灰色のマリエ1


『灰色のマリエ1』(文野さと著/レジーナ文庫)★★★★☆

灰色のマリエ〈1〉 (レジーナ文庫)
灰色のマリエ〈1〉 (レジーナ文庫)

2015年12月刊。初出はレジーナブックス2014年6月刊。
親しく感じるもの以外は灰色にしか見えないマリエ。
そんな彼女が祖父母の親友だった老紳士の願いを叶えるため、彼の孫息子と偽りの結婚をすることになる物語です。
割と本気で殴りたい感じの、自他共に認めるダメな夫の変化が見物な本作。
「自業自得」という言葉が似合いすぎる残念なイケメンはともかく、「灰色」だった彼を変えていくマリエの強さがとても好ましい作品でした。

☆あらすじ☆
辺境の町に住む、働き者のマリエ。ある日突然、幼い頃から憧れていた紳士に自分の孫息子と結婚してほしいと頼まれる。驚くマリエだったが、彼の願いならばとその話を受けることに。孫息子であるエヴァラードが住む王都に向かうと、紳士に瓜二つの彼から、こう言い放たれる。「この婚姻は祖父が身罷るまでだ」。そうして偽りの結婚生活が始まるが、彼は常にマリエに無関心。しかも自分以外の女性の気配もあって…。かりそめの結婚から始まるラブストーリー。文庫だけの書き下ろし番外編も収録!

以下、ネタバレありの感想です。

 

祖父母の親友だった老紳士ヴィリアンを慕い、彼のために孫息子エヴァラードとの結婚を決めたマリエ
しかし祖父から押しつけられた田舎者の妻を疎ましく思ったエヴァラードは、マリエに祖父の死を期限とする白い結婚を持ちかけるのです。
物語は、マリエとエヴァラードの冷え切った新婚生活の幕開けと、徐々に変わっていく二人の想いを丁寧に描いてきます。

 

エヴァラードのダメ男っぷりが本当に酷かった・・・・・・!
態度は悪いし口も悪いし金は渋るし愛人までいるしで、「この人、顔以外で良いところ何かあるの!?」って何度思ったことか。
これはヴィリアンも結婚を持ちかけつつも躊躇するわけですね。性根ちゃんと腐ってるじゃないですか。
殴りたい!マリエにした言葉と財布の暴力の分だけ殴りたい!!

 

まぁそんな彼だからこそ、気づけば偽りの妻に惹かれて自分の所業を後悔して悶えるっていう王道パターンが見事にハマって面白いんですけどねww
自分で決めたことに首を絞められていくエヴァラードの姿に、やたらと胸がスッキリしました←

 

ただ、かつて叶わなかった恋を自分に押しつけてきた祖父に対する憤りを感じつつも、「嫌だ」と繰り返すシーンは不覚にも切なくなってしまいましたが・・・・・・。
そこに至るまでのエヴァラードの変化がゆっくりと丁寧に描かれているからこそ光るシーンだったと思います。

 

ヴィリアン老といえば、祖父と孫夫婦の三角関係みたいになっていたのがやたら面白かったです。新しいなw

 

エヴァラードのマリエに対する仕打ちはなかなかキツイものがあったのですが、マリエ自身はとても強い女性。
彼女の性格のおかげで、無闇に悲壮感溢れる雰囲気に流されることなく物語を素直に楽しめることができました。
安らげない新婚生活の中でも、ユーモアをもって健気に生きるマリエの姿がとても可愛らしい。
マイルールを徹底しすぎてエヴァラードを困惑させた短編には笑ってしまいましたw

 

親しみを感じないものの色彩を認識できないというマリエの不思議な性質も良かった。
冷たく灰色なマリエの新婚生活の変化を見事に表現していく、とても面白い設定でした。
ラストでようやくマリエの世界の中で色を得ることができたエヴァラードは、これから彼女と本当の夫婦になっていけるのでしょうか。

 

二人の幸せの前に立ちはだかるのは、何かやらかしそうな愛人オーロールでしょうね。
エヴィーの自業自得はまだまだ続きそうですが、2巻がとても楽しみです。

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