精霊幻想記1 偽りの王国


『精霊幻想記 1.偽りの王国』(北山結莉著/HJ文庫)★★★★☆

精霊幻想記 1.偽りの王国 (HJ文庫)
精霊幻想記 1.偽りの王国 (HJ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年10月刊。
なろう発異世界転生ファンタジーなのですが、スラム出身の孤児というかなり厳しい身の上からスタートするのが特徴的な作品でした。
その後も身分社会の理不尽を正面から何度もぶつけられるため、読んでいて苦々しい気持ちになることもしばしば。
それでも主人公のそつのない優秀さのおかげで楽しく読めましたし、適度にガス抜きシーンがあるので思ったほどにストレスは感じなかったのも良かったです。
「異世界転生」という設定ながら安易なテンプレを踏まず、世界観やキャラクターの作り方に堅実さを感じられて、とても好みな作品でした。
物語としてはこれからが本番な雰囲気ですがこの先さらに面白くなりそう。とても期待したいシリーズです!

☆あらすじ☆
スラム街で生きる孤児の少年リオ。彼は七歳の時に突然、自分がかつて日本の大学生“天川春人”であったことを思い出し、剣と魔法の異世界に転生していたのだと気づく。動揺する中、リオは記憶と同時に認識した自身の強大な魔力を行使し、少女誘拐事件の解決に貢献。その功績が評価され、彼は貴族の子どもが集う名門学院に特例で入学することに!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

スラム街で苦しい毎日を過ごしていた孤児リオ
かつて「天川春人」だったという前世を思い出すと同時に、リオは王女誘拐事件に巻き込まれてしまいます。そこで王女フローラを救出した功績(と監視の必要性)から、リオは貴族階級の子どもたちが集う学院に入学することになる・・・・・・というのが序盤のストーリーです。

 

冒頭から終盤まで、リオが浴び続けるのは理不尽のオンパレード。
絶対的な身分社会の中で、最下層にいるリオは侮蔑や嘲笑をそつなく受け流していくものの、彼を虐げる貴族のぼんくら息子たちの態度には本当にゲッソリしてしまいました。

 

どれだけリオが優秀であっても、絶対的に覆せない身分の壁。
そこではどんな不条理であっても権力こそが正義なわけで、それをシビアに描いているのがとても印象的でした。

特に終盤の展開はそんな世界観が如実に表れていたと思います。
リオには何の非もなく、それを周囲もある程度把握しているのに、政治的な均衡を保つためにあっさりと彼の人格も人生も踏みにじる貴族社会。
それに逆らう術などなく、リオにできるのは機を読んで速やかに逃げることだけなのです。

あまりにもひどい理不尽に悔しい気持ちになりつつも、ここであっさり逆転できるようなご都合主義にいかないところはとても好みでした。
そうだよね、逃げるしかないよねって私も思う(´・ω・`)

 

リオはTUEEキャラに入ると思うんですけど、個人の力なんて権力の前には無価値っていうスタンスは良いですね。
身分ゆえに実力が認められないことにはもどかしい思いになりましたが、リオの優秀さを考えればきっとこのまま負けっぱなしのはずがない!
ぜひともここからの挽回・逆転を丁寧に描いていってほしいところです。

 

また、人物像と世界観が合っていたのも良かったです。
女性キャラがたくさんいるのに、リオに好意的なのがセリアとフローラくらいしかいないのも、シビアな世界観を裏付けていたと思います。クリスティーナとか安易なツンデレになりかねないキャラだったのに、「身分制の上に立つ毅然とした王女」であることが最後まで崩れませんでしたしね。
こういう点をみても、今後もしっかりした物語を作ってくれそうだという期待が持てました。

 

さて、学院生活が意外にも早く終わってしまったのですが、今後はどういう展開になっていくのでしょう?
最後に出てきた狐獣人の女の子と戦うことになるのかな?
母の敵討ちもありますし、やはり国外へと向かうことになるのでしょうか。

 

それと気になるのは、冒頭で意味深に存在感を見せた幼なじみ美春。もしかして彼女もこの異世界に来ていたりする?

 

リオを導いた少女の正体(精霊?)や、暗躍しているレイスの狙いも気になります。

 

まだまだ謎だらけですね。次巻がとても楽しみです!

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