後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき


『後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき』(はるおかりの著/集英社コバルト文庫)★★★★☆

後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)
後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

2015年11月刊。
継母に虐げられ感情を顔に出せなくなってしまった主人公が、皇兄のもとに嫁ぐところから始まる中華風後宮ミステリー。
「書」という共通の趣味を持つ夫婦が徐々に距離を縮めていく物語でもあり、そんな二人が「書」にまつわる様々な謎を解き明かす物語でもありました。
序盤のもどかしい夫婦のすれ違いや、中盤以降で繰り広げられる後宮小説特有の愛憎劇など、見所が盛り沢山の作品でした。面白かった!
とりあえずこの夫婦は「書」の前に「自重」を学びましょうね。ベタ甘ごちそうさまでした(´∀`*)

☆あらすじ☆
継母から冷遇され笑顔を失った淑葉の慰めは、亡き母に教えられた書法に親しむこと。しかし、その能書の才さえも継母によって奪われてしまう…。そんな絶望の淵に沈む淑葉の元へ突然、皇兄・夕遼との政略結婚の命が下る。しかし、真に望まれていたのは淑葉の妹・香蝶ということが分かり!?すれ違う二人を繋ぎ、想いを伝えるのは、笑わぬ花嫁の筆ひとつ…!婚儀から始まる中華麗麗恋物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

能書の才能に恵まれていたにも関わらず、ある日を境にそれを失ってしまった淑葉
後宮での仕事も失い実家に戻っていた淑葉は、皇帝の命令によって皇兄である恵兆王・夕遼のもとに嫁ぐことに。しかし夕遼が花嫁に望んでいたのは淑葉の異母妹・香蝶であり、淑葉と夕遼は離縁前提の険悪な新婚生活を送ることになる、という感じで物語がスタートします。

 

筆跡だけでコロコロ好きな人を変える夕遼の書バカっぷりとか、継母と香蝶の胸くそ悪さとか、前半(というか序盤数頁)は首を傾げてイライラする展開が続いたのですが、それを引っ張らずにテンポ良く進めてくれたので本当に良かった。
継母や香蝶の底の浅さを考えれば、これはかなり良い判断だったと思います。敵役が小物すぎると作品がつまらなくなりますし。

 

夫婦関係については、冒頭の夕遼の無神経っぷりに「むしろ離縁した方が・・・」とか一瞬思ってしまったものの、予想以上に甘い恋愛関係に発展していって満足。
最悪のスタートを切った新婚夫婦が怖々と少しずつ距離を縮めていく姿はとても可愛かったです。
夕遼も淑葉の人柄を知ってからは理性的な面が出てきて好感がもてるようになりましたしね。まぁ書バカですけど。いやふたりともですけど。

 

それにしても共通の趣味を持つ夫婦というのはとても微笑ましいものですね(o´罒`o)
書を通じて仲良しこよし。徐々に書に関係なく仲良しこよし。
場所も人目もはばかることなく、いちゃいちゃらぶらぶ・・・・・・自重して!!
皇帝の前でもいちゃつき始めるとか無敵か(;`・ω・)

 

そんな感じで夫婦のいちゃラブ小説としても面白かったのですが、本作は中華風後宮ミステリーとしても魅力的な作品でした。

仲良く仕事を始めた恵兆王夫妻のもとに舞い込む、後宮で起こった様々なトラブルと謎。それらがどれも「書」に絡むものばかりであるため、謎解きに夫婦の特性が活かされていくというのは新鮮で面白かったです。

 

そうして恵兆王夫妻が解き明かすのは、「書」に込められた男女の愛憎。

後宮小説らしく、登場する様々な恋愛はどれも陰鬱でドロドロとしたものでした。そしてとても哀しい恋ばかり。

特に印象的だったのは皇帝・嵐快の恋。
後宮の女達に向ける目は冷めていて、常に政略をもってしか接しない嵐快。そんな彼自身もすでに恋を諦めた身であるというのが、後宮の虚しさを象徴しているようでした。

「後宮では皇帝に愛されたいと願いを抱いた時点で不幸になるんだよ。愛も恋もここには存在してはいけない」

結局、この言葉に尽きるんですよね。切ない・・・・・・。

 

後宮小説ならではの重い愛憎劇でしたが、主人公達がムードブレイカーになるため雰囲気が暗くなりすぎず、読みやすかったです。
まぁ自重しろってめっちゃ思いましたけど。いちゃいちゃしやがって。自重しr・・・もっとやれ٩( ‘ω’ )و

 

後宮から一歩引いたところにいる夫婦が、後宮の問題に首を突っ込んで謎を解いていく。そしてその謎にはいつだって「書」が絡む。
そういう目新しさが楽しい作品でした。
これはぜひともシリーズ化してほしい!続刊を期待していますヾ(*˙︶˙*)

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