賭博師は祈らない2/周藤蓮


賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)
賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年8月刊。
18世紀末イギリスを舞台に、賭博師の青年と奴隷の少女の旅を描いた物語第2弾。
ラザルスとリーラの不器用だけど愛しくなる関係性は相変わらず素敵だったし、ギャンブルに挑むラザルスのビリビリとした緊迫感も前巻同様に胸が熱くなりました〜
そしてやっぱり18世紀末イギリスの世界観を丁寧に描写しているところが好き。背景がしっかりしているから人間ドラマにも深みと安定を感じるんでしょうねー。素晴らしい!

☆あらすじ☆
第23回電撃小説大賞《金賞》受賞作、待望の第2巻!
賭博師と奴隷の少女、二人を待ち受ける障害とは――。
奴隷の少女リーラの救出劇から一週間。賭場を負かし一人の女を守った代償はしかし大きかった。「負けない、勝たない」をモットーにしていたラザルスは賭場に出向くこともできなくなり、帝都を旅立つことを決める。それは、少しずつ心を開き始めたリーラを連れての道楽旅行になるはずだったが……。「ねえ、ラザルス。私と結婚しましょ?」 道中立ち寄った村でラザルスを待ち受けていたのは、さる事情で窮地にある地主の娘エディスからの突然の求婚だった。一方、リーラは二人のやりとりを覗いてしまい、自分はラザルスにとって不要なのではないかと想い悩み始める。「奴隷」である彼女が出した結論とは――。少女たちの想いを受け、やがてラザルスは危険なギャンブルに打って出る。

以下、ネタバレありの感想です。

 

賭場で大暴れした代償に、ほとぼりが冷めるまで帝都を旅立つことにしたラザルスとリーラ。
温泉と賭場で有名なバースへ向かう途中、強盗によるトラブルで足止めを食らったラザルスたちはノーマンズランドという村で自殺をはかる少女・エディスと出会い、彼女の抱える問題に関わることになる――という感じで2巻はスタート。

 

ラザルスとリーラの距離感は前巻よりもマシになってるだろうと思っていたのに、リーラが「自分はラザルスにハンデを背負わせている」と自覚したせいでギクシャクしてしまったのは胸が痛くなりました。
ドン底を知っているからこそ今の幸福を失うことを過剰に恐れてしまうのもわかるし、人種的差別に対するどうしようもない無力感と劣等感も歴史背景を考えれば仕方ないと言えるのかも。
ただ、奴隷として尊厳を奪われたリーラがラザルスに対しても男性恐怖症を滲ませるのは「そっかぁ・・・」と悲しい気持ちになりました・・・・・・リーラの心の闇の深さに辛くなる。

 

もう少し気楽な感じでラザルスとリーラの旅を描いていくのかと思っていただけに、予想以上に暗く沈んでいくリーラの内面に苦しくなるんですよね。
なにひとつ彼女自身に罪があることではないのに。

 

リーラが鬱々と沈んでいく一方、物語に明るさを添えるのは新キャラ主従のエディスとフィリー。
エディスは明るいキャラクターと裏腹に重い事情を抱えていたので、コメディパートをメインで支えていたのはメイドのフィリーの方ですね。
慇懃無礼なメイドって大好物ですw
どんなときでも冷静にボケをかますフィリーが好きww

 

エディスの問題がリーラに繋がり、終盤のラザルスの博打勝負へと向かっていくストーリーはとても読み応えがありました。
プロでもない相手との博打とかラザルスには余裕だろって思っていたのに戦力の削ぎ方がエグい。
そこからのラザルスのブラフと技術を駆使した逆転劇は胸熱すぎてテンション爆上げでした!

 

このラストの大勝負に至る流れのなかで、リーラとラザルスの関係も改善しつつ前に進んでいくのも良かった。
ラザルスに対して引け目を感じて迷走するリーラに「お前のことを、どうでもいいとはいわない」って言ってあげたラザルスの優しさにキュンときたし(怯えるリーラに必要なのは、彼女が不安を感じる必要がないほど揺るがない居場所を作ってあげることだと思っていたので)、そのセリフを逆手に取ってラザルスに博打を打たせたリーラの強かな成長にもキュンキュンしましたw
いいな〜〜。リーラはもっともっと強かな女性になってほしい!
儚げに心を弱らせる姿も庇護欲を刺激するけれど、やっぱり私は強いヒロインが好きなので。

 

それにしても、自分の命を賭けていてもラザルスへの信頼を揺るがさないリーラと、リーラのために全ての準備を整えていたラザルスの関係が萌えすぎてしんどいのですが・・・・・・ラブの気配とかほとんどないのに、なんかもう尊い。

 

ラザルスとリーラの関係がまた一歩前進したことだし、次巻は最初に予想していたような気楽な旅路になるのでしょうか。
エディスが同行するってことはフィリーもついてくるのかな?
個人的にはラザルス&リーラの二人旅が良かったものの、賑やかな珍道中になるのも面白そうです。でもあまりハーレム的になるのは嫌だなぁ。

 

本筋とはあまり関係ないけれど、相変わらず舞台背景の描き方が丁寧で雑学的小ネタを要所でサラッといれるところが今回も楽しかったです。
「廊下」が18世紀に入ってからの発明品とか知らなかった・・・・・・言われてみれば部屋と部屋が直接繋がっている建築様式って他の小説でも見かけたような(でも主寝室と使用人控室みたいな繋がりだと思ってた)
だから天蓋ベッドが生まれたんですね。なるほど〜
豪奢な蚊帳じゃなかったんだw
あれ、でもそしたら今の時代に天蓋付きとかいらんやん・・・・・・やっぱり蚊帳・・・・・・

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。