ブックマートの金狼


『ブックマートの金狼』(杉井光著/ノベルゼロ)★★★☆☆

ブックマートの金狼 (NOVEL0)
ブックマートの金狼 (NOVEL0)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2016年2月刊。
新レーベルNOVEL 0の創刊ラインナップの1作。
新宿を舞台にしたハードボイルドアクションで、主人公は裏社会に顔が利く雇われ書店店長。
彼がアイドルのストーカー絡みのトラブルを引き受けたことから始まる物語ですが、予想以上の血生臭さでしたw
主人公とかつての仲間たちがとても格好良かったので、ぜひ全員を登場させるためにもシリーズ化してほしい新作です。

☆あらすじ☆
元トラブルシューターの書店店長が裏社会の問題に挑む――
東京・新宿のど真ん中に位置する『くじら堂書店』店長を務める男・宮内直人はかつて伝説的チームを率い、裏社会にまで名を轟かせた元トラブルシューターだった。そんな彼の元に、久々の《トラブル》が舞い込み……?

以下、ネタバレありの感想です。

 

かつては裏社会での信頼もあついトラブルシューターだった宮内直人
施設の仲間たちと組んでいたチーム「SCARS」を解散させ、現在は書店の雇われ店長としての日々を過ごす直人のもとに、人気アイドル桃坂琴美のストーカー被害に関わる依頼が持ち込まれるところから物語が始まります。

 

琴美自身からは失踪した兄がストーカーを制裁しているから何とかしてほしいと頼まれ、一方で琴美の家族の周辺からはきな臭い動きがあることを察知した直人。
かつてのツテや仲間の助けを借りながら、直人は少しずつ桃坂家の隠す秘密に近づいていくのです。

 

事件の全容についてはそこまでひねったものではなく、割と定番な展開だった気がします。
両親のことが語られた段階で最後まで察してしまえるので、ミステリとして読むと少し拍子抜けしてしまうかもしれません。

 

むしろこの作品で面白かったのは、直人の調査の仕方やかつての仲間たちとのやり取り、そして路地裏での襲撃や工場での乱闘といったハードボイルドでサスペンスでバイオレンスな部分。

 

特に最後のレイジ参戦のシーンはとてもテンションが上がりました。
悪友のピンチに颯爽と駆けつけて、言い訳めいた悪態をつきながら背中合わせで戦うなんていうのが、もう血湧き肉躍る!
腐れ縁的な雰囲気が良いんですよねぇ。どうせなら和解しないでこの微妙にぴりぴりした二人のままでいてほしいw

 

琴美のトラブルに対する直人のアプローチのかけ方も興味深かったです。
裏社会から足を洗ってるくせに、そちら側の人間から熱烈に慕われているっていうポジションが大変美味しい。便利な手足がたくさんいるんですね。やはりこの店長、カタギではない。
吉村さんと話しているときの「書店店長の直人」と、事件関係者と話しているときの「トラブルシューターのナオト」で雰囲気がガラッと変わるのが、彼の今も曖昧な立場をそのまま表しているようでした。こういう二面性あるキャラクターは大好物ですw

 

今回の話はなかなか血生臭いオチがついてしまいましたが、何気に一番ゾッとしたのは琴美自身のことだったりして。
直人は「メンヘラじゃない」って否定していましたけど、狂言の呼び出しとか勝手にGPS仕込んだこととか考えると、否定できるかどうかあやしくないですか。むしろ怖い。

私としては健気で良い子な吉村さんを応援したいので、琴美とはこれきりの関係でお願いしたいところ。しかし彼女のキャラは使い切りにするには勿体ないかもw

 

著者的に心配していませんでしたが、安定した面白さを感じる新作でした。
今回出てこなかったSCARSのメンバーや彼らの解散時に何があったのかなど、まだ気になる部分は残っているのでぜひシリーズ化してほしい!

ブックマートの金狼 (NOVEL0)
杉井 光
KADOKAWA/メディアファクトリー
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