リンドウにさよならを (ファミ通文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
評価:★★★★☆
2017年1月刊。
第18回えんため大賞「優秀賞」受賞作。
とても良かった・・・!
助けようとした少女と共に屋上から転落し、3年後の学校で幽霊として目覚めた少年が主人公の青春小説。
陰惨ないじめを受ける少女との交流を通して、繊細に優しく紡がれていく物語がとても魅力的な作品でした。
誰もいない屋上で過ごす二人きりの時間は甘酸っぱくも温かくて、合間に回想される主人公の過去は切なくも甘酸っぱい。
リンドウの花言葉に絡めて語られる真相にどうしようもない気持ちにさせられるけれど、全てを昇華させるラストシーンはお見事でした。
爽やかすぎて逆に切なさを引き立てる情景描写もまた素晴らしい。
この新人さんの今後はぜひとも注目していきたいです。
☆あらすじ☆
想いを寄せていた少女、襟仁遥人の代わりに死んでしまったらしい神田幸久。三年後、自由かつ退屈な日々を過ごす地縛霊として目覚めた彼は、クラスでいじめに遭う穂積美咲にだけ存在を気づかれ、友達になることに。一緒に過ごす内に美咲の愛らしさを知った幸久は、イメチェンを勧め彼女を孤独から解放しようと試みる。少しずつ変わり始める美咲の境遇。それがやがて、幸久が学校に留まる真実に結びついていく――。必然の出会いが紡ぐ、学園青春ストーリー。
以下、ネタバレありの感想です。