『黒猫菓子店初恋日和』(宇津田晴著/小学館ルルル文庫)★★★☆☆
2015年12月刊。
菓子職人のヒロインと、捨てられた彼女を拾った偏屈なヒーローのラブロマンス。
ちょっとヒーローが(ある意味)アホすぎるのと悪役が小物すぎるのが気になりましたが、軽く糖度を楽しめる安心の宇津田作品でした。
☆あらすじ☆
元婚約者にだまされて仕事も家も失った挙げ句、森に捨てられた菓子職人の少女マリエル。倒れていた彼女を拾ってくれたのは、謎めく青年ジルだった。女嫌いなくせに困っているマリエルを見捨てられないらしく、そっけない振りをしつつも、なにかと世話を焼いてくれるジル。彼が暮らす森の家には、同じように拾われたという幼い双子のきょうだいも住んでいて、マリエルは家事を引き受ける条件でジルたちと同居生活をすることに。いつか菓子職人の仕事に戻る日を願いつつ、家事のかたわら、お菓子作りに励んでいたある日。大富豪デュボワ家が新事業のために募集している菓子職人の候補に、自分が選ばれていたことを知ったマリエルは、チャンスをつかむために、デュボワ家の次期当主ジルベールに面会する。ところが「若き経済王」と呼ばれるカリスマ実業家のジルベールは、なんとジルにそっくり!? 混乱するマリエルに、ジルベールは甘い言葉で接近してきて…!!幸せいっぱい、極上スイーツ・ロマンス!
以下、ネタバレありの感想です。
父親を亡くした直後、婚約者に騙されて父の菓子工房の権利を奪われてしまった菓子職人マリエル。
口封じとばかりに森に遺棄されたマリエルは、森に住む謎の青年ジルに拾われ、同じようにジルに拾われた双子のミミとミロと共に4人で暮らし始めることに。そうしているうちに、ジルが紹介した有名実業家ジルベールの協力のもと、マリエルは新しい店を出すチャンスを得て・・・・・・という感じに物語は進んでいきます。
ジル=ジルベールは早々に明かされるのですが、色々と言い訳をされた結果それに気づかずに二人を別人として接するマリエル。
ジルに惹かれるマリエルと、彼女がジルベールに惹かれていると勘違いしてやきもきするジルというすれ違いを楽しむラブコメなのですが・・・・・・なんというかジルはアホかな?と。
自分で自分に本気でヤキモチを焼いた挙げ句に逆ギレするヒーローってどうなんだ(((゜Д゜;)))
いや笑えたけど!笑えましたけどね!?
超めんどくさいなコイツ!!と盛大にツッコミながら読んでいましたw
まぁ仕事ができるから良いのか・・・・・・
最後で「トマとは比べものにならないほどたちが悪く・・・・・・」云々と自分で言ってましたが全力で頷くしかないですね。
そんな感じでジルのめんどくささが振り切れていましたが、すれ違いラブコメとしては十分楽しめる作品でした。
前向きで誠実なマリエルは素敵なヒロインでしたしね。彼女のカフェはとても居心地が良さそう。
悪役だったトマは、あまりの小物っぷりが残念でしたが、最後の凶行は割と本気でゾクっとしたり。
ああいう道理の通らない理不尽な行動を取る人ってリアルでもいそうなんですよね。無駄に等身大の悪役だった気がします。
最後は綺麗なハッピーエンド。
軽い口当たりを楽しめる良い少女小説でした٩( ‘ω’ )و