『彼女の恋が放してくれない!』(海空りく著/GA文庫)★★★☆☆
彼女の恋が放してくれない! (GA文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
「落第騎士の英雄譚」の海空りくさんの前作。
一通のラブレターから始まる、手錠で結ばれた二人のドタバタ超至近距離ラブコメです。
一発ネタな雰囲気はありますが、全3巻で綺麗に物語をまとめています。むしろ2巻の存在価値が疑問なので個人的には上下巻でも良かったのではと思わなくもない。
軽く楽しむラブコメという点で文句なしのシリーズでした( ´ ▽ ` )ノ
☆あらすじ☆
ゼロ距離拘束ラブコメディ開幕! 戌亥慎太郎は、ある日突然不思議な手錠で女の子と離れられなくなってしまった。相手は地味な同級生の此花つぼみ――だが彼女は眼鏡を外すと超絶キュートな女の子だった!?
「戌亥さん、そのぅ、背中を洗ってくれませんか」「いいぜ。後悔すんなよ」「何されるんですかわたし!?」「スベスベにしてやんよ!」
絶対に外れない手錠のせいで、お風呂に入る時さえも、離れられない二人。おかげで幼馴染みや委員長には変な勘違いをされ、戌亥の青春最前線は大波乱! 此花と『恋人』になれば手錠は消えるらしいのだが、そこには大きな運命の罠が!?
以下、シリーズ全3巻の感想をまとめて。
2012年5月刊。
恐ろしすぎる顔面を持った高校生・戌亥慎太郎と、そんな彼に“間違えて”告白してしまったクラスメイト此花つぼみ。
結びの桜の不思議な力によって、「恋人を作らないと外れない手錠」で結ばれてしまった慎太郎と此花は、突如始まった共同生活に戸惑いつつも、此花の片思いを叶えるために協力することになる、というストーリーでした。
設定や各所のイベントなど、割と既視感のある感じで悪く言えばテンプレ。
それなのに不思議なくらい面白かったです( ´ ▽ ` )
話がコミカルにテンポ良く進むからとっても読みやすいのが良い。
メインの慎太郎と此花の関係はすごく好みでした。
自分の顔にコンプレックスがあって、それが原因で対人関係がうまくいかない慎太郎と此花。
同じ悩みや苦しみを抱えているからこそ分かり合えるところはやっぱりあるわけで、そういう二人の距離感の描写はとても丁寧だったと思います。
まぁ、お風呂云々はちょっと思い切り良すぎでしたけどねw
此花ちゃんの貞操観念はどこへww
此花の恋の本当の相手は序盤であっさり明かされているので、ラストの種明かしはちょっと迂遠に感じたのは残念。
まぁ明かされるのがあのタイミングだったからこそ、今後の慎太郎の行動が気になるわけですが。
☆あらすじ☆
「わ、私が戌亥君を、その、誘惑して、恋仲になればいいんだろうっ。これは恋愛ではなく、人助けだ!」「そんなのだめよ! だめだめっ! シンタのことを一番よく知っているのはアタシなんだから、その役はアタシこそ適任よっ!」
いまだに『恋が成就しないと外れない手錠』で繋がっている戌亥慎太郎と此花つぼみ。此花の初恋が破局を迎えたことで、その状態が長期にわたるかと思われた矢先、なぜか委員長と美咲が、二人をを手錠から解放するため(?)に協力してくれることに!? 妙に積極的な彼女たちに挟まれて、戌亥と此花の関係はどうなる!?
2012年9月刊。
未だ手錠に繋がれた慎太郎と此花。
此花の本当の恋の相手を知って悩む慎太郎がどう行動するのかワクワクしていたのですが・・・・・・あれー?ハーレムなの?
1巻では添え物程度だった幼なじみと委員長が、手錠を外すために慎太郎を落としにかかるという展開へ。
サブヒロインの掘り下げとしては良かったし委員長はめんどくさ可愛いので好きなのですが、あまり美咲が好きになれないのが痛いですね(´・ω・`)
「幼なじみ」という立場にあぐらをかいてるだけですしこの子。とってつけたような此花への百合攻撃もうーん???
ラストのだだこねるところも何だかなぁ(´-ω-`)
そうじゃないんだよ。もっと此花ちゃん出して!!
此花ちゃんの影がどんどん薄くなって涙目。
ただ、途中途中にちょろっと出てくるエロ花さんと慎太郎のいちゃいちゃは可愛くて最高でした(*´∀`)
と も だ ち ってなんだろう?とか思ってはいかない。
それにしても生徒会長が良キャラすぎて笑うんですけどホモなのか実は女なのかどっちなのか・・・・・・。
☆あらすじ☆
わたしは、ずっと……子供の頃から……戌亥さんのことが、好きだったんだ――
「おふたりの力になりたいんです」 戌亥に対する恋心をハッキリさせた美咲と宮下。つぼみはそんな二人の恋を手伝い、戌亥を手錠から解放することを決意した。折りしも季節は夏。さっそく水着でアピールとばかり、積極的なアタックを行う女性陣のおかげでプールサイドは大騒動! だが、賑やかな日常の中で、つぼみはついに自分の初恋の相手が、本当は戌亥だったことを知ってしまう。友達としての現在のポジションを大切にしたいと思っていた矢先の衝撃の事実に、大きく動揺するつぼみだが……!? ゼロ距離拘束ラブコメディ、グランドフィナーレ!
2013年1月刊。
綺麗に話をまとめて完結。
真相に気づいてからの此花さんは2巻の分を取り返すかのように存在感を発揮していて安心しました。
慎太郎を意識しすぎてエロ花さん卒業、というか過去の悪行を自覚して悶える此花はめっちゃ可愛かったです。
いや、お前「ともだち」に対しても普通はそんなことしないからな!?ってめっちゃ突っ込みたいw
1巻の慎太郎とシンクロしたパニックぶりにはニヤニヤさせられましたー(´∀`*)
真実を知らないまま繋がれてしまった二人だからこそ、全てを知って余計なことを考えてしまうのは仕方ないのか。
二人の恋は予想よりややこしい感情に縛られてしまって、さてどうなるのかと思っていたのですが、まさか美咲が背中を押すとは意外でした。
美咲って2感じてんでは全く好きになれないキャラだったのですが、あれは見直さずにいれませんね。良い子だ。うん。
幼なじみだからこそ慎太郎のことをちゃんと理解して、彼のためになる道を示せたのでしょうね。
エピローグはダダ甘で満足です。
でもTPOをわきまえろ!!!!!w
テンプレというか王道というか、既視感がある設定展開は多かったのですが、ここまでそつなく組み上げられるなら特に文句もないですね。
軽く楽しめる良いラブコメでした(`・ω・´)ノ