『魔法師グリーシャの騎士団3 白光の召喚者』(リー・バーデュゴ著/田辺千幸訳/ハヤカワ文庫FT)★★★★★
白光の召喚者 魔法師グリーシャの騎士団3 (ハヤカワ文庫FT)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
前巻の感想はこちらから
2015年6月刊。
最高に面白かったです!
三部作の完結巻。
壮絶な戦いを繰り返し希望を追い求めるアリーナたちの冒険はついに決戦の時へ。
こんなに素晴らしいファンタジーを読めたことに感謝する、最高のクライマックスでした。
☆あらすじ☆
〈アパラット〉の手を逃れて、地下の〈白の聖堂〉から脱出したアリーナとマルは、ニコライ王子に助けられ、デヴィッドらグリーシャの一団と共に三番目の増幅物である火の鳥の探索を開始する。だが、彼らの行く手には、〈闇の主〉の魔手が……傑作ファンタジイ三部作、堂々完結!
以下、ネタバレありの感想です。
最終巻に相応しく最初から怒濤の展開。
希望が見えたら絶望に突き落とすのがこのシリーズの特色だと身構えていたのですが、まさしくその通りな内容でした。
2巻ではあれだけメンタル不安定だったマルがなんか悟って殉教者みたいな心境にあるし、やっと合流できたニコライは「闇の主」からプレゼントもらっちゃうし。
ついてきてくれた仲間はどんどん死んでいき、残る味方はほんの僅か。
こんな状況で「闇の主」に勝てるの!?というか勝ってもマル死亡のバッドエンドなんじゃないの!?と中盤以降はほとんど泣きながら読み進めていました(´;ω;`)
「3つ目の増幅物」の正体が判明する前から、「この戦いが終わったときマルは生きていないんじゃないか」疑惑はずっとあったんですよね。
だってアリーナの力が存在する限り、二人の間に生まれた溝は埋まらないわけだし。
そうするとアリーナは政略結婚してマルは追跡者に戻るの?そんなの恋愛的には最悪のバッドエンドじゃないですか・・・・・・。
しかも不安を煽るように冒頭に書いてあるメッセージ。
「ヒーローがゴールにたどり着かないこともある」って・・・・・・おいおいおい・・・・・・(((゜Д゜;)))
このメッセージを読んで、最終決戦に向けて積み上がる死亡フラグをみて、疑惑はますます強まる一方でした。
マルの追跡者としての能力が伏線だと明らかになったシーンの絶望感といったらもう。
それがまさかこんな大逆転ハッピーエンドを見せてくれるなんて!!
良かった。本当に良かった!
増幅物を揃えることの代償がコレなら大歓迎ですね!全部綺麗に丸くおさまった!!
とはいえ犠牲はあまりにも大きく、傷だらけの勝利ではありますが。
それでもアリーナとマルの幸せで穏やかなエピローグを読んだとき、このシリーズに出会って本当に良かったと心から感謝しました。
改めて振り返ると、マルやアリーナだけでなく、登場するどの人物達の誰もが魅力的な作品でした。
最大の敵である「闇の主」でさえ、その本性が明らかになったあとも嫌いにはなれませんでしたし。
ラヴカとグリーシャのために力を求めた「闇の主」。
常に孤独を感じさせた彼が最後に残した「わたしを悼んでくれる人がいる」という言葉には、何とも切なさがこみ上げてきます。
最後の戦いを共に駆け抜けたアリーナの仲間達も素敵でした。
デヴィッドとジェンヤのカップルも好きだけれど、私の中でゾーヤの好感度が跳ね上がったのはとても意外でした。ツンデレめ!
そしてもちろんニコライ王子。
私は断然マル派ですが、ニコライの魅力も捨てがたい。彼の台詞回しは本当にセンスに溢れていたと思います。
ハルショーも好きだったんだけどな・・・・・・死んでいった仲間達は惜しい人ばかりでした。
本当に最高のファンタジーでした。
最後までこの素晴らしい世界を堪能できて幸せです。
このシリーズ、映画化を予定しているんですよね!?
公開はいつになるのだろう。とてもとても楽しみです (*´罒`*)