帰宅戦争 帰りたいんだけど戦争起こしてもいい?


『帰宅戦争 帰りたいんだけど戦争起こしてもいい?』(鬼火あられ著/富士見ファンタジア文庫)★★★☆☆

帰宅戦争 帰りたいんだけど戦争起こしてもいい? (ファンタジア文庫)
帰宅戦争 帰りたいんだけど戦争起こしてもいい? (ファンタジア文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2016年1月刊。
第28回ファンタジア大賞「銀賞」受賞作。
「青春バカ」が集う部活動強豪校に入学してしまった主人公が、帰宅部を作るために仲間と共に校門突破を目指す学園コメディです。
スタートダッシュは良かったものの、展開が粗さとリアリティの薄さが残念。
ただ話は綺麗にまとまっていて、帰宅戦争とヒロインの戦いを重ね合わせる構成はお見事。青春小説として爽やかな読後感を得ることのできる作品でした。
これは単巻ものかな?今後の成長に期待したい新人さんです。

☆あらすじ☆
一度きりの青春を、全力で棒に振ろう!?
過去の事件から仲間を信じられなくなった佐藤太郎。しかし太郎が入学したのは、青春の謳歌が大正義とされる青春高校で――「一緒に帰宅を目指してみない?」と、そこへ現れたのは一人のアイドル・椎名凛花だった!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

生徒全員に部活動が義務づけられ、青春を謳歌せよと求められる帝成高校。
そんな学校にうっかり入学してしまった佐藤太郎は、自分と同様に部活に入りたくないという椎名凜花と共に、帰宅部の創設を目指すことに。
しかしスクールカラーに反する「帰宅部」の存在を認めたくない部活連合と教師陣の抵抗にあった結果、放課後18時までに部活勧誘から逃れて校門を突破しなければならない帰宅同好会と、部費UPを目指して帰宅同好会員の校門突破を全力で阻止する帝成部活連合との「帰宅戦争」が勃発することになるのです。

 

帰宅戦争という発想は面白かったと思います。
各部活動がそれぞれの特徴を生かして代わる代わる襲いかかってくるところとか、ドタバタ騒がしくてとても楽しかったですし。
ただ、最初の爆発的な勢いが最後まで続かなかったのはちょっと残念。
そもそもの設定が無茶なので(校内での暴力沙汰になってますから)、勢いがなければリアリティが気になって仕方なくなるんですよね。
特に粉じん爆発はアウトです。あそこはかなり冷めてしまいました。普通に考えれば、爆発なんてやらかしたら強制終了でしょう。

 

それぞれのキャラは魅力的でしたが、あと一歩物足りなさも感じたり。
せっかく同好会という括りで登場するのだからイリス織田の事情ももう少し掘り下げてほしかったかな。キャラ付けは面白いのに背景が見えてこないので存在感がちょっと薄かったんですよね。
ただまぁ主人公とヒロインだけに集中した分、そちらの掘り下げはしっかりされていたのでプラスマイナスで言うならプラスではあるのですけど。

 

色々と不満点はありつつも、読後の満足感はしっかり得られる作品だったと思います。
特に、「青春の謳歌」を押しつけられて逃げようとする帰宅同好会の戦いと、「幸せな未来」を押しつけられて逃げようとする凜花の戦いを重ね合わせ、最後のシーンで一つの結末にたどり着く構成はとても素晴らしかったです。
他者から見れば無駄で馬鹿げている行動であっても、彼らが自分で選び掴み取った「青春」はとても輝かしく感じました。

 

粗はありますが、総合的にみると良い青春小説だったと思います。
帰宅戦争というテーマ的にこれはおそらく単巻ものなので、鬼火あられさんの次回作に期待します( ´ ▽ ` )ノ

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