幽谷町の気まぐれな雷獣 (レガロシリーズ)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
評価:★★★★☆
1巻:2012年5月刊、2巻:2013年3月刊。
これは素晴らしい幼なじみモノ・・・・・・!
小さい頃は仲良しだったのに、高校生になった今では疎遠で寂しい関係となった幼なじみの2人。
そんな2人が、住んでいる田舎町の秘密に関わっていくなかで、少しずつ昔の関係を取り戻していくという物語です。
ハートフルなご近所妖怪モノとしても良かったし、不思議部活系の賑やかな青春物語としても面白かったけれど、なにより幼なじみの揺れ動く距離感と甘酸っぱさが最高でした。好みど真ん中すぎて震えるレベル。
特にヒロインと仲良くできることにはしゃぐヒーローがオモシロ可愛すぎて必見です。感情表現が斬新に恥ずかしくて、正直めっちゃ笑いましたw
☆あらすじ☆
幼なじみは妖怪でした。
片野萩子のイメージは、地味で真面目な委員長。一方、幼なじみの稲多大地は、気さくなイケメンで人気者。会話の数もめっきり減った、カテゴリ違いの二人が、とある事件をきっかけに急接近!?
山間の田舎町、幽谷町で繰り広げられる、恋と青春と、たまに変身(?)のご近所あやかし物語!
以下、2巻まとめてのネタバレあり感想です。
家が真向かいにあって、物心つく前からとても仲良しだった萩乃と大地。
高校生となった今では学校で話すことも登下校を共にすることもなく疎遠となった二人。
しかし、大地が雷獣に変身する瞬間を萩子が目撃したことから、2人の距離感は少しずつ昔のように近くなっていくのです。
雷獣に覚醒した幼なじみ、実はご近所さんが妖怪だらけ、妖怪の生徒が集まる化学(ばけがく)同好会などなど、現代伝奇系ファンタジーとしても面白かった本作。
こっそりと妖怪が人間と共存している幽谷町の特異性を描きつつ、お節介な妖怪たちのあたたかみにほっこりとしてしまいました。
自分が実は妖怪だったことを知る瞬間の戸惑いとか、妖怪が人間社会を選び取ることの難しさも描かれるけれど、互いに支え合って助け合う妖怪たちの姿をみていると、その関係性をちょっと羨ましくも感じたり。
地域まるごと家族ぐるみの付き合いがあるという雰囲気って、どこかノスタルジーを感じてほのぼのするものですね。
まぁ成績まで含めた状況がすぐにご近所に知れ渡ってしまうのはイヤだけど・・・・・・。
大地をはじめとする妖怪たちの秘密を共有したことで、非現実な日常を体験していくことになる萩乃。
自分の正体を知って不安定になる大地を萩乃が支えていく姿を描く一方で、彼らが疎遠となった原因である幼き日の思い出と、そのすれ違いを乗り越えていく様子が描かれるのですが、これが本当に最高でした。
疎遠になった原因自体はありふれたものだけど、周囲のからかいに追い詰められていく辛さとか、長年のすれ違いの寂しさとか、元の関係に戻ることへの照れや喜びといった感情の描写がとても丁寧で、思った以上に深く感情移入できてしまいました。
過去と現在のエピソードが積み重なるたびに幼なじみたちがどれだけ互いを大切にしてるのか伝わってくるし、こんなのもう萌え転がるしかない・・・・・・!
あと、大地が!可愛い!!
萩乃との関係に一喜一憂するだけでもニヨニヨしてしまうけれど、空模様でごキゲンが察しされるのが恥ずかし面白可愛すぎて悶える(●’w’●)
途中から萩乃は「大地のゴキゲンはどうかなー」って感じで空を見てるし、同好会メンバーにも空模様がチェックされるし、ちょっと可哀想だけどこれは笑うw
萩乃が割と鈍感でフラットな性格をしているぶん、思春期らしい大地の感情がラブコメに大いに貢献しているんですよね。一途だし、優しいし(消しゴムのエピソードにきゅんきゅんした)、モフみも装備してるしで、幼なじみ力が高すぎる。
そんな大地は1巻では昔の関係に戻れただけでホクホクな感じで、2巻は萩乃と(傍から見ると)ラブラブだけどちょっとへたれが出てきたなと思ったら、著者サイトの後日談SSでめっちゃ頑張っててローリング止まりませんでした。このSSは必読ですね最高でした!
◎「幽谷町の気まぐれな雷獣 番外編」(Tiny garden)
このSS、どうにか書籍化してくれないだろうか・・・・・・電子書籍限定でもいいから・・・・・・。
恋愛未満だけど全力で仲良しな幼なじみに萌えて、妖怪だらけの町のハートフルな日常にほっこりできる素敵な作品でした。大満足!