忘却のアイズオルガン/宮野美嘉


忘却のアイズオルガン (ガガガ文庫)
忘却のアイズオルガン (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2017年8月刊。
現在ほぼ休止状態のルルル文庫の人気作家・宮野美嘉さんのガガガ文庫デビュー作。
少女小説作家がライト文芸ではなく少年向けラノベを出すケースは稀に見かけるのだけど(永野水貴さんとか)ルルル文庫作家の受け皿はガガガ文庫になるのでしょうか。
宇津田晴さんもガガガ文庫から刊行予定がありますし(延期してるけれど)

それはさておき、宮野美嘉さんの新作は動く死体となった少女を連れた魔術師の青年の物語。
悪魔を狩る青年の目的は少女を生き返らせること。そのために彼は少女に愛されてはいけないし、彼女に真実を知られてもいけない。
誰よりも愛する少女から憎まれながら悪魔と戦い続ける青年の旅を描いていくゴシックファンタジーです。
「宮野さんが少年向けを書いたらこんな感じだろうなぁ」という、まさにそんな感じのダークな世界観でラブがエゴイスティックな物語でした。
主人公がかなりの変人なのは仕様ですね!w

☆あらすじ☆
悪魔を喰らう魔術師と哀れな屍人形の旅。
悪魔が人類の隣人として振る舞っていた時代。魔術師のダヤンと屍人形のアリアは、悪魔退治を生業としながら、旅を続けていた。
ダヤンの目的はただ一つ。己が手をかけ、屍人形にしてしまったアリアを生き返らせること。そのために彼は、生と死を支配する悪魔・ガーガヴルドと契約を交わしたのだ。人理を外れた望みを叶えるには、それ相応の代償を払わなければならない。絶対的な契約の元、かつての記憶を失ったアリアに真実を伝えられず、悪魔退治を担わせなければならない日々。ダヤンは本心を隠して、あくまでもアリアを金稼ぎの道具として扱い、露悪的に振る舞い続ける。
旅の中で訪れた新たな街。その街の住人はどことなく生気を失ったような様子で、病院を訪れる患者が後を絶たないらしい。そして、その病院に勤める医師の家で、瀕死の重傷を負った娘が奇跡的に回復し、その代わりに息子が死んでしまったという奇妙な噂が囁かれていた。そこに悪魔の匂いをかぎつけた二人は、さっそく調査を開始するのだが……。
悪魔を喰らう魔術師と哀れな屍人形の旅路。――これなるは忘却の果てに垣間見る、魂と契約の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

「悪魔喰い」として悪魔を狩りながら旅を続ける魔術師ダヤン。彼が使うのは屍人形(アイズオルガン)の少女・アリア
悪魔・ガーガヴルドとの契約により「アリアを生き返らせる」という本当の目的をアリアに隠したまま、アリアを殺した男として彼女から憎まれながら旅をするダヤンは、立ち寄った街で新たな悪魔の契約者の存在を察知するーーーという感じで物語は進んでいきます。

 

私の中の宮野美嘉作品のイメージといえば
・中二的でゴシックなファンタジー世界
・歪んだ性格で「変人」と呼びたくなる主人公
・過激にエゴイスティックだけど純粋に一途な愛
・ほの暗さがあり、最後は切なくなるドラマ

という感じ。

 

本作もそういうテイストの作品でした。
ただ、少年向けナイズされているのかバトルシーンは他作よりも力をいれてある感じかな。
そのバトルシーンもなかなかにエグい設定山盛りで宮野美嘉さんらしいな!って思ったりしましたけどねw

 

屍人形状態だけど一応は蘇ったアリアには耐久年数的な制限時間があって、彼女を使えば使うほど制限時間は減っていく。でも契約上アリアを使わなければならない。
また、ダヤン自身はあまり戦力的に強くないから悪魔の魔術を使わなければならない場面があるけれど、それは彼の寿命を削っていく。
戦えば戦うほどダヤンもアリアも身を削っていくことになるのに、戦わなければ目的を達成できず、しかしそのゴールは気が遠くなるほど先にある。

 

666体の悪魔を倒さなきゃいけないのに、現状は2年で117体ほどでしたっけ。この成果を多いとみるか少ないとみるか。
リミットはガンガン減っていくことを考えると厳しくルールだと思うんですよねぇ。
具体的にどれくらいの時間が残されているかは分からないんだけど、仮に目的達成してもダヤンが元に戻ったアリアと過ごせる時間はすごく短いのだけは雰囲気で伝わってくるのが何とも。
うーん、なんてイジワルな設定なんだ・・・・・・

 

そんないかにも悪魔的な条件を飲んでもアリアを蘇らせたいダヤン。
アリアに嫌われることに安心して、むしろ嫌われるように振る舞うダヤンは悲しいくらいに健気な男でした。
彼の行動はエゴでしかないのだけど、その純粋で狂気的な愛情にゾクゾクしてしまいます。
アリアに気持ちを知られてしまったら彼の旅は強制終了というのがまたイジワルですよね・・・・・・現時点でかなり均衡が危うくなってるけれど大丈夫だろうか・・・・・・

 

嘘とエゴによって成り立つダヤンとアリアの関係は萌えたし、悪魔絡みのストーリーもひねりがあって面白かったです。
でも、お父さん、めっちゃとばっちり・・・・・・

 

ただ、物語自体は良かったものの序盤の設定説明ターンは微妙だったかな。
私はあまり説明されすぎると萎えちゃう人間なので・・・・・・そこで躓いたために途中まで気持ちが乗らなかったのは残念でした。
ダヤンとアリアのキャラや関係性に萌え始めてからは楽しかったんですけどね。
そういえば他作よりも会話が芝居がかってるように感じたのはなんでだろ?
ダヤンが嘘つきだからかな?

 

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