的にはまだ序章といったところ。続きがすごく楽しみです!

☆あらすじ☆
王国魔法騎士団の女騎士ニア・エウクレストは、その美しさとは裏腹に、女である自分を封じて生きていた。
そんなニアは、立ち寄った魔法具店で男に声をかけられる。「あんた、エルティニアだろ!?」。
それは、五年前に死亡したとされる少女の名前。悲劇の美姫と謳われた伯爵令嬢エルティニアは過去を捨て、今や女騎士ニアとして生きていた。
その男アルンバートは自らを転生者だと主張し、エルティニアこそ前世で見た物語の「ヒロイン」だと告げる。信じがたい話に半信半疑の日々を過ごすのだが、ある日、魔法騎士団に視察に訪れたクレイグ王子が誘拐されてしまう。ニアは独断で王子奪還へ向けて動こうとするのだが―。

以下、ネタバレありの感想です。

 

乙女ゲーム転生モノといえば、「前世でプレイした乙女ゲームの世界に転生した主人公が、ゲームシナリオ通りなら起こるであろう不都合を回避し、自分の望む未来を手に入れるために奮闘する」というのが良くあるパターンだと思います。
女性向けラノベで多いのはゲームヒロイン転生や悪役令嬢転生でしょうか。モブキャラ転生も結構見かけますね。

 

しかし本作の主人公である女騎士・ニアは、そういった前世を思い出した転生主人公ではありません。
ニアが生きる世界が「乙女ゲームの世界」であることを知る転生者は別にいて、その転生者・アルンバートがニアに対して「あんたはおれが前世でプレイした乙女ゲームのヒロインなんだ」と告げるのです。

 

普通はそんなこと言われても「は????」って感じですよね。
当然ながらニアも「なに言ってるんだ、こいつは。」と唖然とした反応。
そりゃそうですよ。だって彼女は「ゲーム」という言葉すら知らないのだから。

 

アルンバートの語る「前世のゲーム」の話は、ニアにとっては慣れ親しんだ世界を根底からひっくり返すような突拍子のないもの当然、すぐに信じることなんてできません。
しかし彼は誰も知るはずのないことを知っているし、その必死さは虚言と切り捨てることを躊躇させる。
その上、ゲームシナリオ内のイベントである王子誘拐事件が発生したことで、半信半疑状態のままニアの心は揺れ動くのです。

 

訳はわからないけれど、何かが大きく動き出している。
その中心にいるのは、アルの話を信じるなら、『ヒロイン』である自分らしい。
そして、その自分の選択が重大な事態を引き起こすかもしれない・・・?

 

ニアを襲う漠然とした不安は、シナリオありきで物事を考える転生主人公にはない感情といえるでしょう。
ゲームシナリオという名の「運命」に翻弄されるニアの戸惑いが、転生主人公に慣れた私にはとても新鮮でした。

 

そんな感じで乙女ゲー転生に捻りを加えたユニークな部分が良かったのだけど、個人的にはニアという主人公自体の魅力もゴリ押ししたい。

 

女騎士というキャラクターに相応しい高潔な精神。
若輩ゆえの未熟さに歯噛みしつつも、必死に背伸びして頑張ろうとする健気さ。
暗い過去を背負い、かつての名を捨てているというミステリアスな一面。
何もかも1人で背負おうとして、見てる側をハラハラさせる危うさ。

 

ゲームヒロインがどうこうする以前に、この物語の主人公としてのニアが私の好みにどストライクすぎます。
頑ななところは不安になるけれど、矜持の高さにはすごく好感が持てる。ニアというキャラクターに嫌いなところが全くないから、彼女視点の地の文が読んでいてすごく心地よかったです。
思春期の女の子らしい心の揺れ動きも素晴らしい。
もう、ホントこのヒロイン、可愛くて格好いいとか最高か・・・・・・文句なしです・・・!

 

そんなニアをからかったり助けたりして、彼女の心をガンガン揺さぶってくる冒険者・ゼフュロスがまた魅力あふれるヒーローなんです。

ニアの世間知らずなところをズバズバ切り込む一方で、さりげなくフォローするところとか。
ニアの無鉄砲さを呆れながらも彼女の矜持を守るために、さりげなくフォローするところとか。

なんなのこのひと!フォローの仕方がイケメンすぎない!?
意地悪テイストな優しさに萌え死ぬんですけど!
こんなのローリングせずにいられないでしょ!!!

 

過保護ってわけじゃないんだけど、彼が近くに控えているだけで安心感があるんですよね。
そのくせラストでみせるゼフの狂気的な危うさは、もはや色気を感じるレベル。あれはニアが心を奪われるのも分かる。めちゃくちゃ納得しました。

 

あと、ニアとゼフが互いの本名を呼び合うシーンがたまらなく好きなんですけど・・・!
すでに捨てた名前だからと他人に呼ばれるのは過剰に嫌がるくせに、ゼフに呼ばれると特別に感じるっていうのがもう・・・・・・ロマンチックすぎてときめく・・・・・・

 

は〜〜〜。
キャラもストーリーも好物すぎて幸せ・・・・・・
物語自体がすごく丁寧に作られている印象だし、この続きも楽しみすぎてたまりません。

 

ゲームシナリオの行方はもちろん、名前を捨てなければならなかったニアの過去や、何者かを追っているゼフの過去も気になります。
ゲームの攻略対象じゃないゼフにニアが惹かれているのは、シナリオ進行にどんな影響を及ぼすんだろう?
実はゼフも攻略対象(隠しキャラ?)だったりして。

 

そもそもニアが物語開始時点でシナリオからズレた人生を歩んでいるというのも意味深ですよね。
ニア自身も本当に非転生者なんだろうか。
途中の魔法使いのセリフ的に転生者はアルだけじゃなさそうだし、そのへんは注目したいところ。

 

兎にも角にも今後の展開に期待が高まります。
次巻が早く読みたい!

 

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