不器用な天使の取扱説明書


『不器用な天使の取扱説明書』(黒木サトキ著/HJ文庫)★★★★☆

不器用な天使の取扱説明書 (HJ文庫)
不器用な天使の取扱説明書 (HJ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年11月刊。
第9回HJ文庫大賞受賞作。
とても面白い創作系青春小説でした!
漫画・小説などの創作に熱中したことがある人は特に共感できる部分が多い作品なのではないでしょうか。
また、そうでない人であっても「挫折」を経験したことがあれば刺さる作品だと思います。
少なくとも私にはグサグサ刺さってきたのでとても涙目。
夢を諦めることの哀しさと、夢を諦めないことの難しさをを丁寧に描いた良作だと思います。
綺麗に話はまとまっていますが、ラブコメとしても面白かったのでぜひ続きを出して欲しい作品です(*゚▽゚)ノ

☆あらすじ☆
高校入学を機にオタクをやめ、楽しい一般人ライフを目指す峰本信哉だったが、教室の隅でひたすら漫画を描いていたクラスメイト目崎凛が起こした騒動をきっかけに凛に元オタを見破られてしまう。その後元オタをネタに凛の漫画を手伝う羽目になったり、騒動解決以来クラス委員の沢渡千佳に頼られたり。過去と現在の狭間に揺れる信哉の決断は?第9回HJ文庫大賞受賞作、満を持していよいよ刊行!

以下、ネタバレありの感想です。

 

高校入学を機にオタクから一般人になることを決意した主人公峰本信哉
そんな信哉はある騒動をきっかけにクラスメイト目崎凜の持つ才能に気づき、彼女の勢いに押される形で凜の創作活動を手伝うことになってしまう、というのが本作のストーリーです。

 

凜と信哉が協力して創作活動をしていくなかで、信哉がかつて捨ててしまったはず創作への想いを取り戻していく物語。
と言ってしまえば、王道な青春小説だったと思います。

テンポも良いし、展開は丁寧だし、凜や千佳のキャラも魅力的。
特に凜のストーカー気味のデレは可愛かったですしねw
ずっと孤独に絵だけを描いてきた凜だからこそ、才能を認めて自分を否定しない信哉に懐くのも当然(千佳にも懐いてましたし)。
凜の信哉に対する好意に説得力があったところは、個人的にとても好印象でした。

 

ただ、この作品で最も印象的で魅力的だったのは信哉の中で徐々に大きくなっていく嫉妬の感情。

何かに挫折したことがある人なら、とても共感できる感情なのではないでしょうか。
自分が諦めてしまったものを、諦めずに追いかける人を見るのがどれだけ苦痛で辛いものか
分かりすぎるくらい分かってしまって、ちょっと泣きそうでした。
諦めたことを少しでも後悔していれば尚更辛いんですよね。
なんで諦めたんだろう。あそこで諦めなければもしかしたら自分も・・・・・・って。
創作ではないけれど「挫折」は経験している私に色々な場面でグサグサと刺してくる作品でした(´・ω・`)

 

これが創作活動を経験したことがある人ならもっと刺さるんでしょうね。
創作って多かれ少なかれ「才能」が重要になって、そこでは後天的な努力で埋まらないものが確かにあると思うのです。
だからこそ「才能」の有無や多寡をクリエイターは苦悩するのでしょうし、「持たざる者」である自分よりも「持つ者」である他者に嫉妬してしまうのかも。

 

そして本作の主人公は、「持たざる者」である自分に見切りをつけてしまった少年。
そんな信哉からみて、「持つ者」である凜や千佳がどれほど輝いて見えて、どれほど妬ましく思えたのか。
新人作品とは思えないほど丁寧で共感できる心理描写に、終盤は息つく間もないほど物語にのめりこんでしまっていました(;`・ω・)

 

努力を実らせ、着々と成果を生み出していく凜や千佳。
彼女達の姿をまぶしく想いながら、それを素直に祝福できず、そんな自分を嫌悪してしまう信哉。

楽しそうに笑い合う少女達の後ろで精神的に荒んでいく信哉の姿に、彼らの関係がどうなっていくのかハラハラしていたのですが、綺麗な着地点を迎えてくれて本当に良かったです。

ただまぁ凜のお母さんを説得するシーンはちょっと粗さを感じましたが(会話が微妙に噛み合ってないような、途中で話がズレたような)。勢いがあるので許容範囲です。

 

うんうん。まだ高校生なんだから夢を諦めるのは早すぎですよ。しぶとく足掻く姿をぜひとも見せてほしいところ。
親公認カップル(!?)となった凜と信哉がこれからどんな創作活動をしていくのかとても楽しみです。

ということで続刊に期待!
シリーズ化を楽しみに待ってますヾ(*˙︶˙*)

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