『デルフィニア戦記1〜4』第1部コーラル奪回編(茅田砂胡著/C☆NOVELSファンタジア)★★★★☆
放浪の戦士 デルフィニア戦記1 (C★NOVELSファンタジア)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
かの有名な「デルフィニア戦記」についに挑戦。
国を追われてしまった流浪の剣士は、異世界から落ちてきた不思議な少女と出会い、奪われた王座と囚われの義父を救うために国への帰還を目指す、という物語でした。
魅力的なキャラが縦横無尽に動き回り、時にワクワクし、時にハラハラするファンタジー戦記です。めっちゃ面白かった!!
☆あらすじ☆
やがて『獅子王』と呼ばれる漂泊の戦士ウォル。やはり『姫将軍』と呼ばれることとなる異世界からの迷子のリィ。アベルドルン大陸を震撼させる二人の冒険譚は、ここからはじまった。
以下、1巻から4巻まで(つまり第1部完結まで)のネタバレありの感想です。
自由戦士を名乗り、謎の刺客から命を狙われているウォル。
彼の窮地を救ったのは「異世界」からやってきた少女リィでした。
物語は、ウォルとリィの出会いから始まり、孤立無援のウォルが追い出された自分の国へ帰還する旅路を描いていきます。
このリィという女の子(実は男の子?)が本当に途轍もない。
華奢な見かけとは裏腹な剛の者であり、そして「常識」には疎くてもとても明哲な頭脳の持ち主。
常人離れした才覚はまさに「戦神の娘」の異名にふさわしいものでした。
そんなリィは本人曰く「人間ではない」そうですが、彼女は一体何者なのか。どこからやってきたのか。
第1部ではリィの過去の一端が垣間見えただけで終わってしまいましたが、いずれその正体が分かるのでしょう。とてもワクワクします。
1巻ではリィのトンデモっぷりが目立っていましたが、相棒であるウォルもなかなか破格の王様だとわかってくるのが第2巻。
徐々に味方も増え「さぁいざ王座奪還へ!」と盛り上がっている中で、山賊討伐にふらっと寄り道しちゃったり、危険な潜入任務に王様自ら参加しちゃったり。
頼むから後方でジッとしててくれ!!という臣下たちの悲鳴が聞こえてくるようでした。実際、蒼白になって悲鳴をあげてるんですけどww
王様がそんな感じにフットワーク軽すぎるせいで、リィやイヴンの口まで軽くなって「鈍い」だの何だの言われ放題ですしね(・ω・;)
でもそんな型破りな王様だからこそリィの興味を惹き、何にも代えがたい彼女の助力を得ることができたのでしょう。そう考えるとやはり天性の王者の器といえるのか。
ちなみにこの2巻最大のお気に入りは、潜入作戦終盤、下で待つリィに受け止めてもらうためにウォルが彼女めがけて高所から飛び降りて(通算2回目。初回はリィに肘鉄着地して怒られた)、
大きな体を丸くしてその腕にちょこなんと抱かれた国王は精一杯しおらしく、かつ神妙に、
「今の落ち方では・・・・・・どうだろうか?」
と、尋ねたものである。
「前よりは、だいぶいい・・・・・・」
少女はもう一度唸った。
「けど・・・・・・重いぞ!」
(『黄金の戦女神 デルフィニア戦記2』より引用)
って、放り出されるシーンですwwウォル可愛すぎか!
ウォルにとって最大の目的であった、義父フェルナン伯爵の救出作戦。
まさかの結末に胸が痛くなりました。父の愛と揺るがない忠義に涙腺が・・・・・・っ(´;ω;`)
そして、2巻あたりから不穏な空気を孕み始めた「ウォルの出生に対する疑惑」がついに動き出すのです。
味方すら敵に変貌しかねない展開にドキドキしつつ4巻へ。
そうして迎えた、宿敵ペールゼン侯爵との最終決戦。
ウォルの王座奪還までの戦いは、長いようであっという間の道のりでした。
ここに至るまでにリィに対する周囲の目も「バケモノのような娘」から「頼りになる戦女神」へと移り変わっていて、そんな変化も楽しかったです。最後にみんなが必死にリィを引き止める姿とかめっちゃ可愛くて笑いましたww
戦記ものとしても読みやすく、心地よい高揚感を与えてくれました。
何より良かったのは復讐をきっちり果たしたこと。
命には命で報いを、というのはこういう戦記モノでは相応しい結末だったのではないでしょうか。血生臭い結末でありつつ、どこか胸がスっとする思いでした。
さて、次巻から第2部。
物語はどういう方向に進むのでしょうか。「王女グリンダ」となったリィの活躍にも期待したいところ。
引き続き5巻を読みたいと思います(`・ω・´)ノ