白竜の花嫁7 恋秘めるものと塔の姫君


『白竜の花嫁 恋秘めるものと塔の姫君』(永野水貴著/一迅社文庫アイリス)★★★★☆

白竜の花嫁7(仮) (一迅社文庫アイリス)
白竜の花嫁7(仮) (一迅社文庫アイリス)

前巻の感想はこちらから


2015年12月刊。
竜と人の異種婚姻譚シリーズ第7巻。
前巻ラストで感動(?)の再会を果たしたものの、一度こじれたものがそう簡単に元通りになるわけないのがこのシリーズ。
ほの暗い雰囲気の物語なのは相変わらずですが、良くも悪くも純粋だった澄白が歪んできたのは個人的には期待の傾向。
今後の展開が楽しみです。

☆あらすじ☆
「君は竜の《花嫁》で、私の妻だ」
白竜のシュトラールの“花嫁”となった小国の姫、澄白。名ばかりの花嫁である自分を傍らに置き続けるシュトラールに、彼への恋慕を胸に秘める澄白は喜びと共に哀しみを感じていた。黒竜を追い地上に降り立った澄白たちは、塔に住む公女と若きドラゴン学者に出会い――。
花嫁への独占欲を強める竜と恋心を抑え続ける姫君、切なく純粋な想いの行き着く先にあるものとは…? 人気作第七弾!

以下、ネタバレありの感想です。

 

前々巻ラストで置き去りにされ、前巻ラストでお迎えがきた澄白。
どれだけシュトラールが謝ったところで、決してメンタルが強いとはいえない澄白が簡単に立ち直れるわけもなく・・・・・・しばらくは拗れたままだろうなぁという予想通りの展開へ。

 

置き去りトラウマとシュトラールへの恋心を抱える澄白。
そんな彼女に今まで以上の独占欲を発揮しつつも、澄白との距離感に戸惑うシュトラール。

ふたりのすれ違いを通して、竜と人という種族の違いがますます浮き彫りになってきた気がします。
特に、シュトラールが澄白へ抱く想いが、人に当てはめるとどういうものなのかハッキリしないのがなぁ・・・・・・。
もちろん恋愛的な感情にしかみえないのですが、「伴侶=永久」が前提である以上シュトラールが口にする「妻」に意味はなくて、結局のところ澄白がシュトラールにとっての永久なのかどうかが重要なのだと思うんですよね。
それが明らかになれば澄白も楽になれるのに。ただでさえ種族差とアメテュストの影に苦しんでいるのだから。

 

もっとも、そんな澄白の苦しみが今まで以上に彼女というキャラクターに人間らしさを与えていたように思えました。

自分が抱える恋心に苦悩しながらも、シュトラールに特別扱いされることや独占欲を向けられることに暗い喜びを感じる澄白。

澄白がみせた今までにない陰鬱な感情にゾクゾクしてしまいました。恋は良くも悪くも人を変えるのですね。
まぁ元がやや鬱キャラなんで、恋して闇堕ち(とまでは言えないけれど)は当然な成り行きかも?
他の女へ嫌悪をみせるシュトラールに「もっと」と言葉を引き出そうとするシーンとかの、歪んだ恋心の描写がとても好みでした。悪い子だなぁw

ただ、そんな澄白の姿はあまりにも痛々しいので、できれば早く恋を実らせて陰のない笑顔を見せてほしいな、とも思います。
ハッピーエンドはまだかなー。いつかなー。

 

澄白とシュトラールのじれったくも甘いすれ違いを描きつつ、今回の舞台となるのはドラゴンの伝説を持つブルジェオン王国
そこで二人は、ドラゴン学者フィリップと、彼が恋する塔の姫君ソフィアと出会うことになるのです。

 

フィリップたちの物語については、途中で鬱展開を挟みつつも(シリーズ比で)幸せな結末を迎えてくれてホッとしました。
まぁもうちょっと因果応報をハッキリさせてほしかった気もしますが、ソフィアの枷を解き放つという意味ではこういう終わり方が無難だったのかもしれません。

 

フィリップとソフィアの恋を見守りながら鬱々とし続けた澄白も、ラストでようやく自分を許すことができたようで安心しました。
このまま恋を前向きに楽しんでほしいものですが、どうなるんでしょうね。幸せを掴むために頑張ってほしいなぁ。

 

さて、今回は長い寄り道となってしまいましたが、本来の目的はザラーム探し。
シリーズ全体からしても、そろそろ話が動いてほしいところ。
危なそうなヘラルディアの動向も気になりますし、次巻がとても楽しみです。できれば早めの刊行を!

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。