モーテ3 夢の狭間で泣く天使


『モーテ 夢の狭間で泣く天使』(縹けいか著/MF文庫J)★★★★☆

モーテ ‐夢の狭間で泣く天使‐ (MF文庫J)
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前巻の感想はこちらから


2015年11月刊。
1巻から続いていた、大きな因縁に決着がつく第3巻。
それはそれとして、読み終えると表紙を見るだけで胸が詰まります。なんで・・・・・・こんな・・・・・・。

☆あらすじ☆
――俺は、アミヤをこの手で殺したい
モーテを発症し、荒んでいくアミヤを見かねたダンテはグラティアを脱走する。起こるはずもない奇蹟を信じる彼らだったが、自殺衝動を止められず苦しむアミヤは言った――ダンテに殺してほしい、と。

以下、ネタバレありの感想です。

 

モーテを発症したアミヤ。そんな彼女の目の前で凄惨な自殺を遂げたパヴェル。
追い詰められた彼女の願いを受け入れて、ふたりでローマへと向かうことを決意したダンテ。

 

もう最初から悲劇の予感しかありませんでした。

 

マノンに起こった奇跡は、ほとんど起こるはずがないからこそ「奇跡」。
そんなことは分かっているけれど、それでも奇跡を願わずにはいられないのです。
追い詰められて、擦り切れていくダンテとアミヤを見ていると余計に。

 

でも奇跡なんて、やっぱりそう易々と起こせるものではなく。

 

辛い。とても辛いです。

2巻あとがきで「前巻とは真逆のモノにしたかったんです。」と書かれていた段階で半ば以上に予想できた結末ではありましたが、それにしたって辛すぎる。
傷つきながらも奇跡のハッピーエンドを迎えた二人がいることを知っていたからこそ、このエンディングを幸せなものとは思いきれない自分がいます。

 

でも、こちらこそが「モーテ」という世界の中で、できうる限りのハッピーエンドだったことも分かっているのです(´・ω・`)
奇跡抜きで描くのならば、これがもっとも美しい結末なのかもしれません。

 

死は回避できない。それならば、「どう死ぬか」を考えるべきではないのか。

そう問いかけながら「死」に対して真摯に向き合ったダンテとアミヤの物語。

自分の中に潜む殺人鬼にいずれ殺されるのを待ち続け、ただ消耗するだけの日々か。
それとも、愛する人の手を借りて安らかに自分で人生の幕を降ろすのか。

選択肢がこれだけしかないことに絶望します。
他に救いはないのかと最後までずっと祈り続けていました。そんなご都合主義はしないよって、あれだけ物語の中で忠告されていたはずなのに。

 

ラストシーンの衝動は言葉ではうまく表現できません。
ただ、アミヤもダンテも本当によく頑張ったね、お疲れ様、もうゆっくりと休んでください、とだけ強く思います。
心中エンドでなかったことは褒められるべき。

 

アミヤとダンテの物語は悲しくも未来へ続く結末を迎えましたが、一方で、アランの物語もようやくここで幕引き。
彼の恋の相手がアレだったことを考えれば、これも彼の中でハッピーエンドといえるのかな・・・・・・どうなんだろう・・・・・・それでもやっぱり私は彼にもう一度グラティアへ戻ってきてほしかったです。

 

1巻とは打って変わり、「死が救いであること」を強く描いた2・3巻。
モーテの安楽死なんて話が出てくるくらいですからね・・・・・・。
そこは特効薬探しだけを頑張ってほしかった。そのリアリティはちょっと辛いものがあります(´;д;`)

とはいえ、こんな残酷な世界で死に方を選び、死に際に満足できるのはとても幸せなことなのかもしれません。
アミヤたちの生き方を通して、自分の死生観についても考えさせられる物語でした。

 

なんだか悲嘆をつらつら書いた感想になってしまいましたが、1巻に負けないくらい2・3巻も面白かったです!

果たしてモーテシリーズは続くのだろうか。
モーテの子どもたちの笑顔が失われない未来がくることを祈らずにいられません。

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