最果てのパラディンIV 灯火の港の群像 (オーバーラップ文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
前巻の感想はこちらから
評価:★★★★★
2017年9月刊。
不死者に育てられた少年の英雄譚を描く王道ファンタジー第4弾。
今回は短編集です。
私の好きなものが詰め込まれすぎてて最高だった・・・!
☆あらすじ☆
《鉄錆山脈》での死闘と、帰還の後。ウィルを待ちうけていたのは、めでたしめでたしの幸福な日々でなく、おそるべき更なる脅威でもなく……なんてことはない、ありふれた日常の日々だった。
頼れる戦友、剣士レイストフとの友誼と決闘。吟遊詩人ビィと、雪積もる魔法の森での冒険。あるいはいにしえの、無敵の巨人との戦い。そして、灯火の神との祈りと対話。
――これは聖騎士の綴る、ひと冬の日々の記録。
以下、ネタバレありの感想です。
ウィルとメネルが一緒に思い出を振り返るという形で短編集スタート。
アンナとレイストフのカップリングが成立!
レイストフさんの渋くて誠実な求婚が、格好良すぎてキュンキュンしました。
剣の道に生きてきた男が、愛を知って剣を置く。
愛する人を守るために剣をとるパターンの方が個人的には馴染みがあっただけにレイストフの選択はちょっと意外だったり。
でもレイストフの述懐を聞けば、彼の気持ちがしみじみと理解できました。
命をかけて名を上げようと走ってきた男がふと立ち止まり思うことに、なんとも言えない感慨深さを覚えます。
自分が走ってきた道のゴールを自分で決めることって難しいよなぁ。やり切ったからこそ迎えた終着点なのか、それとも途中で心が折れたという惰弱さなのか。
英雄と呼ばれるに値する険しい道を走ってきたのなら、なおさら判断が難しい分岐点なのだと思います。
だからこそのケジメの一戦。
これがほんと熱い・・・!
そしてレイストフが選んだ愛にキュンとします・・・・・・
レイストフを心配するアンナも可愛いし、二人をくっつけようと協力するウィル他周囲も可愛い。
「色恋というわけでは・・・」からの「どう考えても色恋の話よっ!」のオチが楽しすぎてニヨニヨしてしまいました。みんな付き合いもノリも良いな〜〜
そこからの花嫁誘拐大作戦!
バグリー神殿長VSレイストフの対戦カードとか予想外すぎてワクワクするしかなかった〜w
バグリー神殿長、ほんと好きなキャラです。すすんで憎まれ役になろうとするところが憎めない。
「・・・・・・任せる、と伝えてくれるか」のセリフには思わずパパ〜〜〜!!!!と心で叫びました。パパーー!!!(泣)
ノリノリで侵入経路を確保した神さまもグッジョブでした。
ウィルとビィのお散歩話。
ビィは素敵ですよね。ウィルのお姉ちゃんって感じ。
そんなビィとウィルが「賢者の学院」を見に行くエピソードなのだけど、なんとか侵入できないかなー?ってくだりでビィが言った「ウィルならいけるんじゃないの?なんかこう、ほら、筋力で巧いこと!」のセリフに笑ったww
ウィルが筋力でだいたい何でも解決しちゃうせいで周囲にも筋力万能説が周知されてる・・・!
このシーンでもやろうと思えば筋力で解決できただろうっていうのが恐ろしいところ。ウィルが脳筋じゃなくてよかったですね。
ビィが賢者の学院を訪ねたかった理由である彼女の過去話には、少し切ない気持ちに。
「だから歌い継いでやる」っていうビィの決意がとても素敵。
このシリーズって、ウィルもそうだけど「生者の心に存在し続ける死者」の描き方がすごく良いですよね。
死を単なる終わりとしないことを、誰もが必死に意識しているというか。
簡単に流れて消えてしまうものだからこそ、忘れずに受け継いでいこうと前を向く姿はとても尊いと思うのです。
本編でもないのにウィルがあっさり死にかけてる!?と衝撃が走ったところからの、更なる衝撃の展開に悶絶しましたww
ウィルの突然の大爆発に萌えすぎてごろんごろん転がってしまった〜〜
グレイスフィールの切ない願いと、それに応えるように告白したウィル。
もうなんなんだこれ・・・・・・
愛を欲した女神と、女神に愛を捧げた聖騎士とか・・・・・・
ロマンチックが壮大すぎる・・・・・・
神話か・・・・・・これもう神話ですね・・・・・・
ウィルの突然の告白にフリーズして言葉遣いが元に戻った女神さまが可愛すぎてニヨニヨしましたw
この先グレイスフィールがスタグネイトみたいに分霊を降ろしたりできるようになるのか分からないけれど、このままの二人でも十分に萌えるんですよねぇ。
もはや究極にプラトニックなラブを貫いてくれても可。
女神への信仰に人生を捧げる決意だけでもウィルは格好良かったのに、愛にも殉じるのかぁ。
完全無欠の清廉さですね。これぞ聖騎士!
そのくせ恋心自体は純情ボーイなところが大好きです(*´∀`)
「いい格好とか凄くしたい。超したい!超愛してますって言いたい!」にはめちゃくちゃ笑ったwはっちゃけてるw
実態を持たない女神との恋とか、考えようによっちゃ悲恋的なはずなのにウィルがこんなだから悲壮感がないんです。そこが良い。その調子で明るく楽しく恋と信仰に生きてください!
しかしこれを知ったスタグネイトの反応は気になって仕方ない。
メネルはなんだかんだ言いつつウィルを助けてあげそうだけど、姉妹女神の修羅場な三角関係に巻き込まれるとか可哀想すぎる気もしますw
なんだか壮大に衝撃的な寄り道があったけれど、本題の「無敵の巨人」のエピソードもすごく良かった。
人が受け継いでいく「永遠」は本物の「永遠」には敵わないけれど、たとえ途切れても新たに繋ぎ直すことはできる。
弱いはずの人の営みに、しなやかな強さを見た気分です。
それにしてもカーメラさんの女傑っぷりは気持ちよかったなー。
また再登場してくれることを期待したいです。
どの短編も楽しかったなぁ〜とホクホクした気持ちで読んで、うっかり泣いてしまったエピローグ。
いつもは「ブラッドとマリーはウィルの心の中にずっといるんだよ」って描き方をするくせに、こうして不意打ちで喪失を思い出させるとかずるくないですか・・・・・・めっちゃ泣くよ・・・・・・
お手紙ホントずるい・・・・・・最高でした・・・・・・