竜と正義 人魔調停局 捜査File.01


『竜と正義 人魔調停局 捜査File.01』(扇友太著/ノベルゼロ)★★★☆☆

竜と正義 人魔調停局 捜査File.01<人魔調停局 捜査File> (NOVEL 0)
竜と正義 人魔調停局 捜査File.01 (NOVEL 0)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2016年2月刊。
第9回MF文庫J新人賞「最優秀賞」 受賞作「MONSTER DAYS」の加筆修正版。
魔物と人類が衝突しつつも共存する世界を舞台に、人魔間の軋轢を解消するため奔走する人魔調停局員の活躍を描くハードボイルド風味のポリスアクションです。
世界観が凝りまくっているため設定の把握が大変でしたが、それだけに読み応えのある作品でした。
魔物との身体的スペックの違いから苦労ばかりするのに、挫けず困難に打ち勝とうとする主人公が格好いい。ガン&マジックの派手なアクションも良かったですし、新しい形の英雄譚として面白かったです。
旧作は1巻きりだったようですが、今回は無事にシリーズ化できるだろうか。続きを期待しています!

☆あらすじ☆
人魔調停局実働部--捜査開始!
人間と魔物が共存する現代。人魔社会の平和維持のため、調停局の新人実働官ライルは今日も事件と、上司であるオーロッドの叱責と戦っている。第9回MF文庫J ライトノベル新人賞・最優秀賞受賞作が加筆修正、完全版として登場。

以下、ネタバレありの感想です。

 

1200年前の【邂逅の日】に魔物が出現し、その後多くの戦いを経てなんとか魔物と人類が共存できるまでに至った世界。
しかし、両種族にはそれぞれ他方を排斥しようとする組織が存在し、魔物と人類の溝は未だ根深いものがある状況。
そんな微妙なバランスの上で成り立っている平和を維持するために、人魔間の軋轢に繋がる重犯罪の予防・解決を使命とするのが主人公ライルが所属する人魔調停局であり、物語は局員として潜入任務もこなすライルの日常からスタートします。

 

物語の世界観がとても凝っている作品。
ただ、凝りすぎるあまり説明が冗長になりがちで、所々に読みづらさを感じたのは残念でした。
1200年という人魔間の歴史が簡単に説明しきれるものではないのは分かります。
でも人魔間の戦争や、人魔それぞれに存在する組織とその成り立ちを一読で理解するのはちょっと難しかったです。
人魔間の情勢や組織間の緊張関係・権力関係についてもややこしくて読むのが大変でした。

 

設定を全て一気に説明しようとせずに、もう少しシンプルにまとめてほしかったかも。
ですが、そういう部分も含めて読み応えのある作品だったと思います。
今回ラウルがついた護衛任務に関しても、それらの情報のほぼ全てが収束した真相が隠されていたわけですしね。縄張り争いや利権絡みの話は警察小説みたいでワクワクしましたw

 

加えて、背景となる設定をきっちり整えているからこそ人魔間の軋轢や問題から生まれるドラマに深みが出るのでしょう。

人魔の共存する世界の最先端をいくクリアト連邦共和国のなかにあっても、垣間見えてくる両種族の溝の深さ。
「人と魔物は本当の信頼関係を築くことができるのか」という問いかけを、「人に裏切られた竜」と「人を信じようとする竜」との対比の中で投げかけてくるストーリーだったと思います。
その答えはきっと今後も探し続けていくんだろうなぁ。

 

ガン&マジックの派手なアクションも良かったです。
現代的な世界観の中での「魔物との戦い」は独特の緊迫感と迫力がありましたし、あくまで生身の人間であるラウルの死に物狂いの激闘には胸が熱くなりました。
現代の銃火気が出てくることで、それが通用しない魔物との戦いにリアルな絶望感が生まれるんでしょうね。
人間的な強さしか持たないライルがどうやって勝つの!?とハラハラさせられました。

 

魔物&人間でバディを組むっていうのも面白い。
ライルとアルミスの険悪なのか仲良しなのか微妙な掛け合いが楽しかったですし、ここぞという場面で息の合った連係プレーを見せてくれてテンションが上がりましたw

 

キャラも好印象。
困難にぶつかっても夢を諦めない熱血ライルは格好良かったし、変態ユニコーンねえさんなアルミスには笑いっぱなし。
健気なクーベルネも可愛かったですし、局員それぞれが個性豊かで生き生きと動いていたと思います。

 

設定を理解するために読むのに時間がかかる作品だったものの、おそらく次巻は最初からすんなりと物語を楽しめるはず。
人魔調停局のメンバーの活躍がもっと読みたいので、シリーズ化に期待します(*゚▽゚)ノ

MONSTER DAYS (MF文庫J)
扇友太
メディアファクトリー
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