古書街キネマの案内人 おもいで映画の謎、解き明かします


『古書街キネマの案内人 おもいでの映画の謎、解き明かします』(大泉貴著/宝島社文庫)★★★★☆

古書街キネマの案内人 おもいで映画の謎、解き明かします (宝島社文庫)
古書街キネマの案内人 おもいで映画の謎、解き明かします (宝島社文庫)

2016年3月刊。
宝島社さまよりご恵投いただきました。
神田神保町の名画座を舞台にした、古い映画と謎を巡るライトミステリー。
名画座にやってくる人々が抱える様々な想いを、映画を愛する「案内人」が紐解いていく短編集です。
映画館事情や名作映画の裏話などの小ネタも面白く、とても映画館に行きたくなりました。ここに出てくる名画を鑑賞したい気持ちにも。
優しくて温かな良い作品でした。とても面白かったです。

☆あらすじ☆
東京・神田神保町。世界最大級の書店街であるこの街の裏路地には、小さな名画座『神保町オデヲン』がある。大学生の多比良龍司は、そこで出会った女性・六浦すばるに惹かれてバイトを始めることにした。彼女は映画にまつわる悩みを聞いて解決する“案内人”なのだった。映画の感動と興奮、その“おもいで”が人と人を繋いでいく。これは小さな名画座で巻き起こる、どこか温かく懐かしい物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

最初の1本め「Film01. チケット・オブ・ザ・リング」から泣かせにかかるのだから、侮れない。

 

就活が終わった大学生・多比良龍司は、病死した叔父が遺した前売り券を手に名画座神保町オデヲンを訪れ、そこで働く六浦すばると出会います。
彼女は映画と人々をつなぐ「案内人」。
映画にまつわる深い造詣をもって、映画とそれを見た人の間にあった思い出を取り戻したり、映画館で起こる様々なトラブルを解決したりするすばるの姿を、彼女に淡い想いを抱く龍二の目から描く物語です。

 

4本の短編すべて面白かったのですが、共通して伝わってくるのはすばる自身の映画に対する強い愛情。ここまで何かを真摯に愛せる人にはとても憧れます。

すばるの映画に関する幅広い知識も本当に驚嘆してしまうものなのですが、知識をひけらかすのではなく、愛ゆえに溢れ出てしまう感じがすごく可愛らしかったですw

 

そんなすばるが優しく解説してくれる様々な映画は、比較的古い作品が多く、個人的にはタイトルを聞いたことはあるけれど実際に観たことがないものばかり。
それでも有名タイトルの裏エピソードは面白く、映画が公開された時代背景にまつわる様々なエピソードはとても興味深いものでした。
映画興行の仕組みなどの映画館事情を知ることができたのも楽しかったです。

 

もう少し詳しく各短編について触れていきますが、最初のエピソードである「チケット・オブ・ザ・リング」は映画を公開しようとする叔父さんの想いがとても素敵で、「E.T.」という映画を通した龍二と叔父さんの絆に涙ぐんでしまいました。

 

2本目の「羅生門イン神保町オデヲン」は、羅生門というからもっとエゴイスティックにドロドロしたエピソードがくるかと身構えていたのに、チャーミングなおじさんたちの友情にほっこりしてしまいました。

 

4本の短編のなかでも、一番身近に感じたのは3本目「フィルム・ガーディアン・バスターズ」
映画泥棒許すまじ。違法アップロード動画は断固として観てはいけません。
この話はフィルム文化の衰退にも触れられていて、映画館という場所も時代よって移り変わっていくのだと改めて感じさせられました。
あのカラカラと回る映写機も徐々に消えていく風景だというのは、なんだかとても寂しい気持ちになるものですね。

 

最後の「サンセット古書街通り」は映画界の厳しい時代を思って胸が痛くなった後に、映画を愛する優しい人たちの姿に心が温かくなるものでした。

 

どの短編もとても面白く、読むと映画館に行きたくなるお話ばかり。久しく映画館に足を運んでいないことを寂しく感じてしまいました。
近所に名画座はありませんが、ミニシアター系の映画館なら神保町オデヲンの雰囲気を味わえるかも?今度行ってみますかね。

 

ここに出てくる映画も観てみたいです。DVDレンタルしてくるかなー。
「イングロリアス・バスターズ」がとても気になっています。

 

すばるさんの映画愛に龍二君と一緒になって感化された気分。是非シリーズ化してほしい作品でした。もっと色んな映画をこの作品から知っていきたいです(´∀`*)

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