最後の王妃


『最後の王妃』(白洲梓著/集英社コバルト文庫)★★★★☆

最後の王妃 (コバルト文庫)
最後の王妃 (コバルト文庫)

2015年11月刊。
2015年度ノベル大賞受賞作。
夫である国王に愛されずとも、王妃としての矜恃を持って国の最期を見届けた女性の波乱の運命を描いたヒストリカルロマン。
古き良き少女小説の正統ともいえる作品でした。
ページ数こそ少なめですが、ぎゅっと濃縮された物語はとても魅力的。
これは期待の新人さんですね。今回のお話は単巻モノだと思いますが、次回作にも大いに期待しています!

☆あらすじ☆
ルクレツィアは、15歳でアウガルテン王国の皇太子妃となった。しかし皇太子シメオンは一度も彼女の部屋を訪れることはなく、後日、シメオンがマリーという下働きの娘を愛していると判明。ほどなく国王が崩御し、ルクレツィアは王妃となった。そして側室となったマリーが懐妊。それでも王妃としての務めを果たそうと懸命なルクレツィアだったが、隣国に攻め込まれた王国は敢えなく陥落し…?

以下、ネタバレありの感想です。

 

15歳で皇太子シメオンと政略結婚をしたルクレツィア
物語は、夫に愛されない孤独な妻だったルクレツィアが、国の終わりを見届ける最後の王妃となり、そして本当の恋に出会うまでの激動の運命を描いていきます。

 

ルクレツィアは格好いい女性ではあるのですが、それ以上に応援したくなる主人公でした。
夫であるシメオンに振り向いてもらえず、孤独を抱えながらも必死の努力によって立派な王妃であろうとしたルクレツィア。
彼女の完璧主義はそのまま厳しすぎる自己評価につながっていて、誰か早く彼女を救ってあげて!と思わずにいられませんでした。

 

結婚相手がシメオンだったことが不幸の始まりなんですよね。
愛した女がどんな女なのかすら見通せない愚王には勿体なさすぎる出来た女性だったわけですから。

 

序盤はシメオンとマリーの関係によって苦しめられるルクレツィアの姿に胃が痛くなっていたのですが、驚くほどテンポ良く物語が進むためサクサクと読み続けることができました。

 

前半の苦しい王妃生活から一転、後半は箱入り娘だったルクレツィアの冒険の物語へ。
といってもティアナと一緒の逃避行なんですけど。
立派な王妃であろうとして肩肘はっていたルクレツィアは、逃避行のなかで今までにない刺激を受けて柔らかくなっていくのですが、この彼女の変化がとても微笑ましい。
窮地の最中ではあるけれど、温かい人たちに囲まれて笑顔になっていくルクレツィアを見ていると心が温かくなりました。

 

それにしてもティアナのキャラ濃いなぁと思っていたら、元は彼女が主人公だったとか。
ティアナの波瀾万丈人生もちょっと読んでみたいです。ジェットコースター的で爽快な読み物になりそうな予感。

 

そして最後は、もうこれで大丈夫だと信じられる見事なハッピーエンド。
中盤までは少女小説なのにヒーローが足りない!とか思っていたのですが、メルヴィンが可愛すぎてニヤニヤできたので満足。
あまりにも長すぎる恋煩いw思春期長いww

ルクレツィアの「死出のお供をさせていただけますか?」という問いかけに泣きそうになりましたが、それに対するメルヴィンの返答はとても素敵。
この二人ならどんな最期であっても仲良く寄り添っているのだろうな、と思えてほっこりしました。

 

素敵なヒストリカルロマンでした。これぞ古き良き少女小説という感じ。
白洲梓さんの次回作もとても楽しみです!

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