宝石商リチャード氏の謎鑑定


『宝石商リチャード氏の謎鑑定』(辻村七子著/集英社オレンジ文庫)★★★★☆

宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)
宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)

2015年12月刊。
「螺旋時空のラビリンス」で鮮烈なデビューを飾った辻村七子さんの第2作。
美貌の宝石商と迂闊すぎる正義漢大学生が主人公の、宝石にまつわるライトミステリ作品です。
宝石に関する蘊蓄は分かりやすくて勉強になるし、そんな宝石を巡る謎の数々は切なくも読後に心があたたかくなるものばかり。
何より主人公二人のキャラが立っていて楽しかったですw
天然人たらしな正義くんとたらし込まれるリチャード氏にニヤニヤしてしまいました(*´ー`*)

☆あらすじ☆
酔っ払いに絡まれる美貌の外国人・リチャード氏を助けた正義。彼が国内外に顧客をもつ敏腕宝石商と知り、誰にも言えない曰くつきのピンク・サファイアの鑑定を依頼する。祖母が死ぬまで守っていたその宝石が秘めた切ない“謎”がリチャード氏により解かれるとき、正義の心に甦るのは…?美しく輝く宝石に宿る人の心の謎を鮮やかに解き明かすジュエル・ミステリー!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

 

偶然助けた美貌の宝石商リチャードに、祖母の形見のピンク・サファイアの鑑定を依頼した大学生・正義
そのピンク・サファイアには祖母を長年苦しめていたとある曰くと、そんな祖母の後悔をどうにかしてあげたいという正義の優しさが秘められていたのです。

リチャードと正義の出会いを描いた最初のエピソードですが、4本+αの短編の中でこれが一番心に残りました。

誰もが弱者であった時代を間違いを犯してでも生き抜いた女性のことを考えると、その生き様に心が惹かれてしまいます。
時代のせいにして間違いを開き直るのではなく、悔いを抱えながらも逞しく生きた姿は、おおっぴらに肯定できるものでなくても無闇に貶められるべきではないんですよね。

ままならない祖母の未練を断ち切ってあげようとした正義は、本当に優しい素敵な青年です。
最後の母との会話と、それを締めくくる正義のモノローグも含めて、一番好みなエピソードでした。

 

 

 

リチャードの店でアルバイトを始めた正義。
そんな二人のところに持ち込まれたルビーの鑑別依頼から始まるエピソード。

「ヒート」って初めて知りました・・・・・・これも含めて、宝石の世界って(あまり興味がなかったこともあって)知らないことばかりだと思い知らされる作品だったような。

このエピソードは宝石そのものよりも、性的マイノリティの苦悩が印象的でした。
ドラマや小説などの創作の世界では堂々としたキャラが多く見られますが、真美さんみたいに「普通でないこと」を悩んで苦しむ人の方が共感できるかも。

私自身がそうであるという意味ではないのですが、正義が言っていたように「普通でない自分」に悩むこと自体は珍しいものではないと思うので・・・・・・。
「普通」から外れるって、本当に苦しいものですよね。
大多数に埋もれていたい気持ちがとても分かる(´・ω・`)

 

 

 

前エピソードラストあたりから正義くんの迂闊っぷりがひどく・・・・・・リチャード氏落ち着いて・・・・・・クッションぼすぼす殴るの可愛すぎるから・・・・・・!!

それはさておき夜の世界のお話。
高槻さん、界隈のひとのくせにビジョンが甘すぎてハラハラします。これはしっかりした嫁をもらって手を引いた方が良い。

 

 

 

「渋谷の条例、おめでとうございます」あたりのシーンでお腹抱えて笑っていましたww
正義くんの迂闊さが留まるところをしらない。
美を素直に褒め讃えるのは良いのですが、相手が人間だってことをあえて無視してるようにしか見えない・・・・・・この天然タラシ野郎め!
これはナルシストもタジタジ。

主役ふたりの可愛いアレコレはさておき、このエピソードは切なくてちょっと寂しいものでした。
嘆くと悼むは違うんだよ、っていうの良いなぁ。覚えておきたい。
亡くなった人を想うことは、亡くなった人と同じように自分の時間を止めてしまうことではないんですよね。
悲しみに囚われず、想いだけを永遠にすることができたなら、それはとても素敵なことなのではないでしょうか。

そんなすごく良いエピソードだったのにオチがひどいww
リチャード氏の怒濤のメール連撃最高ですね!
あと、谷本さんの全てを受け入れるふんわり属性が面白すぎましたw

 

 

宝石に関わる謎を巡る面白いライトミステリでした!
公式の作品紹介ページに「BL」タグがあって身構えていたのですが、この程度なら問題なし。
BLというより同性バディものっぽい感じでしたが、シリーズが続けばBLっぽくなっていくのでしょうか。ニアホモ程度でとどまってほしいなぁ。

ミステリとしても面白いし、正義君の迂闊な発言に翻弄されるリチャード氏は可愛かったので、続刊を楽しみに待っていようと思います(^^)/

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「宝石商リチャード氏の謎鑑定」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。宝石商リチャード読んで面白いと感じたのでコメント残させていただきます。
    てゆーかこの作品BLだったんですか!?
    それにびっくりです(笑)

    1. yumiさん、コメントありがとうございます。

      この作品、オレンジ文庫の公式ページでは「BL」のタグが付いているんですw
      だからシリーズが続けばBL化するのかもしれませんが、この巻だけではそこまでBLっぽくはないですよね。BLを覚悟して読んだので、私も逆にびっくりしました( ´ ▽ ` )

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