『イグニッション・ブラッド 暁の英雄』(亜逸著/富士見ファンタジア文庫)★★☆☆☆
イグニッション・ブラッド 暁の英雄 (ファンタジア文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
2016年2月刊。
第28回ファンタジア大賞「銀賞」受賞作。
吸血鬼と人間の戦いを描くファンタジーなのですが、残念ながら私には合いませんでした。
悪くない気はするんですけど、引っかかることが多くて・・・・・・。
☆あらすじ☆
人類の存亡をかけた戦場で、若き英雄の銀刃が閃く――!!
かつて吸血鬼と呼ばれた種族〈至高の血族〉――彼らに対抗する部隊エクイテスに所属する十影は、圧倒的な戦闘力をもって至高の血族を畏怖させる若き英雄だった。だが、異端の少女との出会いが彼の運命を一転させる!
以下、ネタバレありの感想です。ネガティブ注意。
隕石の衝突により氷河期が始まり、地上の人類が地下へと逃げ込んでから1000年。
人類が再び戻ってきたとき、地上はすでに「至高の血族」と呼ばれる吸血鬼のものとなっていた、というところから始まるヴァンパイア・ファンタジーです。
吸血鬼と闘う剣士・十影は、至高の血族と人類のクォーターであるペスティと出会い、彼女の母親探しを手伝うことに。
そこに、新米のクインが加わっての賑やかな三角関係的ラブコメがあったり、ペスティを追ってくる吸血鬼とのバトルがあったりするストーリーなのですが、展開や各種要素については無難にまとまっている印象がありました。
それで何が合わなかったかというと、まずキャラの掘り下げがいまひとつ浅く感じたこと。
十影もペスティも背景は結構悲惨なものであるはずなのに、それに対する彼ら自身の生々しい心情が見えてこない。
クインの掘り下げの方がよっぽど上手くできていた気がします。ビッチのふりしている理由をモノローグで語っている場面がこの作品で一番面白かったかもしれない。
あと、設定自体は良いんですけど、どうにも薄さを感じてしまいました。
人間側も吸血鬼側も1000年分の歴史があまり感じられないんですよね。技術の発展でそこを読み取るべきだったのかな。
地下での暮らしが具体的にどんなものだったのかとか、地下でどういう苦難があったのかとか、そこらへんをもう少しだけ詰めてくれたら印象は違ったのかもしれません。
「地下に逃げ込んで苦節1000年」という設定にドラマを感じないから、そんなに犠牲を出すくらいなら地上は諦めた方が良いのでは?とかしょうもないことを思ってしまうんです(´・ω・`)
もう1000年も住んでる立派な地底人なんだし・・・・・・。
地の文もピンとくるものがなく、退屈に感じてしまいました。
どうでも良いことなんですけど、だっこしながらおんぶってどうやるんだろう。