なんちゃってシンデレラ3 王宮陰謀編 なんちゃってシンデレラ、はじめました。/ 汐邑雛


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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年4月刊。
王宮陰謀編完結。
アルティリエ暗殺未遂事件から始まる陰謀劇の真相が明らかになる第3巻。
ここにきて一気に面白くなってきました〜
正直前巻までは設定過多としか思えなかったのだけど、その全てに意味があったのだと理解。
ぎっちり詰め込まれた設定と、主人公が巻き込まれた陰謀劇が噛み合えばここまで面白くなるのかぁ。
世界観を一歩掘り下げた展開も楽しい。
次巻から始まる新章も期待しています!

☆あらすじ☆
転生幼妻、夫の胃袋より先に――真相つかんじゃいました!?
夫ナディルの遠征中、アルティリエの侍女リリアが攫われた!
一連の事件の鍵を握る人物からの呼び出しだと悟ったアルティリエは、自作の菓子と【夫の手紙】をお守りに「絶対出るな」と言われた王太子宮を抜け出すことに。そんな彼女の前に現れた驚きの人物とは……!?
アルティリエ出生の秘密も明らかに!?
元お菓子職人(パティシエール)転生幼妻の餌付け計画第一章クライマックス!

以下、ネタバレありの感想です。

 

ついにアルティリエが陰謀の黒幕と対決。
そこに隠されていたのは、愛憎入り交じる複雑な人間関係と、それ以上に複雑な王家の秘密だった―――という第3巻。

 

ユーリア王妃→国王陛下の順で対峙していくのだけど、これって真犯人へたどり着く過程としてだけでなく、込み入った裏事情を説明していく上でも必要な順番なんですね。
ひとつひとつ丁寧に解き明かさなければ全容が見えてこないほどに、複雑に絡み合った人間関係と王家の事情。
全てを把握するのは大変なのだけど、それでも何とか理解できてしまうのは前巻までの(読んでいて疲れるレベルの)予習があったからなのでしょう。
家系図やら大学やら個人の趣味嗜好やら、「設定だけでお腹いっぱい!世界観説明パート長すぎ!」とか思っててごめんなさい。
ここでの予習があったから伏線を一気に回収する今回の真相究明を楽しめたのだと思います。3巻1セットで一気読み推奨な作品だ・・・!

 

というわけで怒涛の伏線回収をしていくなかで、印象に残ったのはユーリア王妃と国王陛下の愛憎劇。
二人がアルティリエに抱く感情は本人たちにも把握できないほどに矛盾が溶け合ったキメラ的なもので、愛情と憎悪と無関心が一つの心に共存している状態の異常さにゾクゾクしてしまいます。
ユーリア妃の話だけなら「他の女に心を残した夫への愛憎劇」というシンプルな形なのに、合わせて国王側の話を読むことで問題の根深さを思い知るんです・・・・・・そこがすごい。
個人の力ではどうにもならない事情が関係しているからこそ、ままならない現実に対する憎しみに説得力が生まれるのかな。
決して許されないことだけど、アルティリエに矛先を向けてしまった二人の気持ちも少し理解できてしまったり・・・・・・

 

その「個人の力ではどうにもならない事情」というのが、今回で明らかになった王家の秘密。
これがまた個人的にすごく好みな展開でした。
王家が守ってきたものは何だったのかという話から、世界観そのものに疑問を抱かせる雰囲気を醸し始めてきたような・・・・・・

中世ファンタジーの世界に唐突に現れた「認証システム」だの「自動ドア」だの、どういうことなの??
まさかのSFなの???

アルティリエが使った現代用語が比喩でしかないのか否かは不明だけど、「妖精の世界」由来のオーバーテクノロジーと、底につながる扉を開く「鍵の姫」、その番人としての王家、という設定だけで十分に心が高揚してしまいます。
こういうのホント好き。「妖精王」絡みの謎が明らかになるときが楽しみです。

 

思わぬ方向から世界観に切り込んでいくと同時に、物語のスタートである陰謀劇はひとまず解決。
国王の結末は因果応報ではあるものの苦く、「この作品、ラブコメちっくなタイトルが詐欺すぎない・・・?」という思いがますます強くなりました。
あのティータイムが最後の晩餐だったか・・・・・・

 

何はともあれ一段落。
この先の展開も楽しみです。

 

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