神神神は、罪に三度愛される


『神神神(かがみしん)は、罪に三度愛される』(梨沙著/朝日エアロ文庫)★★★★☆

神神神は、罪に三度愛される (朝日エアロ文庫)
神神神は、罪に三度愛される (朝日エアロ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2016年2月刊。
「華鬼」で知って以来、梨沙さんの著作は色々と読んできたはずなのですが、本作はまさしく新境地の作品といえるのではないでしょうか。
主人公と幼なじみが合宿で訪れた廃校。そこで起こった猟奇的な殺人事件。
誰なのか分からない殺人犯への恐怖と、誰が何をするか分からない恐慌状態。
嵐に取り残されてしまった廃校を舞台に描かれるミステリーは、スリリングでとても読み応えがありました。
が、しかし。
この結末は予想していなかった・・・・・・。
とても切なくて、胸が苦しくなるような読後感。それでも、もう一度最初から読みたくなる作品でした。

☆あらすじ☆
高校生の僕と幼なじみの日和が所属する、超常現象研究部が夏合宿で訪れたのは、廃校になったばかりの中学校。台風直撃の予報の中、強行された合宿で先輩の変死体が発見される。惨劇を機に、嵐の廃校で明かされる三つの罪、愛しくも残酷な真実──。

以下、ネタバレありの感想です。

 

病弱な高校生・神神神(かがみ しん)。
この凄い名前のせいで、インパクトが強いはずのタイトルの意味を深く考えることができなかったのかもしれません・・・・・・。

 

神と幼なじみの日和が所属する超常現象研究部(超研)が夏合宿先に選んだのは、神たちが卒業した後に廃校になった中学校。
途中「ん?この先輩後輩関係大丈夫かな??」と眉をひそめる場面や首塚や落雷のトラブルがありつつも、一見すると和やかなムードで始まった合宿。
しかしそれは、台風の直撃と、超研メンバーである泉屋猛の惨殺死体が発見されたことで一変するのです。

 

正直に言うと、著者さんに対して先入観を持ちすぎていたのかもしれません(だって甘くて可愛い少女小説を書く方なんですよ!いや割とダーク派だけども)

それにしたってこういう猟奇的な方向で話が進むとは思わなかったんです・・・・・・!
びっくりしたー!ぱ、パーツで再登場するとは・・・・・・

 

猟奇的な死体の存在は、超研メンバーの心を揺さぶり、彼らを瞬く間に恐慌状態へと陥れていくことに。
特に2人目の犠牲者に関しては、目も当てられない悲惨さだったと思います。
1人目はともかく、2人目に関してはなんかもう不運すぎるというか。
まぁこの2人目の存在が「犯人」が誰なのかを分からなくさせる目くらましになったんですけど。あそこで複数人が凶行に走ったせいで事態が一気に迷走してしまったんですよねぇ。

 

殺人事件自体もクローズド・サークルものとしてなかなか面白かったのですが、それよりも読み応えがあったのは人間ドラマの部分。

泉屋の死体発見から、どんどん崩れ始めていく超研のメンバーたちの表の顔。
まぁ泉屋と神の関係性からみても健全な部活ではないだろうとは察していましたが、まさかここまでとは。
過去の自殺事件と現在の殺人事件の交錯から見えてくる、エゴイズムに満ちた過去の真実には吐き気がこみあげてきました。

 

しかしそれ以上に、今回の事件の真相は切なすぎる。

 

「神神神は罪に三度愛される」かぁ・・・・・・。

 

「罪」はどうして一人で抱え込んでしまったのか。
「なんで、僕を巻き込まなかったんだ」というセリフが悲しくて胸が痛みます。もしも最初から話していたら何か違っていたのでしょうか。

事件の発端を考えると、避けられない悲劇だったような気もするんですよね。それがまた辛い。
悲劇的な結末しか待っていない自分の運命を知って、限られた時間を大事な人たちのために使い切ったともいえるのかな・・・・・・他に方法があったはず、なんて思うのは時間を持つ人間のエゴなのでしょうか。

 

とても悲しくて寂しさばかり募る読後感。
ラストの兄弟達の賑わいに少し励まされたことだけが救いでした。

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