異端審問ラボ 魔女の事件簿1


『異端審問ラボ 魔女の事件簿1』(高里椎奈著/講談社タイガ)★★★☆☆

異端審問ラボ 魔女の事件簿1 (講談社タイガ)
異端審問ラボ 魔女の事件簿1 (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年12月刊。
ディストピアSFミステリー、になるのでしょうか。
色々と生きづらそうな遠い未来を舞台に、知的好奇心から事件に巻き込まれたり、「古代の食事」を再現したりする3人組の物語。
1冊まるごと序章という感じだったのですが、最後に物語の方向性が垣間見えたことでSF的に面白くなりそうな下地ができあがっています。これは続刊に期待が高まる!

☆あらすじ☆
栄養科学研究所に配属された千鳥(チドリ)は、言語学研の鳶(トビ)、考古学研の鶫(ツグミ)とともに、研究室で起きた殺人未遂事件を偶然目撃してしまう。この一件を発端に次々と起こる――書庫の放火、連続通り魔事件に巻き込まれていく千鳥たちは「一冊の文献」と「植物の化石」を手に入れることに。三人は化石をめぐる実験をはじめるが……。「知」への好奇心が異端にふれ、禁断の扉が今ひらかれる!

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、世界言語が統一された「反バベル現象」からさらに遠い未来。
そんな環境って幸せなの?という感じでもろにディストピアな世界でした。
天蓋と呼ばれる閉鎖空間の中に閉じ込められ、職務管理事務所の人事により職業を決定され、「食事」という概念もなく錠剤のみによる栄養補給・・・・・・なんて灰色な恐ろしい世界なのか((((;゜Д゜)))))))

 

しかし、当然ながらそこで暮らす多くの人々にとっては何の疑問も感じない普通の世界なのです。

 

主人公千鳥も、自分が全く希望していなかった栄養科学研究所へ強制的に配属されても、疑問に思いつつ大人しく受け入れちゃうあたり、完全にこの世界の住人ですしね。

 

物語は、千鳥とその友人であるの3人組が、色々な事件に巻き込まれ、その謎を解き明かしながら少しずつ世界のタブーに触れていく、という形で進んでいきます。

 

最初の2つの事件は肝心の部分がぼかされたまま、いまいちスッキリしない結末でモヤモヤしてしまったのですが、最後の事件でようやくこの物語の方向性が見えてきた気がします。

ミステリーとしてよりもSFとして読んだ方が楽しめる作品なのでしょう。
最初の事件で未来世界の人間の脆弱性が示され、次の事件で反バベル現象によって失われた古代言語や書籍の扱いが示され、そして最後の事件で「人類本領保全協会」が登場する、という感じで三人組が巻き込まれる事件によって順次世界観が明らかになっていくのですが、それがとてもSFとして興味深いものでした。

今回はほのめかされた程度で終わった謎が明かされるとき、とても大きな衝撃を受けそうな予感があります。ドキドキ・・・・・・。

 

世界観がとにかく良かったのですが、キャラ的にも主人公三人組がとても魅力的でした。
無表情無反応だけど内心では繊細に気配りする千鳥。そんな彼を取り巻く優しい鶫とマイペースな鳶。
心配したり心配されたりしながら、仲良く自然に一蓮托生となる三人組は、強い絆を感じられて好感が持てました。

 

今はまだのんきにしている三人組ですが、鳶が他の2人を巻き込んで再現実験を繰り返す「古代の食事」によって何かが起こりそうな予感が怖い。

人類と菌以外の有機物が絶滅し、食事すらロストテクノロジー扱いされた世界において、ラストの「芽生え」は千鳥たちをどんな事態に巻き込んでいくのか。

 

暗雲立ちこめるラストを迎えましたが、物語が進むほどに面白くなるタイプの作品だと思います。
続きがとても楽しみです(^^)/

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