後宮饗華伝 包丁愛づる花嫁の謎多き食譜


『後宮饗華伝 包丁愛づる花嫁の謎多き食譜(レシピ)』(はるおかりの著/集英社コバルト文庫)★★★★☆

後宮饗華伝 包丁愛づる花嫁の謎多き食譜 (コバルト文庫)
後宮饗華伝 包丁愛づる花嫁の謎多き食譜 (コバルト文庫)

前作の感想はこちらから


2016年3月刊。
「後宮詞華伝」の20年後の物語ということで楽しみにしていた続編。期待に違わず面白かったです。
身代わり花嫁となった料理人の少女が、美味しい手料理で皇太子や皇族たちの心を開いていく中華後宮ミステリー。
前作は「書」マニアの夫婦でしたが、今作は一緒に料理を作る可愛いカップルが主人公。
各エピソードは後宮のドロドロ感を煮詰めたようなものでしたが、その都度主人公カップルに癒されるため、その巧みな緩急のつけ方についつい読みふけってしまう作品でした。
しかしこれ、個人的には地雷認定しかねない内容だったり・・・・・・前作を思うと虚ろな気持ちになるので・・・・・・。
面白いので許しますけどね!(何様)

☆あらすじ☆
『後宮詞華伝』と同じ世界観!あれから…20年後の物語―。都で腕利きの料理人として働いていた鈴霞は、ひょんなことから皇太子・圭鷹の正妃に迎えられることになって―!?しかし、圭鷹は妻を愛せない。それどころか、誰のことも…。君王となるために周囲から心を閉ざし、自ら育てた奈落芋だけを口にしている“偏食”皇太子を前に鈴霞は!?始まりは、偽りだらけの政略結婚だった…。身代わり花嫁の美味なる食譜が謎を解く、中華後宮恋物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

駆け落ちした貴族令嬢の身代わりで、皇太子圭鷹の花嫁として東宮に上がった料理人鈴霞
圭鷹の偏食と拙い自炊生活を知った鈴霞は、あっさりと正体を見破られたことにも気づかないまま、圭鷹と共に料理を作りながら彼と打ち解けていくのです。

 

圭鷹と鈴霞の恋物語としては、身代わり系ラブストーリーの王道という感じで安心して糖度を楽しむことができました。
正体を知っていることを黙ったまま、素の鈴霞に惹かれていく圭鷹。
圭鷹に気づかれているとも知らずに、彼を騙していることに罪悪感を募らせる鈴霞。
複雑な想いを隠した二人の恋の行方にドキドキしつつも、共に料理に励む姿の睦まじさにニヨニヨしてしまいました。
下手なりに一生懸命料理を作る圭鷹が可愛すぎてツボ。

 

身代わり問題の決着については、まぁこうするしかハッピーエンドにはならないよなという感じ。
そこに持っていくまでの過程は、ちょっと予想外に鬱々としたものでしたが・・・・・・。

 

それはさておき。

鈴霞は手料理を振る舞うことで、圭鷹以外の皇族たちとも打ち解けていきます。
登場する料理の数々は中華な飯テロでとても美味しそうでした。豆粉のクレープが気になる。

鈴霞が料理を通して関わっていくエピソードの中では、猟月と芙羅の話が素敵なラブストーリーとして好みでした。
芙羅の人生は過酷すぎて読んでいるだけでも苦しかったので、これからは猟月と共に幸せな人生を歩めるように祈らずにはいられません。

 

猟月と芙羅の物語以外は、前作同様にずっしりとした読み心地のドロドロ後宮ドラマ。
本当に泣きたいくらい重く感じたのは、前作登場人物にすでに愛着が生まれていたからでしょうね。

 

だってねー・・・・・・うーん・・・・・・。

 

前作主人公だった恵兆王夫婦のその後の人生があまりにも不憫すぎて。
愛娘を早くに失っていたばかりか、その死に隠された真相の悲惨さに言葉もありません。こんなのってないよ・・・・・・。
前作自体はハッピーエンドだし、恵兆王夫婦そのものは今も睦まじい様子なんですけどね。
これは私のハッピーエンド至上主義の限界を試されているのか・・・・・・!

 

ある意味全ての元凶ともいえる嵐快の姿にも複雑な気持ちに。
愛した人を手に入れたことが、皇帝としての彼の幸せに繋がらなかったっていうのが哀しい。
方寧妃と再会せず、美しき恋の思い出を胸に秘めたままのほうが良かったのではないでしょうか。
恋に運命を狂わされた結果、愛する人も、愛する息子も、愛する兄も失って、彼には一体何が残ったのか。
母の罪を知った場面で、圭鷹が自分のことを空虚だと考えていましたが、最後の嵐快の空虚さに比べるとまだ救いがあるといえるのかもしれませんね。

 

にしても嵐快さん。不吉な予言はやめれ。
邪恋に溺れた自分に圭鷹を重ねないでー!!
「おそらくそれは不可能」ってどちらにかかってる言葉なんですか!?
まさか「天意に抗い通せるか」って方!?
「見届けたい」の方ですよね!?
え、でもそれってどういうこと??(パニック)

 

前作登場人物の不幸な末路を見すぎたためか、せっかくハッピーエンドにたどり着いた圭鷹&鈴霞の未来に不安を感じてしまうじゃないですか。勘弁して。彼らはきっと幸せになるって信じてる(嗚呼でも皇帝は一夫多妻制・・・・・・!)

 

正直これだけストーリーが面白くなかったら地雷認定していたかもしれません。私の地雷を踏み踏みしすぎだと思うの。
ただ、中華後宮ものとしては文句なしの読み応えだし、主人公の物語自体はハッピーエンドなので許しますが!!面白いは正義なので!!(血涙)

 

色々思うところはありますが、とても面白い作品でした。
はるおかさんの次回作も期待してます。

・・・・・・あ、でも鈴霞と圭鷹のその後がわかるような続編は怖いのでいらないかも(白目)

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。