ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争/河野裕・河端ジュン一


ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争 (角川スニーカー文庫)
ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争 (角川スニーカー文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2017年9月刊。
「サクラダリセット」「階段島」シリーズの河野裕さんの新作ラノベ(共著?)。
崩壊した世界に放り込まれた少年が、生き残りをかけて他プレイヤーと戦う物語です。
もしも「サクラダリセット」がデスゲームだったらこんな感じかなぁという雰囲気。
込み入ったルールと心理的駆け引きが面白かったし(個人的には理解するのが少し大変だったけれど)、震えながらも生きることに執着する臆病者主人公も好みでした。
まだまだ序章という感じだし、ラストが「ここで終わるのかよ!」っていう悶える切り方だったので次巻が待ち遠しいです。

☆あらすじ☆
『サクラダリセット』コンビが贈る、新たなる青春ファンタジー。
「ヒーローになるつもりですか?」「違う。僕はお姫様になりたい」闘うより、護られたい――臆病であることを誇る高校生・香屋歩と幼なじみの秋穂栞が迷い込んだのは、8月がループする街【架見崎】だった。ここを訪れた人々は任意の特殊能力を与えられ、乏しい物資を巡る戦争を繰り広げていた。だが、ふたりが希望した能力は戦闘の役に立たないもので……。生存戦略に反則はない。ルールブックの穴をつく、臆病者の戦いが始まる。

以下、ネタバレありの感想です。

 

世界平和創造部という組織を運営していた香屋歩秋穂栞のもとに架見崎運営委員会からゲームの招待状が届いたことから、二人は「架見崎」という街以外は滅んだ世界に送り込まれ、そこで8月をループしながら行われるゲームに参加することになり――というのが本作のストーリー。

 

ポイント制で各種能力を付与されたプレイヤーがチームを作り、それぞれ陣取り合戦を繰り広げる。
勝利条件は架見崎全土の支配。

単純化すればそういうゲームなのだけど、様々なルールが悪意丸出しでプレイヤーを縛り付けているため実質的にはデスゲームといっていいと思います。
むしろ「プレイヤーは殺し合え」って直接的に言うのではなく「勝利のために必要ではないけれど殺すのもアリだよ」くらいに留めているあたり、他のデスゲームものに負けず劣らずゲームマスターの陰湿さを感じる。
「架見崎で死ねば、すべて元通り」という形ばかりの免罪符を与えていることがまたいやらしいんですよねぇ。
殺人に対するプレイヤーの罪悪感を薄れさせる一方で「死んだら本当に元の世界に戻れるのか?」という疑問には答えてくれないから自分自身の死の恐怖は現実と何も変わらない。その欺瞞にうわぁってなります。殺し合いを強制されるパターンよりもキャラの心理が怖くなる・・・・・・

 

そんな悪意たっぷりのゲームに参加させられた香屋と秋穂。

弱小チーム「キネマ倶楽部」に加入させられた二人は、大手に狙われ風前の灯状態のキネマ倶楽部を勝利に導くために動き始めるのです。

 

秋穂の真価はまだ分からないけれど、主人公の香屋はかなり面白いキャラクターだと思いました。

誰よりも臆病で小心者。だから人一倍慎重になるし、あらゆる物事への準備を怠らない。
恐怖に顔を引きつらせながら、「生きる」ためなら大胆な賭けに出る。

「生きる」という基本方針は普通だと思うのだけど、その方針以外の全てが過剰で強烈だからとても歪に見えるんですよね。
そもそもデスゲームさせられると理解した上で「キューアンドエー」なんて盤外戦術めいた能力を選ぶあたり、かなりクレイジーな少年なのだけど。
臆病者なら防御系だと思ってたのになぁ・・・・・・ゲームしろって言われてるのに最初からゲームの外にいる感じ、サクラダリセットや階段島の主人公を思い出しました。ほんとスカしてるんだけどなんか好きw

 

そんな香屋のクレイジーさを全面に押し出しつつ、「キネマ倶楽部」のピンチを描いた第1巻。
内容的にはまだまだ序章的だし、世界観や人間関係などの謎も山積み。
今回は「キネマ倶楽部の物語」という側面もあったけれど、今後も各チームの人間ドラマに順次スポットを当てていくのかな?次はミケ帝国でしょうか。
運営や架見崎の謎についてはきっと最後まで焦らされるだろうし、読者的にはそこまで辿りつけるように祈るだけです(打ち切りこわい)

 

とりあえずはラストシーンの続きが早く読みたいなぁ。
ウォーター(トーマ)の正体はびっくりだったけれど、それ以上にあの行動が衝撃的すぎて・・・・・・どういうことなの・・・・・・

 

そういえば「世界平和創造部」ってなんだったんでしょうか。意味ありげな設定の割には序盤しか出てこなかったけれど。
ゲームへの招待資格を得るためだけの設定?
それとも今後また何かしらの意味をもってくるのかな?
設立にトーマも関わってるわけだし、世創部絡みのエピソードが掘り下げられるのは次巻以降なのかもしれません。香屋、秋穂、トーマの過去がかなり気になります。

 

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