紅霞後宮物語 第零幕 二、運命の胎動/雪村花菜


紅霞後宮物語 第零幕 二、運命の胎動 (富士見L文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年9月刊。
本編の前日譚を描く外伝シリーズ第2弾。
2巻にして、ようやく未来の夫である文林が登場です。若い!そして青い!
彼の根っこにある粘着質・・・じゃなくて執着(あんま変わらん)の芽生えもみえて笑ってしまいましたw
あのヤンデレ文林はこうして形づくられていったんだなぁ。

☆あらすじ☆
こいつとは、絶対そりが合わない――。小玉と文林、出逢いの物語
軍人として覚悟を決めた小玉は、異例の速度で昇進し、二十歳にして校尉となっていた。そんな小玉のもとに、眉目秀麗にして武科挙に合格した英才が配属される。三歳年下のその男・文林は、何かと小玉と衝突して――?

以下、ネタバレありの感想です。

 

小玉の軍人時代を描く外伝シリーズということで引き続き彼女の立身出世が描かれていくのだけど、まぁ早い早い。サクサクと出世していきます。
軍人である小玉の出世は、彼女の資質の証明すると同時に国が荒れていることの証左でもあって、そこ苦々しさを感じさせるのが実に印象的。
こんな環境に置かれているくせに(置かれているからこそ)年功序列を愛してやまない小玉が彼女らしすぎて笑ってしまいましたw
男社会でこれだけ出世したら目立って仕方なかっただろうし、描かれている以上に面倒事も多かったんだろうなぁ。

 

さて、小玉のスピード出世を描く一方、ようやく未来の旦那が登場。
若かりし頃の文林、すごくツンツンしてますね・・・! 絵に描いたような慇懃無礼!
現在の疲れ果てた中年(というにはまだ若いか)の文林を知っていると、物言いや態度だけでなく虚勢にも若さを感じます。ぶっちゃけ青いなーって感じ。かわいい!

 

最初の頃の二人はこんな感じの犬猿の仲(仲良しな犬と猿だなぁ)だったんですねぇ。
文林が裏でコソコソ画策して小玉が後で知って傷つくという未来の定番パターンを知っていると、「こんな風にあけっぴろげにケンカする仲のままだったらまだ良かったのに」と思ってしまいました。ああ。これもあって小玉は文林への情をこじらせたのかな。

 

あとがきにも書いてあったけれど「外道ではない文林」というのが本当に新鮮で、そんな若かりし頃の文林の恋の芽生えは思った以上に甘酸っぱいものでした。
「あとはあたしだけを見て、追いかけてなさい」とか小玉が殺し文句を連発するからー!
こんなイケメンっぷりを発揮されたらそりゃ文林も堕ちるよ!!

 

でも本当はこのセリフに殺される前から小玉に堕ちていたんだけどねっていうのが更に最高でした〜

――ああ、俺はあれが嫌だったんだ。
気づいた。自分は彼女が自分のことを意識していないと思うことが、とても嫌だったのだ。
自分は彼女を見ていた。
彼女も今自分を見ている。
これでいいのだ。とてもしっくりくる。

文林は小玉を見ているのだから、小玉にも文林を見てほしい。
こんな想いを恋と呼ばずに何と呼ぶのか・・・!
なんなんでしょうか、この少女漫画的なラブは!最高かな!?
でもヒロインは文林!!

 

とはいえ、そういう一般的な恋愛のパターンに当てはめきれないのがこの作品なのだけど。
シンプルな感情では語れない面倒くさい関係性が小玉と文林なんですよね。
むしろもっと物事をシンプルに捉えればいいのにっていつも思う。
始まりの始まりはこんなにシンプルだったのに、なんであそこまでこじれたんだ・・・・・・

 

まぁでも、小玉が正当に評価されないことにふてくされたり、上り詰める小玉の傍に俺はいるのだと(勝手に)確信してたり、ラストあたりは湿度高めの執着が垣間見えてきて「これぞヤンデレの芽生え・・・」とほっこりしましたw
文林はそうでなくちゃ。

 

それはさておき文林以外のキャラクターもめちゃくちゃ魅力的でした。
明慧の男前っぷりに惚れ惚れしたり、復卿のぶっ飛び具合に笑ったりしたけど(女装子さん!)、なにげにお気に入りは王将軍。
こういう懐が広くて豪快で大雑把な上官キャラ大好きです。もっと出番が増えるといいな〜

 

ラストの展開はとても苦いけれど、これこそが小玉と文林の真の原点なのでしょう。
まさしく小玉の運命の胎動が聞こえる1冊でした。次回も楽しみです。

 

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