レッド・クイーン/ヴィクトリア・エイヴヤード


レッド・クイーン (ハーパーBOOKS)
レッド・クイーン (ハーパーBOOKS)

評価:★★★☆☆
2017年3月刊。
X-MENのシンデレラストーリーをディストピアSF世界でやってみたファンタジー。
銀の血を持つ異能者の支配階級シルバーと、赤い血を持ち虐げられる奴隷階級レッド。
レッドにはないはずの異能に目覚めた少女は、偽りの身分を与えられ「シルバー」として王侯貴族の世界に放り込まれることになるのです。

支配者たちと抵抗勢力、相次ぐ裏切り、揺れる三角関係、ハリウッド映画的に派手な異能バトル、などなど色んな要素が詰め込まれた作品でした。

三部作の一作めということで、この巻は壮大な序章といった感じかな。
ここまででも十分面白いけれど、本領発揮するのはここからなんでしょ?
今のところ鬱すぎて爽快さに欠けるので、スッキリハッピーエンドを願います・・・!

☆あらすじ☆
貧しい村で家族と暮らす少女メアは、ある日、不思議な力に目覚める。それは奴隷階級の“レッド”が決して持つはずのない、支配階級“シルバー”の力だった。メアは王家に直ちに捕らえられ、死を覚悟するが、命と引き換えに名前を奪われ、“行方不明になっていたシルバーの王女”に仕立て上げられてしまう。宮殿で待ち受ける謀略と裏切り、冷酷な国王と二人の王子―果たしてメアの運命は。

以下、ネタバレありの感想です。

 

まず本作で重要なのは、血の色が異なる2つの人種が存在するという世界観。

銀色の血を持ち、それぞれが様々な異能を有する支配階級シルバー。
赤い血を持ち、兵役を課され貧困にあえぐ奴隷階級レッド。

シルバーはその異能の力でレッドを押さえつけ、レッドは無力ゆえにシルバーの支配に甘んじなければならないのです。

 

この設定を前提として、物語は日常の中でシルバーへの恐怖を植え付けられるレッド側の世界から始まります。

主人公はレッドに生まれたスリの少女・メア

いつか来る徴兵の日を恐れていたメアは、幼なじみのカイローンが徴兵されることを知り、どうにかして彼を救おうと動くことに。
様々なツテを辿るも何もできなかったメアが最後に出会ったのは、謎の青年・カル
カルの助けで王宮の仕事を手に入れたメアは、そこでレッドが持たないはずの異能に目覚めてしまい、激動の運命へと落ちていくことになるのです。

 

銀の血を持つ異能力者と、赤の血を持つ無能力者。
それこそが2つの人種の明暗を分ける最大の特徴だったはず。
しかし赤の血を持ちながら異能に目覚めたメアの存在は、この前提を大きく崩してしまうのです。

一方で、メアの存在は活動が激化する抵抗勢力《スカーレッド・ガード》への目くらましになるかもしれない。

そこで国王と王妃はメアに偽りの身分と王子妃の地位を与え、メアの命を握りながら彼女を利用しようと考えるのです。

 

なんともまぁドロっとして恐ろしいシンデレラ・ストーリーがあったものですね・・・・・・
雷属性の異能に目覚めたところで相手には心を操る能力やキャンセル能力があったりするので、メアには彼らに従うしか道はない。
ここらへんの異能の相性が色々語られていくのは面白かったです。
まぁ王道といえば王道なんだけど、王道すぎて久しく見ていなかった感じがあった。

 

そうして物語はレッドの世界からシルバーの世界へ。

支配の形と場所が変わるだけで未だシルバーに縛られているため、鬱屈とした雰囲気を漂わせ続けるメア。
しかしシルバーの世界で彼女は異能の使い方を覚え、一部のシルバーと心を交わし、《スカーレット・ガード》とコンタクトを取るなどして、どんどん自分の世界を広げていきます。

このマイ・フェア・レディにスパイサスペンスを足したような雰囲気が結構楽しくて。
スキルアップしていくメアの成長と、バレたら殺される秘密任務の緊張感が良いんですよね。
メアの奮闘は常に命がけの綱渡りであるため、次に何が起こるのか、その行動が何を引き起こすのかとハラハラさせられました。

 

加えて、何度も繰り返される「誰が誰を裏切るか分からない」という言葉の通りに裏切りが連続。
そのため、誰を信用して心を許したらいいのかさっぱり読めないのです。ここがヒリヒリとした緊張感を生み出していて、読み応えを感じさせました。

 

メアを悩ませる裏切りありきの人間関係の中で、特にキーパーソンとなるのは二人の王子。

メアをシルバーの世界に連れてきて、互いに惹かれ合うようになる皇太子・カル。
王の命令でメアの婚約者となり、やがて彼女の共犯者となる第二王子・メイヴン。

「2人の王子の間で揺れる奴隷の娘」ってなんともラブロマンスだなぁ〜とかのほほんと構えていたせいで、最後の最後で盛大なしっぺ返しを食らってしまいました。

 

これは辛い・・・・・・。

 

支配階級と抵抗勢力の争いに集中していた人ほど、ラストの展開に衝撃を受けたんじゃないだろうか。私はそう。
そこの軋轢も忘れていたわけではないのだけど。

 

しかし物語はここからが本番ですよね。
メアが戦うべき相手がハッキリしたことで、ようやく物語の方向性が見えてきましたし。

レッドとシルバーの戦いについても、「リスト」の存在が大きなカギを握りそう。血みどろの争奪戦になる予感しかない。
でもX-MEN的にド派手な異能バトルが増えそうだからそちらは楽しみです。ラストの緊迫な異能バトルは面白かったけれど、そこに行くまでが長かったので。ああいうバトルがもっと見れるといいな。

 

最後は敗走であるため物語的な爽快感は足りなかったけれど、ここからどう話が動いていくのか楽しみです。

レッド・クイーン (ハーパーBOOKS)
ヴィクトリア・エイヴヤード
ハーパーコリンズ・ ジャパン

 

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「レッド・クイーン/ヴィクトリア・エイヴヤード」への2件のフィードバック

    1. ちゃーこりんさん、コメントありがとうございます。

      ですです。
      まぁハリウッド映画版しか知らないのですが^^;

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