カーリー <3.孵化する恋と帝国の終焉> (講談社文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
前巻の感想はこちらから
評価:★★★★☆
2014年10月刊。
この3巻から書き下ろしということですが、だからなのか、ラノベっぽい雰囲気が急激に薄れてがっつりとした歴史小説の趣を感じました。もちろん少女小説的なラブロマンスも根底にはあるのだけど。
様々な伏線を回収しつつも物語は終わらず。こんなラストで2年以上待たせているとか・・・・・・そろそろ4巻出ますよね・・・・・・?(震)
☆あらすじ☆
第二次世界大戦によりオルガ女学院が閉鎖されてから四年。大学進学したシャーロットは英国からインドへ想いを募らせていた。行方不明のカーリーとの再会を求める彼女に、美しき王子ル・パオンは驚くべき提案をする。「インドに行きたいなら僕と婚約すればいい」。少女小説の最高峰、待望のシリーズ第三弾。
以下、ネタバレありの感想です。
女学校が閉鎖され、シャーロットがインドを出て4年。
オックスフォードに進学し才女として成長したシャーロットは、今なおカーリーの姿を求めてひたすらインドに焦がれていた。
そしてついに彼女は内部分裂で混沌とした世情を抱えるインドに足を踏み入れる機会を手に入れて・・・・・・という感じに3巻がスタート。
大戦末期、出入国が厳しい状況でインドに渡るためにシャーロットがとった手段は、インドの美形王子・ル・パオンとの偽装婚約。
なんというエンタメ感。少女小説の文脈だとそのままル・パオンとくっついてもおかしくない展開だ!とワクワクw
そこからはインド藩王国のハレムの豪華絢爛さに絶句したり、シャーロットとル・パオンの気が置けない共犯者関係にニヤニヤしたり。
また、藩王国連盟・インド独立派・英国情報部などなどの様々な思惑が錯綜する政争劇にドキドキしたりするのです。
特にインドの未来をめぐる駆け引きや、予想以上に面倒くさいシャーロットの立ち位置(パパ、思ったよりすごい人だったのか)など、歴史小説としての読み応えは素晴らしかったと思います。
大戦時のインドがどんな状況だったのかなんて、高校の世界史レベルでしか知らなかったので(それすらうろ覚えだが)とても勉強した気分。なかなか新鮮で面白かった〜。
ただ、読んでる間ずーーーーーっと気になっていたのは、「で、カーリーはどこよ!?」ってところ。
読んでも読んでもカーリーが出てこないんですよ・・・・・・。
シャーロットはずっとカーリーのことを考えているけれど、当の本人は影も形もない。
300頁を超えたあたりで「もしやカーリー出ずに終わる・・・?」と不安になってきていました。
そこからの!
まさかの!
このオチ!!
脱力してめっちゃ笑ったーーー!
お前、そんなところに・・・・・・。全然気づいていませんでした。
うぇえ!?って思って読み返したら、またいたらんこと言わせてますね、この王子様・・・・・・。
そんな衝撃の再会にラブロマンス爆発。
めっちゃニヤニヤできたのだけど、そんな時間はほんのわずかなもの。
ラストはまたも気になる引きで終わってしまいました。
カーリーとシャーロットがハッピーエンドを迎えることはできるのでしょうか(血縁関係に白黒ついてよかった)
なにはともあれ続きが早く読みたいです。
いや、うん、4巻出てくれるなら、それだけでいいから・・・・・・。