『99番目の吸血姫 最後の吸血鬼』(サイトウケンジ著/MF文庫J)★★★☆☆
99番目の吸血姫 ~最後の吸血鬼~ (MF文庫J)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
2015年10月刊。
前作「101番目の百物語」と世界観が共通する新作ですが、前作未読の私でも(一応)問題なく楽しめました。
都市伝説が実体化した存在「ロア」と戦う吸血鬼の少女と、その下僕で恋人の主人公。仲良しなカップルにめっちゃ癒されました(´∀`*)
都市伝説モノっていうのも良かった。
こういう作品は日常のすぐ裏側に潜む恐怖を描くから、現実と空想の境目がより曖昧になってゾクゾクさせられるのですごく好きです。
本作もそんな感じで都市伝説を扱いつつ、後半は意外な方向へ。
エピローグは泣きそうになりました。これは切ない(´;ω;`)
☆あらすじ☆
『トリニティセブン』のサイトウケンジが贈る再び始まる都市伝説――
都市伝説が実体化した存在――ロア。少年ジンは、最強と名高い『吸血鬼のロア』である外見幼女のシルヴィアの下僕(こいびと)となってしまい…… 『トリニティセブン』のサイトウケンジが贈る新たな都市伝説!
以下、ネタバレありの感想です。
都市伝説の実体化存在「ロア」。
時に人を襲うロアを倒し自分の物語にしようとする「99番目の吸血姫」シルヴィアと、彼女の封印を解いたことから下僕となった高校生ジン。
物語は、ジンとシルヴィア、ジンの妹・時雨、「月隠れのスカーフェイス」綾瀬の4人が、様々な都市伝説を解決していく、という形で進んでいきます。
ジンみたいなリア充&ハーレム体質の主人公に最初から恋人がいるっていうのは珍しいような??
ラブラブいちゃいちゃするジンとシルヴィが可愛すぎて、私的にはとても幸せでした(´∀`*)
シルヴィは外見幼女でも中身が幼女ではないので、無邪気な態度の中に時折みせる妖艶さにドキドキさせられましたし。手玉に取られているジンはちょっと可愛いかったww
ただまぁ主人公がハーレム体質であるからには、サブヒロインもしっかりいるわけで。
しかも最初から「選ばれない」ことが前提という何とも可哀想な話になるわけです。
それが最終的に今回の事件の真相につながるのが、もうなんというか。ハーレム主人公って罪だなー(´・ω・`)
綾瀬はまだポジティブに共存を目指しているから、こちらとしても気楽な気持ちで「がんばれー」って応援できるんですけどね。「なるほど、脈有りですね」が可愛かったですしw
でも、もう一人は・・・・・・。
ジンたちが今回立ち向かった2つのロア。
その事件を引き起こした黒幕である「最後の吸血鬼」。
都市伝説絡みのやや小さな事件を、最後で一つにつなげるというのは楽しい構成でした。
まぁ、真相は全然楽しくないどころか重たいものでしたし、その結末も予想外にキツいものになってしまいましたが・・・・・・。
ただ、個人的にはジンがなぜロア化したのかがよく分からなかったんですよねー。「最後の吸血鬼」戦も勢いはあったのですがちょっと粗かったですし。前半の2つの都市伝説事件はとてもワクワクできて面白かっただけに、終盤の展開をもう少し丁寧に描いてほしかったかも。
それとも、ここらへんの展開をいまいち理解できなかったのは前作未読だからなのでしょうか?
人間のロア化という現象が少し説明不足に感じたので(;`・ω・)
前作はすでに買ってあるので近いうちに読んで確認します。
終盤の展開に疑問が残りつつも、エピローグが最高だったので個人的には満足のいく新作でした。
ていうかあのエピローグはズルい!泣きそうになったじゃないですか!!
そうか「幸せなハッピーエンド」ってそういう意味か・・・・・・。
チャラいナンパだなぁと意識の外に置いていたせいで、最後は本当に不意打ちでした。泣ける。
ジンとシルヴィ、綾瀬がこれからどんな旅に出るのか、どんな都市伝説に立ち向かうのかとても気になります。
99個の吸血鬼系事件って、聞くからに大変そうですが(;・∀・)
2巻出るかなー?シリーズ化に期待しています!
そういえばジンの名前って本当の読み方は何だったのでしょう。
「仁」で女の子でも通る読み方なら「めぐみ」「しのぶ」あたりか?
そんな読み方があるって今回初めてググって知ったんですけど、色々と読めるものなんですねー。