まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
評価:★★★☆☆
2017年1月刊。
第21回スニーカー大賞「優秀賞」受賞作。
これはまた尖った個性のある新人作品が出てきたなぁ。
「エキセントリックボックス」という不可思議な現象に、自分を構成する要素を捧げて願いを叶えてもらう少年の物語。
願いが叶うほどに自分ではなくなるのに、投げやりみたいな気軽さで願いを叶えていく少年の虚無的な雰囲気にひきこまれる作品でした。
箱の名前そのままにエキセントリックな世界観でありつつ、最後まで読むとしっかり青春小説。
個人的には文章が微妙に相性悪い感じだったものの、こういう作風は好き。
この作品が続くかは分からないけれど、今後も尖った作品を送り出してほしい新人さんです。
☆あらすじ☆
「代償は、悲しみだけど?」「ああ。そいつは僕にいらないものだ」「そっか!」景色をその身に纏った少女・スクランブルはうれしそうに笑うと、小さく握りしめた拳で御剣乃音(みつるぎのおと)の腹を抉る――。人身御供となった御剣の願いを叶える神代タイム1分間の代償は【打算】【キスのうまさ】【愛情】etc. 人の感情を贄にして、エキセントリックボックスはヒトに近づく……。最終選考会騒然の異色作!
以下、ネタバレありの感想です。