魔法師グリーシャの騎士団1 太陽の召喚者


『魔法師グリーシャの騎士団1 太陽の召喚者』(リー・バーデュゴ著/田辺千幸訳/ハヤカワ文庫FT)★★★★☆

太陽の召喚者 魔法師グリーシャの騎士団[Kindle版]
太陽の召喚者 魔法師グリーシャの騎士団[Kindle版]【BOOK☆WALKER】

2014年7月刊。
国を二つにわける「偽海」の脅威や、虚栄と不満のくすぶる王宮、そして様々な能力を持つ魔法師(グリーシャ)たち。
そんな魅力的なハイ・ファンタジー世界の中で、普通の女の子が運命に翻弄されながらも毅然と立ち向かう姿を等身大で描き出す物語です。
主人公、幼なじみ、〈闇の主〉の三角関係的ラブロマンス(?)としても面白く、主人公の心の変遷にドキドキさせられます。
三部作の第一作として波乱の幕開けを迎えましたが、これからどうなっていくのか続きがとても楽しみです。

☆あらすじ☆
隣国との戦いが続くラヴカ国には通常の軍隊である第一軍に加えて、〈闇の主〉(ダークリング)を指揮官とする第二軍があった。炎の召喚者、風の召喚者など、特殊な力を持つグリーシャたちの軍団。だが彼ら召喚者の怖るべき力をもってしても、〈真海〉との間に横たわり、魔物が潜む〈偽海〉を消し去ることはできなかった。太陽の召喚者が現れるまでは……戦争孤児の少女アリーナと幼なじみの少年マルの驚くべき冒険を描く傑作ファンタジイ。

以下、ネタバレありの感想です。

 

ラヴカ国を二つに切り裂いて存在し、通ろうとする者を魔物が襲い来る「影溜まり」(偽海)
所属する連隊と共に偽海を渡ることになった地図制作者見習いアリーナは、偽海の中で魔物の襲撃に遭ったことをきっかけに、自分でも気づかなかった「太陽の召喚者」としての力に目覚めるのです。

 

物語は、「太陽の召喚者」となったアリーナの修行の日々とそれが崩壊していくまで、そしてその中で揺れ動く彼女の恋心を描いていきます。

 

アリーナの目を通して描かれる世界観はとても新鮮でした。
「偽海」や「グリーシャ」という重要な設定はもちろん、いろいろな部分がロシアをベースにしているもあり、見慣れない言葉がより異世界な雰囲気を作り出していて、とてもワクワクする気持ちで物語の世界を楽しむことができました。

そしてビジュアル的にも鮮やか。
アリーナの「太陽の召喚者」としての力はキラキラとしたイメージを伝えてきて素敵だし、他のグリーシャたちの力も面白いものが多かったです。
特にジェンヤ。私にも施術してください・・・・・・クマ取って(´;ω;`)

 

そんな素晴らしい世界観の中でしっかりと息づくキャラクターも魅力たっぷり。

 

主人公であるアリーナは自分でモノを考えることができるしっかりとした女の子ですが、10代の若さというか青さみたいなものが垣間見える等身大の主人公だったと思います。

無理矢理連れてこられた小王宮での生活や魔法師としての修行の中でも、流れに任せてしまうのは不安だとしばしば自分を見直す姿が印象的。
その一方で、変わってしまった環境に高揚感を抑えられないという彼女の気持ちも自然に共感できるものなんですよね。

 

「特別な力を持つ自分」にドキドキしつつも懸命に自制し、それでもやはり「特別」という言葉にときめいてしまうアリーナ。

みんなが期待を寄せる大きな力を持っているはずなのに、うまく使えないもどかしさと恥ずかしさ。
それが解放された瞬間の喜びと、きっかけになった失恋の悲しみ。

 

翻弄され、苦悩し、それでも運命に立ち向かっていくアリーナの心の揺れ動きがとても繊細に伝わってくる物語でした。
ファンタジーな世界観も素晴らしいのですが、アリーナ自身が存在感のある生きたキャラクターだったことも、この作品を魅力的に感じた大きな理由だったと思います。

 

そんなアリーナを中心において、2人の男性も物語のキーパーソンとなっていきます。

 

まずはアリーナを波乱の運命に引きずり込んだ「闇の主」
不安に苛まれるアリーナを支えたり、彼女に意味深な態度をとったり、ミステリアスな魅力のある男性でした。
アイデンティティが安定していないアリーナが、自分を特別扱いしてくれる「闇の主」に惹かれてしまうのも仕方ないと思うんですよね。
「闇の主」が隠していた思惑はどうあれ、知らなければアレは揺らぎますよ。途中まで「あれ?こっちがヒーローなのかな?」と思ったくらいですから。
それだけにアリーナの想いを踏みにじったことは許しがたいのですが・・・・・・。ううむ。やはり名は体を表すのか。

 

そして、アリーナが恋する幼なじみのマル
冒頭でアリーナの片割れっぽい雰囲気を出していたのに、なぜかアリーナは失恋したみたいになってるし、彼が一体どういう立ち位置にくるのか中盤まで読めなかったのですが、ヒーローってことでいいんですよね?
後半で逃亡するアリーナの前にマルが現れたシーンでは「キターーー!!」と震えてしまいましたw 君を待っていた!

マルへの恋と「闇の主」に惹かれる心の間で揺れ動くアリーナにハラハラさせられましたが、最終的には本当の気持ちを思い出せて良かったです。

 

さてさて、元の関係に戻ることができたアリーナとマルですが、大変なのは恐らくここから。
偽海の脅威は増し、「闇の主」に対抗する手段も思いつかない現状で、彼らは一体何をすることができるのか。

終盤はまさに怒濤の展開でしたが、逃げ切れるとも思えないのが怖い。
続きを読んでいきたいと思います(;`・ω・)

 

そういえば訳者あとがきに映画化の話が書いてあったんですけど、本当に映画化されるのでしょうか?
ぜひ観たい!!

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